哲学漫想 の商品レビュー
昨年惜しまれながら逝去した著者の最後の評論集。 Ⅰは、表題となっている哲学漫遊が4編、いずれも「アスティオン」に発表された、知的好奇心を刺激する読み応えのある(いささか歯が立たない懸念も)哲学的思索。 Ⅱは、雑誌に掲載された5編の評論。 「二十一世紀の感染症と文明」では、コロナ禍...
昨年惜しまれながら逝去した著者の最後の評論集。 Ⅰは、表題となっている哲学漫遊が4編、いずれも「アスティオン」に発表された、知的好奇心を刺激する読み応えのある(いささか歯が立たない懸念も)哲学的思索。 Ⅱは、雑誌に掲載された5編の評論。 「二十一世紀の感染症と文明」では、コロナ禍について考察している。この禍に我々が耐え難いのは、「する」ことがないということ、要請されているのはいずれも何かを「しない」ことだと。 Ⅲ、Ⅳは、新聞に寄稿した現代日本への鋭い考察。 中でも刺激されたのは、「学ぶ意欲・能力」。 ここで、中室牧子氏の一文を紹介して、著者も賛意を表しさらに論述する。 政策として推進されている高等教育無償化は、格差拡大を助長する愚策だと。高等教育へ進む資格は「意欲と能力」なのに、就職に有利だとかみんなが行くからだとかで進学する現状を、打開するべきで、今や日本は「高学歴低学力」社会に陥ろうとしていると。 卒業試験や留年制度を取り入れて義務教育を徹底し、高度専門教育を受けたい意欲のある若者だけが高等教育に進めば、少子高齢化での生産者人口の減少問題も解決すると。 逆転的発想に共感できる気が大いに。
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哲学か… こんなふうに考えていることを明文化できることを尊敬する。 何歳になっても頭が明晰で素晴らしいです。
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2020年8月19日の逝去直前まで書き継がれた表題作ほか、戦後を代表する知識人が近年に雑誌・新聞に発表した諸論考を集成。
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