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翻訳教室 の商品レビュー

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14件のお客様レビュー

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2021/05/25

翻訳教室、とあるけれど、翻訳についてというよりは、「読むこと」についての教室、という感じの本でした。 思っていたのと違っていて、少し期待外れだったかな。 取り上げられていた絵本『ぼくを探しに』も、教育本くさい印象があって全然好きじゃないからかも。直球過ぎるというか・・・正し過ぎて...

翻訳教室、とあるけれど、翻訳についてというよりは、「読むこと」についての教室、という感じの本でした。 思っていたのと違っていて、少し期待外れだったかな。 取り上げられていた絵本『ぼくを探しに』も、教育本くさい印象があって全然好きじゃないからかも。直球過ぎるというか・・・正し過ぎて苦手。大人が絶賛する絵本、という印象。 しかし、この本に登場する小学生たちはものすごく鋭くて衝撃だった。 私よりよほど翻訳の才能あるなぁとほれぼれした。 自分の子ども時代がアホだったせいで、子ども相手だと私はついあなどってしまいがちだけど、そんな態度で接するとエライ目に遭いそうですね。 特に次の会話は、とても印象的だった。 Y「日本語で "it" にあたる言葉ってないんだよね」 赤「『それ』じゃないんだ?」 Y「うーん、なんかちがう。『それ』とか言えないようなものに使う。わたしはバイリンガルだけど、込み入った話になると、英語に切り替えて話す。どうしてって訊かれるけど、"it" にあたる語を日本語で言えないようなときに、英語に切り替わるの」 赤「英語をよく知ってても "it" って日本語にできないんだ?」 Y「日本語にないから。『それ』って言うと、意味がせまくなる」 いや、言っていること、非常によく分かります。

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2021/04/11

子供向けの授業なので、語り口は平易だが深い本。 翻訳に止まらず、読むという行為について あらためて考えさせられる。 著者の翻訳した本を、読んでみようと思った。

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2021/03/02

ーー訳者というのは、まず読者なのです。翻訳というのは、「深い読書」のことなのです。(p.14) 「読む」ことのプロ中のプロである翻訳家による本。異なる言語に架橋するための、柔らかで逞しい想像力を育む大切さを教えてくれる。 偶然、先日、ようやく『the missing piec...

ーー訳者というのは、まず読者なのです。翻訳というのは、「深い読書」のことなのです。(p.14) 「読む」ことのプロ中のプロである翻訳家による本。異なる言語に架橋するための、柔らかで逞しい想像力を育む大切さを教えてくれる。 偶然、先日、ようやく『the missing piece』の原書を手に入れた。まさか、この本でも取り上げられているとは。柳父章さんや多和田葉子さんの著書にふれた箇所もあり、これまでの自分自身の読書歴に重なるところが多い。また、ネガティヴ・ケイパビリティのような、最近の私の探求キーワードに触れた箇所もあり、この方の翻訳に私が惹かれるのももっともだと思えた。 鴻巣さんの翻訳には、ずいぶん前からお世話になっている。『嵐が丘』『風と共に去りぬ』から始まり、最近ではマーガレット・アトウッド作品やクッツェー作品まで。もしかしたら本棚にある名前では一二を争う多さかもしれない。 本書は小学六年生を対象にした翻訳の出前授業を中心にまとめられているが、内容は子ども向けではなく、中高生から大人がターゲット。語り口はやさしいし、読みにくさはないけれど、随所で考えさせられる。娘が英語を始めたら『the missing piece』と一緒に読ませよう。

Posted byブクログ

2021/03/05

2012年におこなわれたNHKの番組「課外授業 ようこそ先輩」の授業記録を元にしてちくまプリマー新書で刊行されたものが、ちくま文庫入り(より広い読者を期待して? プリマー新書版を絶やしてしまうのも惜しい気がするが)。 加筆・修正すこしあり、文庫版あとがきもついた。 出張授業は身...

2012年におこなわれたNHKの番組「課外授業 ようこそ先輩」の授業記録を元にしてちくまプリマー新書で刊行されたものが、ちくま文庫入り(より広い読者を期待して? プリマー新書版を絶やしてしまうのも惜しい気がするが)。 加筆・修正すこしあり、文庫版あとがきもついた。 出張授業は身近な電車になりきるという準備運動を経て、シェル・シルヴァスタインの有名な作品「ぼくを探して」の原文を日本語に翻訳するというもの。すでに英語に親しんでいる子もいればほとんどゼロに近い子もいたはずだと思うが、かんたんなゲームでつづりや辞書に親しみ、ポイントを押さえた解説やヒント・挿絵を頼りに、グループごとに協力してそれなりの訳文を仕上げていく姿におどろかされる。そして「翻訳」は決して一部の専門家だけの特殊な仕事ではなく、わたしたちの日常の読書やコミュニケーションの延長線上にあるものなのだな、と気がつく。 翻訳は深い読書であり批評であり、想像力で壁をこえ他者になりきり自分に還って自分の言葉として人に伝える行為であるということ。能動的に読むことの大切さ(そして楽しさおもしろさ)、個別の言語や文化それぞれのかけがえのなさと他の言語を学ぶ意味、こうしたことを実践を通じて12歳という年齢で学べた子どもたちはしあわせだと思うし、できれば教育課程の中でだれもがこうしたことを学べるようになってほしい。

Posted byブクログ