イチゴで稼ぐ! の商品レビュー
ムック本は、見ているだけでも楽しい。2021年5月に出されたイチゴに関する最新情報のムック本。 新規就農する人は、トマトやイチゴを選ぶ。なんとなく、稼げそうだからである。最近は、補助事業で一気に3ヘクタールという豪快なイチゴ屋さんが登場したり、アメリカでは、日本人が経営するイチゴ...
ムック本は、見ているだけでも楽しい。2021年5月に出されたイチゴに関する最新情報のムック本。 新規就農する人は、トマトやイチゴを選ぶ。なんとなく、稼げそうだからである。最近は、補助事業で一気に3ヘクタールという豪快なイチゴ屋さんが登場したり、アメリカでは、日本人が経営するイチゴの水耕栽培企業が50億円あまり投資されている。農業は儲かるぞという話を聞く。 しかし、そう簡単ではない。イチゴでいうなら、現在は高設栽培が主流。土地の確保、温室、そして設備。300坪(1反)で、軽く1000万円超える。イチゴのマンパワーで言えば、1人で1反管理できればいい。それでよくいって、5トン収穫して500万円売り上げれば上出来である。イチゴを栽培するには、とにかく、出荷の手間が半端ない。収穫して、粒を揃えてパック詰する。朝だししようものなら、暗いうちに起きて必死の作業となる。ほとんど寝る間もない。人を雇えばそれで赤字に転落する。まして、イチゴの苗作りは、今年みたいに雨が多いと病気がどんどん広がる。苗の段階でアウトだ。イチゴ作りを3年ほど研修して、やっと独り立ちは可能となる。つまり、初期投資の回収はなかなかできない。 このムック本は、品種が多く紹介されている。本当に、日本人は育種が好きだ。これだけの品種があるから、面白いかもしれないが、やはり趣味の世界である。そういう趣味の世界に嵌まり込むと、儲けは度外視、自分が楽しければいいという路線に入り込んでいく。行くさきは、借金が増えるだけだ。品種を絞りきれない農家は先がない。農業は植物園、イチゴ展示場ではない。本書の中でも、収量が目標ではない、収益が目標だという。企業だったら、当たり前の話であるが、そんなことが強調される。所詮、農業はボランティアと覚悟を決めるしかないのか。 イチゴは、栃木県と福岡県の熾烈な闘いにある。1980年代には、栃木県は「女峰」、福岡県は「とよのか」。2000年頃には、栃木県は「とちおとめ」、福岡県は「あまおう」。今のところ「あまおう」が市場での単価は高く、勝っている感じだ。栃木県は、スカイベリーを出したが、ネーミングも含めて、失敗している。まぁ。栃木県が生産量は多くイチゴ王国でもある。「べにほっぺ」は愛知県で、「とちおとめ」より単価が高い。栃木県は、危い。 では、イチゴで儲けるには、やはりえぐみのない糖度の高いイチゴを持続的に収穫することが、一番大切になる。糖度をあげるには?様々な工夫が、本書でも紹介されている。ふーむ。「帯に短し襷に長し」の状況。さて糖度をあげるイチゴ作りは、誰が勝ちノリをあげるのか、楽しみなイチゴの時代を迎える。
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