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第三帝国 の商品レビュー

4.3

9件のお客様レビュー

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2024/05/01

出版当初、話題になったナチズム研究の書籍。 話題になったのも頷ける本で、めちゃくちゃ面白い。 自分はナチス関係の書籍を熱心に追っているわけではないし、何ならこの手のナチス関係の本のスタンダードなものしか読んでいないので知識が固定化してしまっている。本書はそんな自分を揺さぶってくれ...

出版当初、話題になったナチズム研究の書籍。 話題になったのも頷ける本で、めちゃくちゃ面白い。 自分はナチス関係の書籍を熱心に追っているわけではないし、何ならこの手のナチス関係の本のスタンダードなものしか読んでいないので知識が固定化してしまっている。本書はそんな自分を揺さぶってくれるような本で、今後も折を見て読み返したいと思えるような本だった。 それにこの薄さにも関わらずかなりわかりやすくまとまっている。 ただ初めてナチス関係の書籍を手にする方は、ここから手を出すとちょっと難しいかもしれない。 なので新書で何冊か読んでから読むのがいいかもしれない。

Posted byブクログ

2022/01/26

ようやく、基本の4冊をすべて読み終えることができた。 https://twitter.com/takuya1975/status/1276444630070902784?s=20 本当は、昨年4月からの小野寺先生の授業の前に読み終えたかったけれど、結局1年近く遅れてしまった。

Posted byブクログ

2022/01/09

第一次大戦後、ナチが政権をとり、敗戦するまでを、権力掌握やユダヤ人迫害の過程、経済や社会の状況から戦争まで、コンパクトに幅広く網羅している。

Posted byブクログ

2021/12/14

ナチス支配体制ドイツに関するコンパクトな概説。 第一部:第一次世界大戦以前の流れから1932年のナチ党の躍進まで 第二部:1933年のナチ党を含む連立政権発足から第二次世界大戦直前まで 第三部:1939年のポーランド侵攻から終戦まで 訳者まえがきにもある、主にポーランドにおける...

ナチス支配体制ドイツに関するコンパクトな概説。 第一部:第一次世界大戦以前の流れから1932年のナチ党の躍進まで 第二部:1933年のナチ党を含む連立政権発足から第二次世界大戦直前まで 第三部:1939年のポーランド侵攻から終戦まで 訳者まえがきにもある、主にポーランドにおける「東欧支配を植民地支配の変種として見る」捉え方を目新しく感じた。第三部で何度か述べられている、西欧と東欧の占領の内実が大きく異なっている点や、東欧の人びとが労働力としてドイツ本国に強制的に連行された事実や、占領地での振る舞いによって実感できる。 第二部の冒頭でヒトラーが連立政権の首相に就任した後、わずかの期間で独裁者として権力掌握過程には驚かされた。連立政権が誕生した時点では56.1%はナチ党を選んでいなかったにもかかわらず、「一年半のうちに、ナチ体制は革命のあらゆる要素を内包するような、政治体制の完全な変革に成功した」という事実には、問題は含みながらも安定していると感じさせる国家社会が、これほどの短期間で変貌してしまう可能性があるということに恐怖を感じる。それにつづく終戦にいたるまでの、ユダヤ人迫害をはじめとした暴力支配の過程はまさに悪夢としか言いようがない。 本書では、当初はナチに批判的な国民も少なくはなかったにもかかわらず、ナチ指導部と一般のドイツ人が徐々に「共謀関係」にいたった経緯も描かれている。ドイツ国民がヴァイマル共和国を拒絶し、ナチの独裁を生んでしまった原因を単純に説明はできないのだろうが、本書から受ける個人的な印象としては、世界恐慌による不況と、そして何より、ヴェルサイユ条約での戦勝国による過酷な賠償請求が人びとの不満の源泉として深刻な影響を与えていたように感じられた。

Posted byブクログ

2021/08/04

ナチ体制の最新の研究がコンパクトにまとまっている。細かく章で区切りがなされていてテンポ良く読める。 個人的にはポーランド人の「ドイツ化」はあまり目を向けてこなかったので、10章「暴力の爆発」はかなり勉強になった。ナチスによる迫害はユダヤ人のみならず、ポーランド人に対しても残虐な...

ナチ体制の最新の研究がコンパクトにまとまっている。細かく章で区切りがなされていてテンポ良く読める。 個人的にはポーランド人の「ドイツ化」はあまり目を向けてこなかったので、10章「暴力の爆発」はかなり勉強になった。ナチスによる迫害はユダヤ人のみならず、ポーランド人に対しても残虐な行為をしており、対ポーランド戦は悲惨な結果となった(開戦〜1945年までに3500万人中の6分の1が命を失っている)

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2021/04/30

ナチズム研究者による、第三帝国についてを改めて考察し編纂された一冊。 “第三帝国の歴史をこれほどコンパクトな紙幅でまとめるというのは、大それた企てである。”と冒頭から著者は悩みを打ち明けていますが、様々な角度から既に研究された時代であるが故に、二番煎じや重複は良くても見解の相違が...

