断絶 の商品レビュー
私には退屈でしかなかった。読む時期が変われば感じ方も変わるかも…今は重い話を読むと疲れてしまう。 ゾンビの設定は面白いと思った。けど話の半分以上は主人公のニューヨークへの憧れや仕事や恋愛話。期待してた内容じゃなかった…
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超面白かった〜!パンデミック後の現在とパンデミック前の時間が交互に記述される構成が物語の推進力を増幅させている。またこの物語下での時間軸の行き来は価値観の変化を伴うから、消費社会への皮肉や主人公のパーソナリティ、キャリア等々の問題を効果的に浮かび上がらせている。
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ゾンビ小説が読みたいと思って借りた本だが、自分の思っていたサバイバル描写などはほとんどなし。淡々とした小説だった。
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シェン熱が襲う。生き残った仲間との救済への旅のなかで、過去が淡々と語られていく。映画やドラマ、アートなどの当時のアメリカンカルチャーが多分に引用され、中国の文革や天安門事件への語り、当時の香港の様子などが物語に厚みを出す。世の中が機能停止に陥ってるなか、それでも前を向いて生きる姿...
シェン熱が襲う。生き残った仲間との救済への旅のなかで、過去が淡々と語られていく。映画やドラマ、アートなどの当時のアメリカンカルチャーが多分に引用され、中国の文革や天安門事件への語り、当時の香港の様子などが物語に厚みを出す。世の中が機能停止に陥ってるなか、それでも前を向いて生きる姿に多少の希望がある。
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ゾンビものだと期待して読んだが(ウォーキングデッドみたいな)、あまり面白くなかった。 過去を回想しながら、現状に至る過程を織り込みながら小説を展開しているが、ニューヨーク時代の主人公の心情がよく書かれていた。
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リンマー「断絶」https://www.hakusuisha.co.jp/book/b558117.html よかった。中華疫病パンデミ物。パニックや暴力性は皆無でひたすら静かな白黒のイメージで、状況は哲学的ですらある。生前のルーティンを永遠に繰り返す症状も、解雇後も出社する主...
リンマー「断絶」https://www.hakusuisha.co.jp/book/b558117.html よかった。中華疫病パンデミ物。パニックや暴力性は皆無でひたすら静かな白黒のイメージで、状況は哲学的ですらある。生前のルーティンを永遠に繰り返す症状も、解雇後も出社する主人公も物哀しい。NY Goastという主人公のBlogが素敵そうで見てみたい(おわり
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
一気に読みました。 いろいろなテーマで語れそうですが、私が一番印象に残ったのは、「自由に生きるということ」についてです。 自由を求め、娘(主人公)にも自由を与えたくて、渡米した中国人の親。 都市や社会のヒエラルキーから自由になりたくて、ニューヨークから脱出する恋人。 疫病に感染し、自我を失った結果、ただただ日常動作を繰り返す人々。 疫病蔓延のため都市機能が崩壊してもなお、ニューヨークの職場に留まり仕事を続ける主人公。 ニューヨークに留まり続けた主人公が、ようやく仕事や日常から自分を解放して脱出することにした際に、いまやほとんど見つけることができなくなった疫病に感染していない人々8名のグループに拾われるところから物語ははじまり、主人公の回想の形で、いろんな束縛と生きづらさが描かれていく。 その脱出者集団にも、今までの仕事や日常とは違う束縛が生じていて、、、、 ラストは、新しい命を孕んだ身で、自らの選んだ人生へと歩んでいく主人公。 、、、現実を知る身にとっては、新しい命もまた、自由に対する大きな束縛だと思うけど(苦笑)、 それが不幸かは、別のおはなし。
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2011年、中国発の真菌感染症・シェン熱が猛威を振るい、人類は滅亡の危機に瀕していた。感染者は意識を失くし、日常の同じ動作を繰り返す。ニューヨークが無人となる中、中国からの移民であるキャンディスは変わらずオフィスに通い業務を続ける。キャンディスを通して、〈災厄〉前後の世界を交互に...
2011年、中国発の真菌感染症・シェン熱が猛威を振るい、人類は滅亡の危機に瀕していた。感染者は意識を失くし、日常の同じ動作を繰り返す。ニューヨークが無人となる中、中国からの移民であるキャンディスは変わらずオフィスに通い業務を続ける。キャンディスを通して、〈災厄〉前後の世界を交互に描いていく。細部に甘いところはあるが、コロナ禍の“流行り”ものと捉えられてしまうのはもったいない骨太な小説だ。
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中国福建省から家族でソルトレイクに移住してきたキャンディスは、ニューヨークで出版社で働いていた時にシェン熱が流行した。感染すると朽ち果てて死ぬまで一日中同じ動きを繰り返す。免疫が有ったキャンディスは生き残り彷徨っている時にボブ率いる8人のグループに出会い一緒に生活出来る...
