ブレイクニュース の商品レビュー
雑誌で取り上げられなかったニュースをSNSを利用して取材し配信する。 短編で読みやすかったし、加害者や被害者両方の立場から報道してされると言う点で面白かった。
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ネットのYouTubeでの番組「ブレイクニュース」キャスターを務める野依美鈴。彼女はテレビ番組では真似できないような、攻めた報道を行う。連作短編集。 「ブレイクニュース」・・・幼児虐待の疑いが持たれたシングルマザー。野依は被害にあった子供の兄9歳にも取材にかける。 「巣立ち」・・・引きこもり続ける中年男性。元々は息子を心配した両親がブレイクスルーに取材を持ちかけた。続いて息子も取材に応じ、両親への憎しみを告白し、自立への第一歩を踏み出す。野依のカメラマン樋口も元は引きこもりであった。 「嫌疑不十分」・・・女性暴行事件であらぬ疑いをかけられた男性。自分から野依に取材して欲しいと連絡し、結果嫌疑は晴れた。しかし実は過去に故郷で暴行事件を起こしていたことが野依の取材で暴かれ、放送される。恐ろしい。 「最後の一滴」・・・苦学生でパパ活を行う北川。生活に困り、野依の取材に答える。さらに野依は北川を取材に同行させる。同じようにパパ活をして、ホテルで自殺をしていた若い女性についてだ。自分と同じような毒親を持つ女性だったことにもショックを受けた北川。境遇を知ってもらおうと自分の顔を出してブレイクニュースで発表する。 「憎悪の種」・・・北川はやはり大学でも居場所がなさそうだ。野依は潜伏取材に協力しないかと持ちかける。それはネット上でのヘイトクライム。外国人へのいわれのない攻撃だ。北川はふりをして首謀者に近づくが、なんと首謀者も外国の男性であった。 「正義の指」・・・。旅行会社に勤める女性。対応した芸能人の情報を流したということで謹慎処分に遭っていた。さらに同級生は彼女の情報を晒す。その女性は自殺未遂を行ってしまった。 このあたりから、だんだん野依のライバル?雑誌記者真柄が野依のことを調べ始める。野依は真柄の会社の元重役とも面識があるらしい。 「ハッシュタグ」・・・大学病院医師のパワハラ自殺事件を調べる真柄。そこの病院では、かつて四年前医師の自殺があった。さらに5年前に手術中の医療過誤もあった。しかしパワハラを行っているのは病院長の息子、さらに病院長は今の首相の妻の兄ということなので事件はもみつぶされてしまう。実は野依はかつてそこに勤めていた看護師。四年前に亡くなった医師は彼女の恋人であった。彼女はこれを明らかにするために整形手術を行い、まずは色々なニュースを取材して世間の注目と信頼を得ようとしていたのだった。しかし最後の敵はなかなか難しかった。YouTubeを使えなくなった彼女は街に出て真実を発表しようとする。そこへ医療過誤の現場に立ち会っていた、麻酔の医師も参加したのだった。 安定した作品であったなあ。野依はブレない。真実というものに厳しく向き合っている。それがどんな結末を迎えても視聴者に伝えようとしている。だから一編一編のラストは思いも寄らぬ、意表を突かれるようなものもあった。 また、本文にもあったけど、ネットニュースは見ている人が予想を超える多さだと思う。特に若者はテレビを見ないでネット中心だからネットニュースの方を見ているだろう。さらに、世界中の人々もリアルタイムで、編集なしで見ることができる。一般の人が気軽に発信できる時代になったけど、その分、反応も桁違いということを頭に置いておく必要があると思った。
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雑誌で扱ってもらえなかったネタが動画ニュース番組になる経緯が興味深い。それぞれ予想外の結末になって面白かった。
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81メディアリテラシはもっと小学校からでも理解を深める教育や啓蒙が必要です。正義って何か、他人に厳しいことを言う時、自分はどうか?を振り返ることの出来る社会でありたいって思う。いわゆるブーメラン
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2022年20冊目。ただ単に視聴率を稼ぐためだけのニュースかと思いきや、ラストの核心に迫った展開にはさすがだなと。最後まで飽きることなく読み応え十分でした。それぞれの短編を長編にしたら面白そう。個人的には、被害を訴えた人の原因は過去に自分が事件を起こしたことだった、が秀逸だったなと。反省もせず、ただ単に逃げて誰も知らないところで心機一転生活してるなんて都合が良すぎる。嘘をでっちあげるのは良くないとは思うが、被害者の親友の気持ちが理解できるよ。それにしても首相の嫁案件、思い浮かぶのはあのこと。
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さまざまな社会問題を独自の取材で過激に報じる野依美鈴。過激ではあるが、取材する相手の声を誠実に受け止め、真実を追求し報じることで、問題の解決の糸口を提示するさまが痛快でとても面白かった。1つのテーマごとの短編でスピード感もあり、とても読みやすい。 最後のお話は美鈴がジャーナリスト...
