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もう死んでいる十二人の女たちと の商品レビュー

3.6

10件のお客様レビュー

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2022/03/16

2022.09 短編集 読んでいて不思議な空気感だった 解説がありがたい 光州出身の韓国人と その時代に生きていた日本人 どちらがよく知っているといえるのか 釜山の原発施設 何であれ、口に出した言葉には何らかの力がある 死んだ後も何度も殺す

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2022/02/27

「文藝」に掲載された短編が印象的で、この著者の作品をもっと読んでみたい、と強烈に思っていました。 この短編集を読むと、頭の中で断片的に考えているようなこと、外を歩いている短い時間に浮かぶようなこと、自分の中にごく短い時間しかとどまっていないようなことが物語になっているような不思議...

「文藝」に掲載された短編が印象的で、この著者の作品をもっと読んでみたい、と強烈に思っていました。 この短編集を読むと、頭の中で断片的に考えているようなこと、外を歩いている短い時間に浮かぶようなこと、自分の中にごく短い時間しかとどまっていないようなことが物語になっているような不思議な感覚につつまれます。これから仕事、という出勤の電車の中で読むことはあまりお勧めできません。 そして、韓国語で読んだときに、これらの話を果たして自分は理解できるだろうか?と思うような掴みどころのなさがあり、作品が翻訳されることのありがたさとすごさを感じる一冊でした。

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2021/12/16

パク・ソルメの短編集。"이미 죽은 열두 명의 여자들과"。実際の事件だったり、歴史的な光州事件(오일팔)だったり、福島の原発事故だったりを題材にして取り上げている。仮の場所にしたり、背景を曖昧にしたりしているが、知る者が読めばそう知れる。ジェンダーに関わる問...

パク・ソルメの短編集。"이미 죽은 열두 명의 여자들과"。実際の事件だったり、歴史的な光州事件(오일팔)だったり、福島の原発事故だったりを題材にして取り上げている。仮の場所にしたり、背景を曖昧にしたりしているが、知る者が読めばそう知れる。ジェンダーに関わる問題や社会問題を取り上げた韓国で注目される作家だと言う。

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2021/12/12

『もう死んでいる十二人の女たちと』パク・ソルメ なかなか入ってこない文体。故意に崩された文体だそう。 「人物の性格より背景、場面、場所」を重視する。 誰の目を通して何を見るか。

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2021/10/10

とても個性的な文体と独創的な物語で、著者の世界に入り込むまでに時間がかかる作品もあったが、実在する社会問題を連想させる作品もあり、興味深く読めた。 訳者の解説に「パク・ソルメの文体はかなり変わっていて、故意に崩された文が多々ある中毒性のある文体」とあり「翻訳するにあたり、できるだ...

とても個性的な文体と独創的な物語で、著者の世界に入り込むまでに時間がかかる作品もあったが、実在する社会問題を連想させる作品もあり、興味深く読めた。 訳者の解説に「パク・ソルメの文体はかなり変わっていて、故意に崩された文が多々ある中毒性のある文体」とあり「翻訳するにあたり、できるだけ再現したいと思ったが、文脈を追えなくなってしまう危険もあり、全てを再現することはあきらめた」とある。翻訳されたものではなく、韓国語のままで読むことができれば、もうちょっとするすると入り込め、また新たな一面を感じる事ができるのかもしれない。

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2021/12/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「そのとき俺が何て言ったか」★★★ 「海満」★★ 「じゃあ、何を歌うんだ」★★★ 「私たちは毎日午後に」★★ 「暗い夜に向かってゆらゆらと」★★★ 「冬のまなざし」★★★ 「愛する犬」★★ 「もう死んでいる十二人の女たちと」★★★★

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2021/09/12

難解というより、狂気の一歩手前の透徹さのような不気味な静けさとアンビバレンツを感じた。 「大団円の幕の手前、何らかの意義や守られるべき価値に到達する前の空間に立ち、その空間にとどまった状態で目に見えるものをまともに見ること」「私が耐えていかねばならない屈辱感はいつも、私より大きい...

難解というより、狂気の一歩手前の透徹さのような不気味な静けさとアンビバレンツを感じた。 「大団円の幕の手前、何らかの意義や守られるべき価値に到達する前の空間に立ち、その空間にとどまった状態で目に見えるものをまともに見ること」「私が耐えていかねばならない屈辱感はいつも、私より大きい。けれども私はそれらすべてとともに、ずっと生き残るだろう」 作者が立っている地点は通常の感覚ではとても苦しく、いたたまれず、そこにいられず、動いてしまうような地点に思えるが、解説によると作者はあくまでも自然体で、「体が必要な食べものを自然と欲するように、食べものを選ぶみたいに書いていこうと思います」とのこと。このような健全な姿勢から生まれている作品、目の前のものを見たままに書いた作品だというのに、まるで、悪夢のコレクションのようなテイストなのは、つまりこの社会が…。

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2021/09/04

文章自体も話の内容も、するっと飲み込めないが、するする読める。書き手の意識の流れがそのままそこに存在するかのように置かれている。ちょっと詩のようだ。よくわからないけど面白い。その辺の感じを、訳者が巻末220ページのところで実にうまく説明してくれている。

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2021/04/03

東日本大震災はとなりの韓国の作家の創作にも影響を与えるのだなと思いました。村上春樹さんが早稲田大学入学式祝辞で「小説という働きを抜きにしては、社会は健やかに前に進んでいけない。社会にも心というものはあるから」という発言があったと新聞で読んだとき、この小説を思い出しました。小説を通...

東日本大震災はとなりの韓国の作家の創作にも影響を与えるのだなと思いました。村上春樹さんが早稲田大学入学式祝辞で「小説という働きを抜きにしては、社会は健やかに前に進んでいけない。社会にも心というものはあるから」という発言があったと新聞で読んだとき、この小説を思い出しました。小説を通して、社会で起こる事件事故が昇華されて、読者の記憶に残る方法はいつでもあった方がいいのだと思いました。

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2021/03/29

福島の原発事故や光州事件など、実在する事故をモチーフに独特のリズム感で構築されるストーリー。 日本への憂い、韓国内の格差社会への疲弊。少々読みづらい文章ながらもその小さな揺らぎがまるで、韓国映画のような美しさで描かれている。 巻末の訳者解説がちょうどよい指針になる。

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