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アニマ の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2024/03/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

古今東西、何処にでも同化政策があるのは何故だろうか。自分達と違う言語、文化、考え方というのは脅威と恐怖の対象になるからだろうか。あまり復讐とか賛成したことはないけれど、今回の主人公ばかりは許されて良い気がする。何十年も生きてきて、自分が実はワハシュ(仮)だったことを知った時の絶望は計り知れないものがある。名前とは、その人その物を表す一番端的なものだ。そして、それを覚えていないことを理由に奪われた。永遠に奪われた、本当の名前と本当の家族。勝手に息子にした男の子の妻が、かつて自分がしたような蛮行で殺されたと聞いた時、自称父親は一体何を思ったのか。因果が巡ってきたことに恐怖を覚えたのか、特に何も感じなかったのか。自称父親の心理を知る術はない。様々なものを、その出自を理由に奪われた人に会いながら、自らの過去を知る旅。こんなに苦しく、悲しい旅路を私は知らない。相棒にオオカミ犬が居るから多少救われる所はあるが、それでも苦しい。暗い話や、残酷な話が苦手な人にはあまり勧められないかもしれない。人間とは、何処までも残酷な行為を、自らの大義の下で平気で実行することが可能な生き物なのだ。同族同士で殺し合い、傷つけ合うことはこんなにも簡単なのに、愛し、慈しむことはこんなにも難しい。だからこそ、誰かを思いやる気持ちを大切にしたい、と何だかまとまらない感想になってしまった。

Posted byブクログ

2022/12/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

スゴ本です。しかしながら、うーむ、なのです。 この本ほど、感想が書きづらい本ってなかなか思いつかない。どんな本か30秒で説明して?ってお願いされる方が楽なんだよね。しかし、これをどう読んだか、どう感じたかって聞かれたら悩むわー! Amazonやらブクログやらで他の人の感想読みまくったけど、正直真正面から感想いえていた人はまだいない印象。どっちかってとみなさん、まだ咀嚼しきれなかったってとこなんじゃないかな。ええ、もちろんワタクシもです。 まず、どえげつないトラウマ級の殺され方をした妻の死体を見ちゃうとこから物語スタート。うう、やだよね、お腹に穴あけられてそこを使って強姦されるなんて考えるだけで痛すぎる。しかも胎児を狙って?頭部にナイフ。ううう。 ところがこれ、猫が説明してくれてます。そのあと金魚、鳩、雀、犬、ネズミ、ハエ、ゴキブリなどなど… 前半はすべて犯人を追う夫を視野に入れる動物や昆虫が状況を説明。よって夫の心象風景ゼロ。え、なんでよ? しかもそれらの解説者、割によく死んじゃったり食われちゃいます。うーむ。当たり前だけど生態系の上位ばかりがヒトの周りにいるわけではないのでね。 そして犯人と対峙。色々あってケリをつけるが今度は自分のルーツを探すことになる。ここからが実は当初の殺人に輪をかけて酷い。よくこんなことを思いつくよね、え、これ実話?いや、実話ではないけどほぼ同じことがあり得た、そうか、そうかも… しばし、沈黙。 またまた視点が変わり、最後はニンゲン、の目線での物語。今までほぼ登場してなかった極めて客観的な人が、すごいことに巻き込まれ、見せつけられ、圧倒されて葛藤する。 映画にはできるだろうけれど舞台にはなるのかな、これ。 当初、なんで動物が?って思ったけどそれ含め、すべての伏線がしっかり回収され、わずかにしか出てこない人々もそれぞれにしっかと役割を果たす。おそらくは丁寧に作られた物語(舞台?)なのだが、語り部の変化とともにがくがく話が途切れる前半、言語を変えて語られる後半の前編、後半最後編の、まとめの視点を持つ人物と主人公との関係性の希薄さ…などなどすべてにおいて計算しつくされた不協和音がじゃりじゃりと気持ち悪い。 もんのすごい話しだってのはわかった。 だけど、歴史や背景がしっかり備わってない身には少々、持ち重りがする。んだよなあ。 ワタクシじゃなくてもっと、歴史学者みたいな人に解説してもらいながら読むといいかも。いや、読むじゃないな。 紙の本って媒体じゃなくてなんなら、You Tube とかでゲーム実況みたいにさ。聴いたり画像解説入れてもらって見たりしながらもすこし入り込めばさ、うん、なんとかちゃんと咀嚼できそうかも。 そんなYouTuberの方いたらぜひ、チャンネル登録しますので、お知らせお願いします!

Posted byブクログ

2022/05/15

凄まじい本だった、あまり上手くはいい表せられない。アイデンティティを奪われ、自分を肯定できない登場人物たちが、傍にいる動物の目線で描かれる。動物の展開にも緊迫したもの、緩やかに展開するものがあり、正直読み慣れなさがあるが、没入すると他で得難い感覚がある。 正直に言って背景も含め存...

凄まじい本だった、あまり上手くはいい表せられない。アイデンティティを奪われ、自分を肯定できない登場人物たちが、傍にいる動物の目線で描かれる。動物の展開にも緊迫したもの、緩やかに展開するものがあり、正直読み慣れなさがあるが、没入すると他で得難い感覚がある。 正直に言って背景も含め存分に味わいきれていない気がするので、繰り返し読みたい。

Posted byブクログ

2021/09/23

粗筋はシンプルで惨殺された妻の犯人を捜し、彷徨う男の話であるが、真相は最後の方に出るが、動物の目線からさすらう男の描写が描かれる。勿論作者の意図はレバノン内線の悲惨な爪痕を表現、というか、世界的に発信することかと思うが。レバノンって丁度ムスリムとマロン流キリスト教が半分なんだって...

粗筋はシンプルで惨殺された妻の犯人を捜し、彷徨う男の話であるが、真相は最後の方に出るが、動物の目線からさすらう男の描写が描かれる。勿論作者の意図はレバノン内線の悲惨な爪痕を表現、というか、世界的に発信することかと思うが。レバノンって丁度ムスリムとマロン流キリスト教が半分なんだって。その背景により、他国の政治的軍事的介入により、内線が悲惨になってしまって、国よりも、民族信仰が根強く反映されちゃったようだよ。しかしさ、何かされたわけでもないのにバス爆破とか、考えが違うだけでそれやっちゃ。本当人間は愚かだな。

Posted byブクログ

2021/08/24

あらゆる動物たちの視点で描かれ、妻の悲惨な惨殺現場から始まるストーリー。後味の悪い描写も多々あるが、南北戦争、カナダの統合、サブラー・シャティーラの惨殺などの歴史が触れられる。そのような歴史にうといため正確に読み取れてない。また、ストーリーは『オデュッセイア』や『神曲』が下地とな...

あらゆる動物たちの視点で描かれ、妻の悲惨な惨殺現場から始まるストーリー。後味の悪い描写も多々あるが、南北戦争、カナダの統合、サブラー・シャティーラの惨殺などの歴史が触れられる。そのような歴史にうといため正確に読み取れてない。また、ストーリーは『オデュッセイア』や『神曲』が下地となっているなど深すぎる。。再読の必要あり。

Posted byブクログ