さまざまな社会問題を独自の取材で過激に報じる野依美鈴。過激ではあるが、取材する相手の声を誠実に受け止め、真実を追求し報じることで、問題の解決の糸口を提示するさまが痛快でとても面白かった。1つのテーマごとの短編でスピード感もあり、とても読みやすい。 最後のお話は美鈴がジャーナリストとして本当に追求したかった問題。展開がスピードダウンしてしまう感があるが、それこそが彼女の躊躇いや迷い、苦悩が表現されているように感じる。覚悟を持って自分の意志を貫く美鈴と美鈴に巻き込まれながらもその活動をサポートしていく人たちの活躍が心地よかった。
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大きな組織にいると庇護されるけど不正を大きな権力に握り潰されることもある。叩き潰された不正を衆目に晒すためにネットニュースがあるが、これも真実よりも過激で人の目を惹くものが喜ばれるのが確かだ。身近な話題でもあるYouTubeのネットニュースに関する小説。小説内でも9割敵みたいな書...
大きな組織にいると庇護されるけど不正を大きな権力に握り潰されることもある。叩き潰された不正を衆目に晒すためにネットニュースがあるが、これも真実よりも過激で人の目を惹くものが喜ばれるのが確かだ。身近な話題でもあるYouTubeのネットニュースに関する小説。小説内でも9割敵みたいな書き方されてるのがリアルだなぁと思った。実際に集まる人数とかも。話自体はさくさく読めた。 結局は人を動かすのは感情だと思うから、面倒でもあり希望もあるのだと思う。
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読み始めて、ネット社会のイヤーな話だな~と思いました。これは心がすさんでく感じで嫌なパターンかも、と思いましたが違いました。 薬丸さんでした、社会問題に切り込んでます。面白かった。美鈴の正体分かってからはちょっと失速した感じだけど 。 「首相の嫁の兄」はなんかやりすぎな感じ((+...
読み始めて、ネット社会のイヤーな話だな~と思いました。これは心がすさんでく感じで嫌なパターンかも、と思いましたが違いました。 薬丸さんでした、社会問題に切り込んでます。面白かった。美鈴の正体分かってからはちょっと失速した感じだけど 。 「首相の嫁の兄」はなんかやりすぎな感じ((+_+))
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YouTubeで1000万再生されている「野依美鈴のブレイクニュース」。 週刊誌記者の真柄はマスコミの真似事だと内心蔑みながら謎に包まれた野依美鈴について調べ始める。 SNSを使った社会派小説。 1人で動画を撮って報道までできるようになった現代。初めの方は行き過ぎ感が漂っていて...
YouTubeで1000万再生されている「野依美鈴のブレイクニュース」。 週刊誌記者の真柄はマスコミの真似事だと内心蔑みながら謎に包まれた野依美鈴について調べ始める。 SNSを使った社会派小説。 1人で動画を撮って報道までできるようになった現代。初めの方は行き過ぎ感が漂っていて迷惑Youtuberっぽくもあったけど、徐々によく調べたなぁと思う展開に。 SNSをきっかけに大きなうねりとなるのだろうか、ラストはそういう希望も秘めているのかな?
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自称ジャーナリストの野依美鈴と彼女が投稿する「ブレイクニュース」という過激なニュースチャンネルを中心とした小説。 SNSの影響力に関して、いい面も悪い面もしっかり感じられる。 分厚いが、一気に読める。中盤まで面白いけど、終わり方にもう少しインパクトが欲しかった。
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