キルケ の商品レビュー

マデリン・ミラー(著者),野沢佳織(訳者)

2021/11/11

神々と人間が共存していた時代の話。何度も読んできた題材だが非常に読みやすく感情移入できる作品。神達は微塵もモラルを持ち合わせてないように感じる。自分の存在の誇示ばかりが重要で、人間の方が日々戦場にて人生を生きているので色々と成長させられて立派に思える。生まれた境遇生まれ持った能力がいくら優秀でもさ、バカはバカ、クズはクズ。そっちの道が甘くておいしいと思っていても、「いや、自分はその道には行きたくないんだ、こっちの険しい道を自分の力で登って別の世界を見てみたい」と感じれるまともさを讃えたい。

2021/05/24

なんだこの面白さは。
ホメロス『オデュッセイア』を反転し、キルケの視点から語られる。そのキルケは女神で魔女なんだけど、一人の女性としても描かれていて、実にイキイキとしている。だいたいお父さんがヘリオスで太陽神だから毎日馬車で空に昇ってるんだよ、なんというスケールの大きさ。

シェイクスピアといい、これといい、最近リトールドが流行りなのかしら。そもそものお話の骨格が太いからこそではあるが、著者はたぶんすごいギリシア神話オタクなのね、もう楽しんじゃってるのがぐんぐん伝わってくる。
久々に、お話に入りこむ楽しさを堪能。