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女たちのニューヨーク の商品レビュー

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15件のお客様レビュー

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2024/10/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

半分読んだくらいから面白くて止まらなくなった。 癖の強いプロフェッショナルが作り上げるショービジネスの世界。 Eat,Pray,Laveの作家の方の作品。テンポが良くて読みやすいが前半3分の2は人物描写や主人公の考察が浅くて重みがない。 衣装作りの才能と若さと美しさがあって多少問題を起こしても、太い家族の力でニューヨークに居場所を提供してもらえる、特権階級の甘えた子供。浅はかで未熟な彼女よやうな人間が失敗を起こす。 尊敬する大人の女性に、「あなたはひとかどの人間にはなれない。あなたの人生は特別に重要じゃない(あなたは永遠に雑魚)」と言われるところは、その通りなんだけどなんとも言えない(しかしこんな呪いを他人にかけられてひとかどの人間になれない人生を送る義理はないのだ) 不倫に対して浮気相手である20そこそこの女の子2人は社会から追放するのに、いい年したヒモクズ男はお咎めなしという謎。 リベンジフェーズがあって良かった。兄弟がいたらなぜ優秀な彼ではなく私が生きているんだろうという気持ちはわかる。無くなって悲しいのではなく、生きてる間に十分な関係を築けなかったことが悲しい。 最後意外な方向に話が進んだ。まさかの友人の数々と、ちょいちょい挟まれる日本とのコラボ。古い時代の話のようだけど、フェミニズムや同性愛、ジェンダーステレオタイプからの解放など原題に通じるテーマが散りばめられていた。図太く生きてこそ

Posted byブクログ

2024/09/14

女なら特に憧れる煌びやかな世界。 自分の顔と体が美しいとされ、それがお金になるとしたら。 主人公はそんな憧れも含めて、ニューヨークという街に染まっていく。 私も田舎から都会に出た時のあの無敵で何でも手に入ると思う感覚は忘れられない。 それでは危険でもあったし、自分の人生において学...

女なら特に憧れる煌びやかな世界。 自分の顔と体が美しいとされ、それがお金になるとしたら。 主人公はそんな憧れも含めて、ニューヨークという街に染まっていく。 私も田舎から都会に出た時のあの無敵で何でも手に入ると思う感覚は忘れられない。 それでは危険でもあったし、自分の人生において学ぶことがたくさんあった。 人間関係でも、男女関係でも、お金関係でも。 ニューヨークのショーパブという世界を通して、主人公の人生が様々な視点で描かれていく。

Posted byブクログ

2022/09/23

ヴィヴィアンという90歳近い主人公が、アンジェラという女性に手紙を書く形で物語が語られる。 この2人の関係が、最後のほうまで謎だったが、そこがいい仕掛けになっていると思った。 ヴィヴィが一番馴染めない堅物のオリーヴ。でも彼女の行動力や格言が、大事な転換点になっていたのも興味深い。...

ヴィヴィアンという90歳近い主人公が、アンジェラという女性に手紙を書く形で物語が語られる。 この2人の関係が、最後のほうまで謎だったが、そこがいい仕掛けになっていると思った。 ヴィヴィが一番馴染めない堅物のオリーヴ。でも彼女の行動力や格言が、大事な転換点になっていたのも興味深い。 「名誉の戦場は痛みを伴う場所なの。」 心に刻んでおきたい。

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2022/07/16

パワー・オブ・ザ・ドッグの凶悪な犬の力に続き、ブロークバック・マウンテンから吹きつきける荒々しい風が私の心をものすごい力で持ち去ってすっかりカラッポにしており、正直に言って今はニューヨークの気分なんかじゃ全然なかったのですが(もっとカウボーイくれ!という気分だった)、しかし他に読...

