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津波の霊たち の商品レビュー

4.6

13件のお客様レビュー

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2024/05/12

東日本大震災、特に津波被害のあった東北地域について、日本に長く滞在するイギリス人の視点で見ているのが興味深い 家族を亡くし、家を失くし、その辛さに大小なんてなくてよいのに、まわりに比べたら、、と我慢と忍耐をしてしまう日本人 日本のらしさが、復興を促したけれど、閉塞感、苦しみを...

東日本大震災、特に津波被害のあった東北地域について、日本に長く滞在するイギリス人の視点で見ているのが興味深い 家族を亡くし、家を失くし、その辛さに大小なんてなくてよいのに、まわりに比べたら、、と我慢と忍耐をしてしまう日本人 日本のらしさが、復興を促したけれど、閉塞感、苦しみを増大させたのかもしれない 大川小の件は、深く知らなかったので、とても考えさせられた 大川小の父母たちのそれぞれの行動が胸を打った 子どもたちのほうが親を支えてくれている、本当にそう 今生きていることに意味がある 精一杯、生きよう

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2024/05/04

海外の方が書かれたとは思えないほど、正確かつ詳細な取材に基づく作品だと思いました。被災者それぞれが置かれた立場に起因する感情の機微にまで触れられており、震災がもたらした二次的な被害についても具体的に理解することが出来ました。

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2023/06/27

英国出身で東京在住のジャーナリストが著した東日本大震災に関する渾身のルポルタージュ。 ルポの核になっているのが、74人の児童が津波に呑み込まれた大川小学校の一件。裏山に逃げられる時間的余裕があったのに、学校側は運動場で約50分、生徒を待機させた。そして、避難を始めた1分後に津波に...

英国出身で東京在住のジャーナリストが著した東日本大震災に関する渾身のルポルタージュ。 ルポの核になっているのが、74人の児童が津波に呑み込まれた大川小学校の一件。裏山に逃げられる時間的余裕があったのに、学校側は運動場で約50分、生徒を待機させた。そして、避難を始めた1分後に津波に襲われた。その避難も川沿いの津波の来る方向へ誘導したものだった。 著者は、この事件について、実に綿密な取材を行い、死亡した家族の苦しみや葛藤など、生々しい証言を集めている。   かけがえのない我が子を失った親たちが、納得のいかない説明ばかりする学校側や教育委員会にぶつける怒りが強く伝わった。また、助かった子どもの親族、子どもの遺体が見つかった親族、見つからない親族おのおの違う立場から生じる機微や憎しみ、諍いも、十分な取材で鋭く分析されており、読んでいて、いたたまれない気持ちになった。 この本で著者がもう一つ強く伝えたかったのが、震災後、頻繁に起きた心霊現象。多くの人が幽霊を見たと訴え、交霊や除霊を行ったりしたという。遠野物語やイタコに象徴される東北地方の民族性や東北人特有の忍耐強さにも触れ、外国人の視点から、再三、津波に襲われてきた彼の地の特性をスピリチュアルな側面も含め、表現したかったのではないだろうか。 それにしても、最高裁の判決で、市、県から14億円以上の賠償を勝ち取りながら、大川小学校長の行動や問題となった教諭の証言の真偽、説明責任について言及がなかった点はふに落ちず、勝利感を味わえなかった原告団に対し同情の思いを持った。

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2023/03/24

12年前の震災で児童74人が津波の犠牲になった大川小の悲劇と、遺族による県・市を相手取った訴訟の行方を、外国人ならではの視点で追ったルポ。特徴的なのは、幽霊目撃、憑依など被災地に頻発したという心霊現象にも着目している点。地元住職が主宰する移動傾聴喫茶「Cafe de Monk」の...

