日本史を動かした女性たち の商品レビュー
一言、退屈だった。作者なりの「レディサムライ」の考察を期待していたが、ただ史料をなぞるだけの解説書でかなりの期待外れ。
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「ねね」といえば、何度も何度も映画、舞台、ドラマ、小説で描かれてきた豊臣秀吉の正妻である。 彼女には実子がいなかったが、たくさんの養子の母として、平和を希求し、子供を愛し、戦乱の世を生き抜いた女性だった。 著者は「レディサムライ」として「ねね」を中心とした日本の女性たちから歴史を...
「ねね」といえば、何度も何度も映画、舞台、ドラマ、小説で描かれてきた豊臣秀吉の正妻である。 彼女には実子がいなかったが、たくさんの養子の母として、平和を希求し、子供を愛し、戦乱の世を生き抜いた女性だった。 著者は「レディサムライ」として「ねね」を中心とした日本の女性たちから歴史を学び、未来に知識を伝えていこうとしている。 インパクトのある言葉だが、著者の言う「レディサムライ」とは、勇猛果敢な武将ではなく、皆のために生きる為政者としての強さを持つ女性のことだ。 さて、どんな姿なのだろう? 「ねね」はずいぶんと筆マメだったようで、たくさんの史料が残っている。 彼女の立場もあったと思うが、どうしても男性中心(武力を中心とした戦いの記録)になりがちな歴史の中で、稀有な存在だ。 可愛らしい(実は高貴な書き方なのだそうだが)のは、寄進状に「袮」と自分の名前の字母をサインしていた点。 公家の慣習に従って、とのことだが、高貴な身分の慣習とはいえ何となく可愛さを感じてしまう。 子供に戦の準備をしなかったり、キリスト教徒のために便宜を図ったり、母親としての側面が強く、また差別意識があまり強くはなかったのだろう、と著者はいう。 私もそう思うし、そうした政治や文化の舵取りの上手い人だったのだなと思う。 少し日本史の見方は変わっただろうか。 「ねね」もきっと間違いや失敗もあったことだろう。 しかし、伝わる史料からは私がこうありたいと思う人物像がうかがえる。 強く、優しく、柔軟に。歴史から学ぶことは実に多く、奥深い。
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