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ナラティヴ・セラピー・ワークショップBook(Ⅰ) の商品レビュー

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2021/03/10
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著者のワークショップは何度か参加していて、また、「基礎知識と背景概念」ということであるので、きっと内容は知っていることなんだろうと思いつつ、「復習がてら」に読んでみた。 たしかに、こんな話し、聞いたことあるし、いろいろな本で読んだことがある。つまり、「知っている話し」のはずなのだが、頭のなかで、いろいろなピースがつながって、大きな絵ができるみたいな感覚があって、一気に読んでしまった。 おそらくは、日本語で読める本としては、現時点で、もっともわかりやすく、かつ十分な深みをもったナラティヴ・セラピーの入門書ではないだろうか?(もっとも、他の本をいろいろ読んで、前提知識があったので、そう感じた可能性はあるのだが。。。) ナラティヴ・セラピーは、テクニックのまえに、考え方というか、哲学というか、認識論というかが大切なのだが、そこを正面突破で取り扱おうとすると、たちまち難解になってしまう。 一方、スキルやテクニックを中心に説明すると、なんだか浅い話しになって、表面的なところだけを自分の実践にとりいれて、玉砕、あるいは全く違うものになってしまう危険性がある。 で、この本はどうなっているかというと、基本は、実際にやってみるという観点、つまりスキル的な面を中心に紹介しつつ、なぜ、そうするのかというところを、理論的な側面とセラピーの現場で起きていることから説明していて、これまで、「理論」として学んでいたことの具体的、実践的な意味がわかってくる感覚があった。 そして、これらの説明の背景には、著者の実践の積み重ねがあるとともに、きびしい社会のなかで生きる人々への愛情というか、ケアがあって、また、社会正義(という言葉はなんだかしっくりこないが)という観点からの現実への憤りといったものを感じた。 延べ4日間の講義のあとに、逐語があって、これがまた驚きの展開なのだが、今回は、カウンセラーがなぜその質問をしたのかが脚注で解説されていて、しかも、この本のどのページでの説明に対応しているかまで書いてあって、とても理解が進んだ。(著者の前著の「ナラティヴ・セラピーのダイアローグ」の解説は、他の人の解説に委ねられていた) そして、最後に参加者からの声が集めらていて、ここにもナラティヴ的な共同性の考えが貫かれている感じがした。とくに、これまでロジャーズ流の「傾聴」を心がけていた実践家がナラティヴ・セラピーと出会って衝撃をうけたという話しは、今となっては、その感想自体が衝撃で、ある意味、これは貴重な記録だと思う。なぜなら、今や、ナラティヴ・アプローチが、いろいろなもののベースとなって、ある意味常識、スタンダードになりつつある気がするので。。。。(自分のまわりだけか?) あとがきには、2013年にでた「ナラティヴ・セラピーの会話術」は、「日本にさよならを言うための本だった」という衝撃の告白(!)があって、驚いた。 う〜ん、その時点から考えると、今、こうしてナラティヴ・セラピーが日本で広がりつつある現状は、まさにオルタナティヴ・ストーリーだな〜。 book2以降の展開が楽しみ!

Posted byブクログ