世界を敵に回しても、命のために闘う の商品レビュー
ダイヤモンドプリンセス号で発生した新型コロナウイルス感染症への対応の記録。感染拡大を「災害」と早期から捉え、現場に入った災害医療チームらの活動が記載されている。 極限状態の中で完璧ではないまでも現場で対応していたが、それは必ずしも外部からは正当に評価されていない。本書では、船内外...
ダイヤモンドプリンセス号で発生した新型コロナウイルス感染症への対応の記録。感染拡大を「災害」と早期から捉え、現場に入った災害医療チームらの活動が記載されている。 極限状態の中で完璧ではないまでも現場で対応していたが、それは必ずしも外部からは正当に評価されていない。本書では、船内外で活動した主要人物らへの取材に基づき、その時現場で起こっていたことや、どういう経緯・考えであのような対応がなされたのかを明らかにしようとしている。 なお、書名ではダイヤモンドプリンセス号対応のことしか書かれていないように想像されるが、実際にはその後の国内における感染の流行と、それに対応したいわゆる神奈川モデルの策定過程についても描かれている。 過去に読んだ類書と比べて、より個人にフォーカスされているという印象。そのため、その人たちに対するヒロイズム的な書きぶりが多少見て取れる。また、政府や役人といったものに対する批判的な観点が筆者の根底にあるような感はある。 関係者への取材が主とはいえ、様々な報告書などにも拠っているので、そういった物を出典として巻末などに明記してもらえたら、より資料としての価値が上がるのにな、と感じた。あと、人名などに誤字がいくつかあり気になった。 とはいえ、いずれにせよ、当時のことを記録した貴重な書籍であることに間違いない。自分も末端ながら当時その場に関わっていたので、その感覚として、本書に書かれていることは概ね妥当で実際を反映していると思う。
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