ナチズム研究者による、第三帝国についてを改めて考察し編纂された一冊。 “第三帝国の歴史をこれほどコンパクトな紙幅でまとめるというのは、大それた企てである。”と冒頭から著者は悩みを打ち明けていますが、様々な角度から既に研究された時代であるが故に、二番煎じや重複は良くても見解の相違がどうしても生じてしまうことを気にしていたのかもしれません。 淡々と事実から得られた情報を纏めたもので、難いですが信頼性の高い内容となっています。 読了して印象に残った点は、国民啓蒙・宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスが戦況悪化時での演説で発したこの一言です。 「君たちは総力戦を望むか?」 この発言を読んだ時に日本における“国家総動員法”や“一億総玉砕”という言葉が頭に浮かびました。 枢軸国であり同盟国であったからなのか国民性なのか理由はわかりませんが、言葉の響きが似ているように思います。 合意、休戦、講和というプロセスを戦時中に話すタイミングは非常に難しいですが、その道を廃して総力戦や玉砕の言葉が出た時点で指導者や指導層は戦争に失敗していますよね。

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2021/03/14

ナチズム研究の大家である著者が、平易かつ短いページ数でナチズムの最新の研究成果を語る入門書の翻訳版。たまたま手に取ったのはTwitterの「その道の専門家が選ぶ優れた入門書」的なハッシュタグで話題になっていたからなのだが、内容は非常に平易で大学1年生レベルの予備知識がなくても十分...

ナチズム研究の大家である著者が、平易かつ短いページ数でナチズムの最新の研究成果を語る入門書の翻訳版。たまたま手に取ったのはTwitterの「その道の専門家が選ぶ優れた入門書」的なハッシュタグで話題になっていたからなのだが、内容は非常に平易で大学1年生レベルの予備知識がなくても十分に読み進められるものとなっている。 もちろん入門書とはいえ、現代に出版する以上、最新の研究成果の盛り込みが求められる。本書で特に重視されているのは、植民地経済の延長線上にポーランドなどの東欧の占領を位置付ける、という視点である。植民地というと、どうしても欧州の列強がアフリカやアジアに対して行ったこと、というのが通説であろうが、生産力の確保や植民地住民への差別意識などという植民地支配においてみられる事象はすべからくドイツの東欧占領において、確かに共通している。 そうした観点も含めて、ナチズムを学ぶ上での極めて良い良書。

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2021/03/08

ナチスが台頭していった過程がよくわかるコンパクトな概説書。もう最初から戦争する気満々で、よく言われる”経済”も、国内のユダヤ人や戦争で分捕った周りの国をこき使って得たものを、ドイツ系白人のみに対して(不満の出ない範囲で)優遇したもので、とても経済政策と言えるようなものではない。ユ...

ナチスが台頭していった過程がよくわかるコンパクトな概説書。もう最初から戦争する気満々で、よく言われる”経済”も、国内のユダヤ人や戦争で分捕った周りの国をこき使って得たものを、ドイツ系白人のみに対して(不満の出ない範囲で)優遇したもので、とても経済政策と言えるようなものではない。ユダヤ人だけでなく、ジプシーもロシア人も”死んでしまえ”なわけで、自民族だけが優れているという狂信がいかに危険なものかがよくわかる。強盗の家族が”でも僕たちには贅沢をさせてくれた”というようなもので、本当にナチスに対して肯定できるようなものは何もないことがよくわかる。ナチスがなぜ今でも厳しい批判の対象なのか、事実をよく知ったうえで理解しないと。

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2021/02/15

 新書版で250ページという中で、第三帝国の歴史をコンパクトにまとめている。  もちろんどういった史実を重視し取り上げるかについて著者の考え方はある訳だが、ナチ支配確立以降の、ポーランド、ソ連の占領地域の植民地化の問題、またユダヤ人政策の経緯について比較的詳しく叙述がされている。...

 新書版で250ページという中で、第三帝国の歴史をコンパクトにまとめている。  もちろんどういった史実を重視し取り上げるかについて著者の考え方はある訳だが、ナチ支配確立以降の、ポーランド、ソ連の占領地域の植民地化の問題、またユダヤ人政策の経緯について比較的詳しく叙述がされている。  個人的に興味があるのは、なぜナチスが政権を取れたのかということだが、著書は2つの要因が決定的だったとする。1つは、大統領始め国民保守派の指導的グループが、権威主義的で議会に拘束されない統治システムを確立することを目指しており、そこでは左派自由主義政党や社会民主党、労働組合の影響力は排除されることとされていたが、選挙でナチ党が急進右派の最大勢力になってしまい、無視することが出来なくなってしまったこと。もう1つは、世界恐慌によりドイツ経済が崩壊し、ドイツ社会の多くがヴァイマル政治体制に対する信頼を失い、より急進的で前途有望な選択肢を試してみようと決心したこと、と言う。  ナチズムに関する本は汗牛充棟だが、本書は流れが良くまとまっていて、とても読みやすい。

Posted byブクログ