中国福建省から家族でソルトレイクに移住してきたキャンディスは、ニューヨークで出版社で働いていた時にシェン熱が流行した。感染すると朽ち果てて死ぬまで一日中同じ動きを繰り返す。免疫が有ったキャンディスは生き残り彷徨っている時にボブ率いる8人のグループに出会い一緒に生活出来る''施設''を目指して旅をする事になった。 TVドラマや映画の様に感染者がゾンビ化して人間を襲うとか噛まれてゾンビになる様なホラー小説では無くて、キャンディスのニューヨーク時代の働いて家に帰ってプライベートでは彼氏が居てと何の抑揚も無い生活の描写とボブ率いるカルトチックな9人の安住の場所''施設''への移動の描写が交互に章を重ねているだけのストーリーでホラーでもミステリーでも無く何処に面白さや興味を見出せば良いのか全く分からない作品でした。もっと深読みすると物語に潜む作者の声が聞こえるのでしょうか?
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断絶 リン・マー著 感染症で世界が滅びても… 2021/5/8付日本経済新聞 朝刊 未知の感染症、シェン熱が猖獗(しょうけつ)をきわめていた。有効な予防法も治療薬もないまま、つぎつぎに人々は倒れ、都市機能は麻痺(まひ)、インターネットも死んでいく。主人公は、幼少時に中国からアメリ...
断絶 リン・マー著 感染症で世界が滅びても… 2021/5/8付日本経済新聞 朝刊 未知の感染症、シェン熱が猖獗(しょうけつ)をきわめていた。有効な予防法も治療薬もないまま、つぎつぎに人々は倒れ、都市機能は麻痺(まひ)、インターネットも死んでいく。主人公は、幼少時に中国からアメリカへ移民し、いまは出版製作会社で働くキャンディス。感染を免れた彼女は、廃墟(はいきょ)化したニューヨークからの脱出を決心し、8人の男女とともにシカゴ近郊の安全な〈施設〉への旅がはじまる。 この作品が発表されたのは、新型コロナ流行以前の2018年。執筆は12年から16年だという。世界の破滅という主題は、ジャンルSFでも主流文学でもこれまで何度となく扱われてきた。無秩序状態での生存努力を描く作品、人類再生への希望を謳(うた)う作品、終末の崇高美を主題とした作品……。しかし、『断絶』はどれとも違う。 シェン熱が蔓延(まんえん)する前、キャンディスは恋人のジョナサンと、仕事について議論をする。彼は対価を得るための労働ではなく、自由なやりがいに憧れている。しかし、キャンディスは、そのようなものはないと考える。ジョナサンは「きみがそんなふうに考えるのは、市場経済で生きてるからだよ」と言い、彼女が「自分はちがうとでも?」と返す。人間は社会システムに縛られているのだ。 世界が滅んでしまえば、システムから解放されるかというと、そんなことはない。シェン熱の末期に至った患者は、感染前の習慣を延々と反復するようになる。もう動かないパソコンのマウスを操作し、朽ちはてた食材が並んだカウンターで客を待ち、なにも入っていない食洗機を動かす。 感染症を免れた者も、けっして自由ではない。キャンディスたち一行は、旅の途中でしばしば一般家庭に侵入する。そのふるまいは、必要な食糧・物資の調達にとどまらず、奇怪な儀式のようである。家捜しの手順には呪術じみたルールがあり、逸脱は許されない。 キャンディスの一人称で、破滅前の人生と破滅後の生活とが平行して語り進められる。いちおう整然と章を分けているものの、現在のなかに、過去がフラッシュバックで甦(よみがえ)ることもある。この叙述によって、『断絶』は文明が崩壊した光景を描きながら、私たちがいままさに生きている現実社会の歪(ゆが)みや桎梏(しっこく)をあぶりだすのだ。 《評》文芸評論家 牧 眞司 原題=SEVERANCE (藤井光訳、白水社・3740円) ▼著者は83年中国生まれ。幼少期に渡米し、ジャーナリスト、編集者を経て作家に。本書がデビュー作。
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