ダチョウ博士の人畜無害のすゝめ の商品レビュー

塚本康浩(著者)

2023/07/04

ダチョウ博士が、今はガクチョウに！

昆虫大好きな男の子が、鳥を愛し、
釣りに出かけた先で、ダチョウと運命の出会い。
大きな瞳と長いまつげに一目惚れ！

牧場主が与えていたのが、大量のもやし。
産業廃棄物になるもやしの処分に飼い始めたらしい。

怪我をしてもすぐ直り、病気もせず、そのパワーに魅せられ、
研究の末に、出会ったのが、ダチョウ抗体。

ダチョウ抗体入りマスクで、一躍有名になった博士が、
大阪人らしく、ユーモアたっぷりに本にした。

長年、感染症を研究してきた、すごい博士だ！
そして、なにより、偉ぶらない人懐っこさが素晴らしい！

2021/07/23

直近に出た「ダチョウはアホだが役に立つ」は、ダチョウに関するエピソードが中心で、こちらはダチョウ抗体の研究や商品展開について書かれています。
塚本先生の本は何冊も読んでいますが、過去の著書と内容と幾分かぶっているところもあり（かぶっていることは、冒頭に潔く書いてあるところも著者らしい）、面白かったですが、抱腹絶倒とまではいかなかったですが、充分楽しめる本です。

産学連携の話についても研究を交えてよく書かれていますが、商品開発に力点が置かれているので、ビジネス系の本という印象です。
有名なダチョウマスクの構造とか米国ベンチャーの話とかも興味深かったです。

「ヒヨコのお尻の穴をのぞいて、生殖突起の有無を確認する肛門鑑別」とは「産毛に埋もれた肛門を指でギュッと押さえ、小さな穴の奥からピュッと出てくる赤い特機で、オスとメスを見分ける」方法ですが、この方法で鑑別するために「初生雛鑑別師」という資格がいる、ということを初めて知りました。肛門鑑別法という名前だけでも飲み会のネタになりそう。
また、脳の大きさは大きい方がいいと一般的に思われているが、これは間違いで、脳が全身に占める割合が重要で、ダチョウの場合は0.05%に対し、鳥類で最強の頭脳を持つカラスは6%とのこと。脳が身体に占める割合、というのも初めてしり、へーって思えました。

今までのダチョウ関連製品は400億円規模だそうで、キラーコンテンツである「ダチョウ抗体」を使って、社会実装している著者に敬意を表しつつ、応援していきたくなる気持ちになりました。しかも、おもろい、というおまけつき。素晴らしいです。