パワー・オブ・ザ・ドッグの凶悪な犬の力に続き、ブロークバック・マウンテンから吹きつきける荒々しい風が私の心をものすごい力で持ち去ってすっかりカラッポにしており、正直に言って今はニューヨークの気分なんかじゃ全然なかったのですが(もっとカウボーイくれ!という気分だった)、しかし他に読むものがなかったので、しぶしぶ気持ちを切り替えて読んだ。 でもこれも良かった! ★ひとつマイナスなのは、たぶんまだブロークバック・マウンテンの世界をちょっとだけ引きずっているせいで、ラストの方で主人公が長々と語る性衝動の「闇」に対する記述がいかにもこの著者らしく説明過多で嘘くさくてちょっとカンに触ったからで(この著者は性衝動に対して罪悪感があるのか、いつもくどくどと説明し過ぎるところが難点)、もし違う時期に読んでいたら、★5つの本だったかもしれない。 いろんな人が現れては消えていく話なのだけれど、その中で、ペグの夫ビリーと、完璧な兄のウォルターの二人の描写がとても良かった。エドナの最後の冷たい仕打ちの描写も良かった。 著者は、仲良しの関係よりも、一筋縄ではいかない相手にすり寄っていって拒絶されるところを描くのが非常にうまいと思った。 自分が人生でそういう苦い経験をした時に作家の目で観察しているんだろうか。 お兄さんとの関係は特にリアルに思えた。私には完璧な兄はいないので、本当にリアルかどうかは分からないんだけれど。 最後の方の 「みずから招いた災難しか知らない人は幸いなり」 という文に、ドキリとした。 私もそうだわ、と思った。 過去ひどい目に遭ったと思うことはほぼ全部、自分のウカツさが招いたことだと思う。たぶん。 そうか、それは幸運だということなのか、と改めて思った。 最後の訳者あとがきで、この本を書いているときに著者の周辺で起こったことが短く述べられていたが、それはまるでまったく別のCity of Girls話をもう一つ読むようだった。ちょっと驚いた。 古い時代だけじゃなく、今の時代にもいろいろと語るべきことは尽きないなぁ、と思う。

Posted byブクログ

2022/05/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

雑誌「VERY」のシスターフッド特集の中で紹介されていた1冊。 読み始めたら止まらない。特に中盤からぐいぐいひきこまれる。1940年代のニューヨークを舞台に、自らが世界の中心であることを証明するように、嵐のような生活をするヴィヴィアン。若さゆえの自分本位の言動に居心地の悪さを感じる前半。しかし、あるスキャンダルにより二度と癒されない傷、取り戻せない信頼があることを知った彼女。自分を見つめなおし、彼女を愛する周囲の人々との生活のなかで培った、彼女らしい生き方考え方に元気づけられる。 ヴィヴィアンが、自分を責めるフランクに対して「あなたが役立たずだっていうのが事実だったら、それがなんだっていうの?」「それって重要なこと?」と言い放った言葉が印象的。世界はまっすぐじゃなく、だれもがそれぞれの業を抱えて生きていて、いろんなことが人生に降りかかる。公平じゃないことも、人生に降りかかる。でも、だからなんなの?と言い切れる彼女の強さ、潔さはとても清々しい。 

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2022/02/11

登場人物がもれなく全員素晴らしい。人間味にあふれていて魅力的で、1番好きな人を決められない。 私はもちろんこの時代を知らないし、NYという街も知らない。なんとなくSATCを思い出した。ちょっと違うけど。でももっとうんと前の時代の話ってことは、なんて前衛的なんだろう。 なにより...

登場人物がもれなく全員素晴らしい。人間味にあふれていて魅力的で、1番好きな人を決められない。 私はもちろんこの時代を知らないし、NYという街も知らない。なんとなくSATCを思い出した。ちょっと違うけど。でももっとうんと前の時代の話ってことは、なんて前衛的なんだろう。 なによりも、世界は”ただそこにある”。 そのことを描いた作品に出会ったのはこれが2回目。私はそういう世界の捉え方をする物語が大好きなんだよな〜。 物語の大筋とは別に、日本の真珠湾攻撃がアメリカ側の視点で、しかも戦場の話ではなく一般市民の目線での戦争の影響が語られるのもなかなか考えさせられた。カミカゼについては描かれるが、原子爆弾については一切触れない辺りも興味深い。もちろんカミカゼはストーリーに関係あるが、原子爆弾は関係ないので出す必要がそもそもないけども。

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2022/01/27

怖い物知らずの若い時代。失敗と後悔と恥。誰の人生も真っ直ぐではなく全てが不公平だ。でも本書の登場人物たちは、みんな生き生きと自分らしく生きている、その姿に勇気付けられる。

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2021/11/26

1940年代の米国、地方の裕福な家庭に育ち有名女子大に進んだヴィヴィアンは大学を退学になり、ニューヨークで劇場を経営するペグ叔母さんの元へ放り出される。売れないミュージカルを劇場に住み込むダンサーたちと上演しながら、自分たちの思うままに暮らす叔母さんたちと仲間たちに魅了されヴィヴ...

