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青の音階 の商品レビュー

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2021/04/30

カバーの空の雲のような、うねりながら昇っていくようなイメージの水彩画。 音階、と書いて「スケール」と読ませる。 叙景を詠っても、そこに宿る命への哀憐がある。 キズだらけの手で、八方塞がりの中、九つ目の突破口を探し当てる。 鮮やかな描写、あふれる色彩、特別支援学級の廊下に落ちている...

カバーの空の雲のような、うねりながら昇っていくようなイメージの水彩画。 音階、と書いて「スケール」と読ませる。 叙景を詠っても、そこに宿る命への哀憐がある。 キズだらけの手で、八方塞がりの中、九つ目の突破口を探し当てる。 鮮やかな描写、あふれる色彩、特別支援学級の廊下に落ちている「ささやかな幸せ」、家族のこと、自我のこと、複雑な音色が重なり合って、この豊かな歌集を構成している。 泳ぐ 少年の背に オイルのように 貼りついている 真夏 頭を撫でるしかできない さみしい の代わりに ばか って言ってしまう子に 心を鷲掴みにされるたくさんの作品に、ただただ涙が流れる。 何がこんなに泣かせるのか、もうわからない。自分の胸の琴線が振り切れそうだ。 優しいだけじゃない、強いだけでもない、このしなやかさか。 この歌集は、私にとって宝物だ。 平凡な言葉しか浮かばなくて情けないけど、ただただ「素晴らしいです」と伝えたい。

Posted byブクログ

2021/03/01

 この歌集はたいへん複雑な人間の心のあらゆる層を書き連ねたような構造になっている。これだけ複雑なものを見たことがないといっていい。(中略)  自分に向かってこれほど容赦ない歌は、なかなか見ない。そのうえ、彼女をとりまく日常、環境は、たいへんそうに見える。このほかにも、すばらしい両...

 この歌集はたいへん複雑な人間の心のあらゆる層を書き連ねたような構造になっている。これだけ複雑なものを見たことがないといっていい。(中略)  自分に向かってこれほど容赦ない歌は、なかなか見ない。そのうえ、彼女をとりまく日常、環境は、たいへんそうに見える。このほかにも、すばらしい両親が、壊れていく歌もあり、すっと何事もなく生きてきたかのように見える伊東柚月という人が、大きなものを乗り越えてきた人であることがわかる。  自分に辛辣な人は、強いからそれができる。プライドの高さ、強さがあるからそれができるのである。(草壁焔太跋文より) 読売新聞の編集手帳に、過去3度も引用された歌の作者。  いっそ  大きく凹もう  いつか  多くを満たす  器になるのだ 凹んだ気持ちの人へのエールが支持を集めている。 歌集の中では、彼女の抱える重さ、乗り越えてきた道のりがみえ、多彩な感情が交錯される。 傷だらけの手は強さも弱さも書き記す。 市井社紹介ページはこちらから https://5gyohka.com/shiseisha/2021yuduki.html

Posted byブクログ