コンピューティング史 第3版 の商品レビュー
図書館で借りた。 コンピュータの歴史の本であるが、タイトルを「コンピュータの歴史」としていないのがこの本の本質と感じた。 「コンピュータの歴史」と言ってしまうと、「コンピュータという製品の歴史」や「コンピュータ・ハードウェアの歴史」とも捉えられる。前者であればIBMからGAFAに...
図書館で借りた。 コンピュータの歴史の本であるが、タイトルを「コンピュータの歴史」としていないのがこの本の本質と感じた。 「コンピュータの歴史」と言ってしまうと、「コンピュータという製品の歴史」や「コンピュータ・ハードウェアの歴史」とも捉えられる。前者であればIBMからGAFAに続く話と言えるし、後者であれば、ENIACなどの黎明期のものから、ムーアの法則やGPUを応用したAIやマイニングなどの現在に繋げる話になるだろう。 この本はどちらでもない。コンピューティングとは英文法的に言えば動名詞、つまり「計算すること」だ。 元々"Computer"は職業ならびに人を指していた、というところから始まり、オフィス事務など、様々なサービス・社会に役立っていく、どちらかと言うとソフトウェア・サービス目線での歴史を学べる。 コンピュータの歴史モノの本は結構数あるが、中々厚い内容のある本と感じた。 さらに訳者があとがきに日本という観点など、この本では足りない部分を指摘し、そのための参考文献まで並べられている。この本で終わらせないのが素晴らしい。
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コンピュータの歴史について広範囲を網羅した本で,少数ながら参考文献の記載あり,どちらかといえば専門書に属するレベル。
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サイエンスとエンジニアリングの交差点から始まったイノベーションは、いつしかその力点をビジネスへと転換していったーーそんなコンピューティングの歴史を、冷静かつフラットな視点で綴った名著。 本文356ページの中で、初めて「コンパイラ」そして「FORTRAN」が登場したのは194ペー...
サイエンスとエンジニアリングの交差点から始まったイノベーションは、いつしかその力点をビジネスへと転換していったーーそんなコンピューティングの歴史を、冷静かつフラットな視点で綴った名著。 本文356ページの中で、初めて「コンパイラ」そして「FORTRAN」が登場したのは194ページ目。現代のソフトウェアエンジニアに馴染みのあるコンパイラ、そして現代から見ると「そんな言語あったんですね」とすら言われるFORTRANでさえ中盤移行の登場である、という事実からも本書の(意味的な)分厚さがわかるだろう。 バベッジ、エイダ、チューリング、ノイマン、エンゲルバート、アラン=ケイ…コンピューティングの歴史を綴った類書に顔を出す傑物は、もちろん漏らさず登場してくる。 網羅的に歴史をたどるという性質上、この分野についてある程度詳しい人間であれば既知の内容が多くなってしまうのは宿命的なものだ。 しかしそれでも、本書は一読の価値がある。 イノベーションにフォーカスしたある種のヒロイズムではなく、本当に淡々と歴史を綴っているという点。その特色ゆえ、イノベーターの席に並べられることはなかったけれども確かにコンピューティングの歴史の1ページであったスタートアップの動きなどが描かれているのだ。 成功談だけではなく、失敗談も多く書かれている。(いや、もしかしたら失敗談のほうが多いのかもしれない) 加速度的に進化するコンピューティング、呼応するように変化する市井の生活…この目まぐるしい奔流を原点から辿る旅に出る、格好のガイドブックだ。
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