1940年代の米国、地方の裕福な家庭に育ち有名女子大に進んだヴィヴィアンは大学を退学になり、ニューヨークで劇場を経営するペグ叔母さんの元へ放り出される。売れないミュージカルを劇場に住み込むダンサーたちと上演しながら、自分たちの思うままに暮らす叔母さんたちと仲間たちに魅了されヴィヴィアンはニューヨークを奔放に遊び回る。祖母から受け継いだ裁縫の腕を活かし、舞台衣装を作成の才能も開花させる。裕福な劇場ではないが、仲間と愉快に華やかに過ごしていたが、英国に帰国できなくなった有名舞台女優が転がり込んできたことからペグ叔母さんの劇場は一変し、ヴィヴィアンはスキャンダラスな世界へ引き込まれていく。 全体は、2010年に80代になったヴィヴィアンがアンジェラという女性にアンジェラの父親との関係について語る長い長い手紙、という形式になっている。現代でもヴィヴィアンやその仲間たちの行動はすごいのですが、第二次大戦の頃と思うとただただ驚かされる。 最後に出会ったアンジェラの父親との関係は、心穏やかにさせてくれる。そして、さまざまに影を落としている戦争の、そして対戦相手としての日本の存在を忘れてはならない。 最後の方の説明で、どう考えても誤植がありちょっと戸惑う。早川書房の校正でも見落としはあるのか!

Posted byブクログ

2021/11/03

1940年、NY。19歳のヴィヴィアンは、グランドセントラル駅に降り立った。名門女子大を追い出され、叔母が営む劇場で暮らすためだ。ペグ叔母さんの下で、ヴィヴィアンは舞台衣装を仕立てるようになる。仕事が終わればショーガールのシーリアと遊びたおした。劇場はぼろいが、居心地がよかった。...

1940年、NY。19歳のヴィヴィアンは、グランドセントラル駅に降り立った。名門女子大を追い出され、叔母が営む劇場で暮らすためだ。ペグ叔母さんの下で、ヴィヴィアンは舞台衣装を仕立てるようになる。仕事が終わればショーガールのシーリアと遊びたおした。劇場はぼろいが、居心地がよかった。やがて、戦争で家を焼かれた英国の大女優と、ハリウッドの悪魔的才能の脚本家が加わると、彼らのショーは街じゅうの注目を集める。ところが、人々の関心は一変する。ヴィヴィアンの過ちが、街を騒がせるスキャンダルになったのだ。恋人も友だちも居場所も失い、初めて自分自身に向き合った彼女は――。 ある一人の女性が、90歳近くになってから記した自叙伝のような構成で語られる過去。うーん、すごい激動の人生であり、晩年の二人の愛には胸を打たれたけど、序盤から中盤にかけては主人公とあまりに自分が違いすぎて感情移入できなかった。いやいや、いくら若いとはいえおばかすぎるし、所詮この子は学ばない子なんだなと思ってしまう。エドナのことを崇拝していたのに、嘘に惑わされて調子に乗っちゃうところは痛すぎて・・・今でもこういうスキャンダルは叩かれるけど、当時ならもっとひどかったでしょうし、周りの人への感謝が足りなすぎるよ・・・オリーヴまじいい人じゃん。ヴィヴィが家族や友人から見捨てられなかったのはかなり周りが甘いせいにしか思えなかった。

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2021/08/28

控えめに言っても最高な一冊。 どうして2021年になるまでこの本が存在しなかったのかと責めたくなるほど、これは女として生まれたからには避けては通れないバイブルのような一冊だ。 嫌悪する人もいるだろうし、うんざりする人もいるかもしれない。でも目を逸らせないだろう。 だって、ヴィヴ...

控えめに言っても最高な一冊。 どうして2021年になるまでこの本が存在しなかったのかと責めたくなるほど、これは女として生まれたからには避けては通れないバイブルのような一冊だ。 嫌悪する人もいるだろうし、うんざりする人もいるかもしれない。でも目を逸らせないだろう。 だって、ヴィヴはわたしたちが目を背けたものをすべてから目を逸らさず、そして思うままに生きている。 取り返しのつかない失敗を経て、彼女はようやく自分になれたのかもしれない。 あの時代にこんな風に生きた人がいるなら、それならば、21世紀に生きる私たちが日和ってる場合ではない。 曲がった世界で、自分を見つけて自分の人生を生きていかなくては。 叶うことならヴィヴと友人になってみたかった。

Posted byブクログ