葉山嘉樹短篇集 の商品レビュー
初めてのプロレタリア文学。 なるほど、戦後の日本を支えた労働者たちの視点から悲惨な労働環境が描かれている。 この短編集を読んでいくにつれ、登場人物たちの背景が、貧富の差が広まりつつある現在の日本に住む人々と似てると感じ、ぞくっとした。 お気に入り作品: ①セメントの中の手紙 ペ...
初めてのプロレタリア文学。 なるほど、戦後の日本を支えた労働者たちの視点から悲惨な労働環境が描かれている。 この短編集を読んでいくにつれ、登場人物たちの背景が、貧富の差が広まりつつある現在の日本に住む人々と似てると感じ、ぞくっとした。 お気に入り作品: ①セメントの中の手紙 ページ数は短いが、インパクトのある作品。労災で亡くなった夫の妻の心情が、手紙という媒体を通じて描くことで、リアルに存分に現れている。 ②猫の踊り 人間を含む生き物が存在する理由を改めて実感させられた。どんなに辛い境遇に生きていても、将来の社会のために頑張って生きて行くのだ。 「私は、石にかじりついても、泥棒をしても、人殺しをしても、子供たちを育てて、新らしい時代を生むために生きて行くのだ。」(ラストの文章より引用) ③安ホテルの一日 語句解説を読む限り、葉山嘉樹本人の体験をもとに描かれているように感じる。生命とは何かを問いかける。最後のドストエフスキーのメタファーはよくわからなかった…また読み直したい。
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プロレタリア文学としては小林多喜二が著名だがこの方も同じジャンルに属している。しかし読んでいるとミステリー的な要素や労働者という枠を超えた生きていく上での連帯(其々どの様な作品かは読んでご確認いただきたい次第)を描いたりしており、そう単純なジャンル分けしては良く無い気がする。 個...
プロレタリア文学としては小林多喜二が著名だがこの方も同じジャンルに属している。しかし読んでいるとミステリー的な要素や労働者という枠を超えた生きていく上での連帯(其々どの様な作品かは読んでご確認いただきたい次第)を描いたりしており、そう単純なジャンル分けしては良く無い気がする。 個人的には収録作品の前半の方が印象的だった。
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