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日本化におびえる世界 の商品レビュー

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2021/12/20

世界は今、「日本化」しつつある。コロナ禍によって、景気後退、財政悪化など、この数十年、日本が陥っている状況が世界に広がりつつある。その実態と、日本の現状について説く書籍。 2020年の欧米経済界の大きなテーマは、「日本化」だった。 巨額の財政赤字を抱えつつ、ゼロ金利と量的緩和で...

世界は今、「日本化」しつつある。コロナ禍によって、景気後退、財政悪化など、この数十年、日本が陥っている状況が世界に広がりつつある。その実態と、日本の現状について説く書籍。 2020年の欧米経済界の大きなテーマは、「日本化」だった。 巨額の財政赤字を抱えつつ、ゼロ金利と量的緩和で経済を維持する。この日本化のリスクは、新型コロナウイルスの感染拡大とともに、より強く意識されるようになった。 コロナ禍による世界の日本化。それは、次のようなものだ。 ・2020年の世界の経済成長率はマイナス4.4%と、厳しい落ち込みが予想されている。 ・コロナ対策の景気刺激策などで、各国の財政が大幅に悪化。 ・将来不安から出生数が減り、少子高齢化が進む恐れがある。 コロナ危機は、短期間で欧米経済を「失われた10年」を経た日本と似た状況に追い込んだ。有効な対策を打ち出せなければ、欧米は長期停滞に陥った日本の二の舞いになりかねない。 新興国でも、景気後退と財政悪化が進んでいる。 国だけでなく、企業でもデフォルトが増加する見通しで、企業も絡む新しい債務危機が懸念されている。 日本では、財政破綻など最悪の事態は回避されている。だが、状況は悪化している。2019年のドル建てGDP(国内総生産)は四半世紀前とほぼ同水準で、2017年の1人当たりの国民所得はG7の中で6位と、国民は貧しくなりつつある。 日本の危機認識にはズレがある。 東日本大震災後に実施した異次元金融緩和を、危機が去った後も続けたため、経済構造改革の先送りや財政規律の低下など、経済の劣化が進んだ。安易な危機対応のツケが、今後、経済に跳ね返る恐れがある。

Posted byブクログ