知能化戦争 の商品レビュー
巻末の紹介によれば、著者は中国国防大学国家安全学院副教授。戦略学博士。人民解放軍大校(上級大佐)。 この手の著作にありがちの過大な未来予測は差し引いても、人工知能テクノロジーの進展が戦争と軍隊のあり方をどう変えていくのか、という議論は説得的だった。軍隊も人間が作る組織である以...
巻末の紹介によれば、著者は中国国防大学国家安全学院副教授。戦略学博士。人民解放軍大校(上級大佐)。 この手の著作にありがちの過大な未来予測は差し引いても、人工知能テクノロジーの進展が戦争と軍隊のあり方をどう変えていくのか、という議論は説得的だった。軍隊も人間が作る組織である以上、著者が言うようには簡単に軍種・兵種の専門性や文化はなくならないと思う。しかし、ピラミッド型の官僚的な組織から、フラット化・モジュール化への進展、「機械=人間」による戦闘ユニットの浮上と「参謀部」のリストラという論点は、ウクライナ戦争の様相を見るにつけても、すでに事実化していることなのだろう。3Dプリンターの登場が前線での補給や後方支援のあり方を変化させるという指摘も、すでにウクライナでは現実化してしまっている。「党軍」という性格に強く規定される人民解放軍では、党の指導・統制の外部に出てしまう可能性という点から、完全自律型兵器の開発が制約されることは興味深かった。 また、いわゆる「低強度紛争」の問題に対して淡泊なのも、本書の特徴だろう。人民解放軍はあくまで国家同士の正規戦を戦うための軍隊であり、米国のようには非正規戦を重視していない、ということなのだろうか(非正規戦はむしろ国内の治安警察の問題?)。
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中国の軍人が書いた新しい戦争の形態。高度化した軍用AIプラットフォームは戦争システム全体を刷新する革命的なものでした。米・英・露(特に米)の動向を踏まえて、これからの中国軍のビジョンを示します。新しい軍事システムの確立は、AIだけではなく、情報ネットワークシステムの構築やビックデ...
中国の軍人が書いた新しい戦争の形態。高度化した軍用AIプラットフォームは戦争システム全体を刷新する革命的なものでした。米・英・露(特に米)の動向を踏まえて、これからの中国軍のビジョンを示します。新しい軍事システムの確立は、AIだけではなく、情報ネットワークシステムの構築やビックデータ、先端コンピュータの高度利用などさまざまなインフラ資源を必要とする壮大なものでした。「超限戦」とともに論理的で精緻。果たして、そんな国家が隣にあってこの先の日本はどうなるのだろう。ページをくるたびに心臓がバクバクしました。
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龐宏亮「中国軍人が観る「人に優しい」新たな戦争 知能化戦争」。 人工知能が軍隊や戦争のあり方に与えるインパクトを考察している。 米国を中心に他国の動向や事例が豊富に取り上げられる中、日本が挙げられることがかなり少ないのが、この分野における日本の現在地を思わせられる。
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