邪魔 新装版(下) の商品レビュー
奥田英朗『邪魔 下』。 夫・茂則への疑惑が高まる恭子。パート先の待遇改善の団体交渉にのめり込んでいく… 放火の容疑者を追う九野。確信しているものの、逮捕にまでは至らない… 一方で、花村の逆恨みから、窮地に陥る九野。 恭子がそこまで… そこまでしなくても… 幸せな普通の家族...
奥田英朗『邪魔 下』。 夫・茂則への疑惑が高まる恭子。パート先の待遇改善の団体交渉にのめり込んでいく… 放火の容疑者を追う九野。確信しているものの、逮捕にまでは至らない… 一方で、花村の逆恨みから、窮地に陥る九野。 恭子がそこまで… そこまでしなくても… 幸せな普通の家族が、夫のちょっとした出来心から、地獄に… 子供たちが不憫でならない。 夫に自首させるべきだったのでは。 恭子の豹変、そしてまだ行方知れずとは。 九野にとってはこれでよかったのか。 九野は妻と義母の事故死以来、精神的に不安定だったんだな。途中から義母⁇だったが… 結局、邪魔なやつを排除するって、ことだったのか、自分が生きていくために。
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下巻を楽しみにしてたが まどろっこしく ラストは、呆気なく終わった感 上巻のほうがテンポがあり 面白かったかな。
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恭子の転落っぷりが凄まじく、あれよあれよという間にすごいことに…。 しかし応援するような気持ちで読んだ。 九野さんよ、どうか恭子を追い詰めないでくれ…! しかしやはり九野さんは有能だった。 恭子、これから新しい人生を生き直すんだろうか。 旦那さんを庇わずに悲劇の奥様で同情を買えば良かったのにね…と思ったけどきっとプライドが許さなかったんだろうな。針のむしろで生きていくのは。 何としても逃げて生き延びてやる!というエネルギーに圧倒された。 義母さんのことは途中からうっすら、もしや?と思っていたがやはりだった。 心のオアシスだったのに哀しい。 人生ってままならない。
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上下巻をぐいぐいと読ませる魅力はあるけれど、イヤミスのような読後感で、何か心に引っ掛かって考えさせられるようなものは得られなかった。
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下巻は本当にあっという間に読み終えた。特に後半は怒濤の展開で先が気になって読むのが止められなかった。 それにしても…恭子の堕ちっぷりは恐ろしかった。これまでずっと助手席に乗るだけの人生だったとの一文があったが、誰かに頼りきりで自分で何か決めることもなく誰かに連れてきてもらうだけの人生を送ってきたんだなぁ…と。一番の頼りの綱だった夫が犯罪を犯したとわかると、今の生活が奪われることに不安を感じ、でも一方で子どもたちだけは守りたいと思い、どんどんと道を踏み外し孤立し自分を見失っていく。一度手にしたものを手放すことはこれほどの恐怖と不安をもたらすことなんだと怖かった。 夫を許せなくとも、夫を見限って自分が子どもたちを育て守っていくという覚悟さえ持てたなら、自ら犯罪に手を染めることはなかっただろうに。 一方の刑事久野も、妻を亡くし心の安定を失っていた。唯一心の拠り所となっていた義母が本当はすでに亡くなっていたのは驚きだったけど、そうしなければ心が壊れてしまっていたんだろうな。 でも個人的には久野が精神的に不安定であることは、物語にはあまり関与していないように感じた。亡くなった妻と及川恭子が似ているという点も、ストーリーに影響があったようななかったような… 久野の過去や心の傷と、及川恭子の心の不安定さとの結びつきがもう少し分かり易いとよかったな、と思った。 終盤、恭子目線と久野目線とで同じシーンが繰り返されているのも少しくどくて読みにくかった。 しかし、全体的には『ほんの些細なことから平穏な生活が壊れていく』のが、リアルにスピード感をもって描かれていて面白かった。
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恭子の行動、心理が手に取るように感じられた。ヅルをする夫を非難するだけでなく、自分自身が敢えて目にしたくないものを避け、安穏と生きることに甘えてきた半生に気づくなど苦しい現実が迫ってきた。 甘えて生きるか、自分の人生を生きるか、選択肢があるから女は生きるのが難しい。
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上巻につづいて下巻も読了、後半のスピード感ある展開は映像が思い浮かぶようでした。恭子がその後どうなるのか気になりますが、九野刑事には幸せになってもらいたいものです。
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〈上〉の中盤くらいから予想外の展開が次々起こり、読み進む手が止まらなかった!平凡な主婦がどんどん強くなっていく姿が、痛々しかったり、カッコよかったりした。あと子供は本当に可哀想。
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郊外の、ほどほどの規模の住宅街。 高校生の裕輔、高校を既に中退している洋平と弘樹はオヤジ狩りのターゲットとして張り込み中の刑事・久野に接触、手を出してしまい、逆に怪我を負う。 久野は上司の命令で同じ署の刑事・花村の素行を調べている最中。 7年前に妻を事故で亡くし、以来、妻の母親...
郊外の、ほどほどの規模の住宅街。 高校生の裕輔、高校を既に中退している洋平と弘樹はオヤジ狩りのターゲットとして張り込み中の刑事・久野に接触、手を出してしまい、逆に怪我を負う。 久野は上司の命令で同じ署の刑事・花村の素行を調べている最中。 7年前に妻を事故で亡くし、以来、妻の母親を慕い、心の支えにしている。不眠がちで安定剤を常用している。 そんな住宅街にある自動車部品メーカーの支社に勤める及川は、自身の当直中に発生した火事の第一発見者。鎮火しようとして、火傷を負う。 深夜、救急隊員から及川の非常事態を告げる電話を受けた妻・恭子は命に別状がないことを病院で知り、安堵するが-。 火事は放火の可能性が高く、警察は捜査を開始。 当初は地元のヤクザによるメーカーへの報復と思われたが、久野は及川の態度に疑問を抱く。 妻を亡くして心の均衡を失った刑事と、夫が放火犯として疑われる平凡な主婦。 救いようがない方向に進んでいく二人の様子は、読んでいて楽しいものではないのに、目を反らすことが出来ず、引き込まれるように読み進めてしまいます。 それはきっと、 「人間の、ふとした事で垣間見える小さな真実(解説より)」 を見事に描きあげているからだと思います。 思い通りにならない理由を、人は他人の存在とし、邪魔だと思う。 けれど、邪魔だと思うか、大事だと思うかは、ほんの紙一重じゃないかとも思います。 悪意の対象だと、邪魔。好意を持つ相手だと、自分を責める。 人は勝手だなぁと感じます。著者の狙いとは違うのかもしれませんが。 読後感は、よろしくないです。ずっしり、重く残る作品。
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及川恭子の市民運動に傾倒していく姿や、ラストに向かって狂っていく様が興味深い。平穏な日常から堕ちていく話なのにもかかわらず、上巻序盤から一定のリズムを保ちながら中弛みすることなく、逆に変な心地よさで最後まで一気に読ませるのは流石。終わり方は少し呆気ない感じはするが、それでもとても面白い作品だった。 もしも人生が続けられるのであれば、しあわせに背を向けるのはやめようと思った。 しあわせを怖がるのはよそうと思った。 人はしあわせになりたくて生きている。そんな当たり前のことに、九野はやっと気づいた。 どうゆうわけか、この1小節にグッと惹かれた。
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