12年前の震災で児童74人が津波の犠牲になった大川小の悲劇と、遺族による県・市を相手取った訴訟の行方を、外国人ならではの視点で追ったルポ。特徴的なのは、幽霊目撃、憑依など被災地に頻発したという心霊現象にも着目している点。地元住職が主宰する移動傾聴喫茶「Cafe de Monk」の活動を初めて知ったが、最後に語られる除霊のエピソードには心が痛んだ。 どれだけ時が経っても、当事者にとってあの悲劇の幕が閉じることはない。遺族の中にも忘れたいと願う人と、忘れてはいけないと思う人がいて、そこに葛藤が生じ、一つの結論で片付けられなくなる。誰かの是は誰かの否でもある。一枚岩に見えるグループの中でさえ、個々の目標はバラバラで方向性が食い違っていたりする。子どもの遺体捜索や、逃げ遅れの真相を求める活動の現実を知るにつけ、物事を一面だけで判断してはいけない、という思いも改めて強くした。そもそも海外向けらしいので、できるだけ多くの国の人に読んでもらいたい良書。

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2023/03/08

小川糸さんの本を読んで、この本の存在を知りました 先日のNHKでは南海トラフが起きたらという番組もしていました。たまたまこの時期に読み終わることになりました。 仙台空港にも行ったことがあるし、松島や福島にも行った テレビで津波のニュースを見た時、信じられなかった。大川小学校のド...

小川糸さんの本を読んで、この本の存在を知りました 先日のNHKでは南海トラフが起きたらという番組もしていました。たまたまこの時期に読み終わることになりました。 仙台空港にも行ったことがあるし、松島や福島にも行った テレビで津波のニュースを見た時、信じられなかった。大川小学校のドキュメンタリーも見た 人災だと思った さらにこの本。 外国人目線からの道北、事実、生き残った人たちの苦悩、真実を知りたいだけなのに何年もかかること、震災の後の人間関係、霊の存在 12年経つ今も、苦しんでいる人がたくさんいる 本当に起きたことだと知っている事と、現実は違いすぎて、本当の理解はできないと思う だからこそ、忘れないようにだけはしたいと思った

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2022/11/12

生半可な気持ちで読む本ではない。 だが、被災した人たちと同じ国で暮らす人間として、知っておくべき。 津波は一瞬で多くの人の命を奪うだけでなく、生き残った人たちの関係性も破壊してしまう。

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2022/02/23

おいそれと感想が言えるものではない。 本作品は著者が感情的にならずに、俯瞰で物事を捉えている為読み手による解釈は様々なのではないだろうか。 知らない事実を知れた事に感謝すると同時に無知を恥じる。 読み進むのがこれ程怖いと思った作品はないだろう。

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2021/10/15

 東日本大震災から十年、当時のニュース報道動画が頭の中で甦る。  9月1日から読み始め10月10日に読了した。 併読していた本は読めるのに、この本は一向に進まない。でも、嫌なら止めればいいとは思わなかった。  著者は《ダ・タイムズ》の東京支局長ジャーナリストとして日本に住む...

 東日本大震災から十年、当時のニュース報道動画が頭の中で甦る。  9月1日から読み始め10月10日に読了した。 併読していた本は読めるのに、この本は一向に進まない。でも、嫌なら止めればいいとは思わなかった。  著者は《ダ・タイムズ》の東京支局長ジャーナリストとして日本に住む英国人が、大震災という現実に遭遇した。読み始める前に英国の人に、日本の心情的な部分が理解できるのかという懐疑的な思いもあった。宮城県石巻市釜谷地区の大川小学校とその周辺を重点的に取材して、その場所に初めて訪れたのは2011年9月、震災から半年後だったが、彼は根気よく取材を重ね、予想は見事に裏切られたというのがこの本を読み終えた正直な感想です。  津波は、河口から約5㎞の距離にあった学校を襲い、校庭にいた児童78名中74名と、校内にいた教職員11名のうち10名が死亡した。その他、学校に避難してきた地域住民や保護者のほか、スクールバスの運転手も死亡した。  教職員の間では、裏山へ逃げるという意見と、校庭にとどまるという意見が対立した。しかし、当校自体が地域の避難場所に指定されており、すでに避難してきた老人がいた。  最高責任者である校長が、午後から年休を取って不在であった。当初の津波予報は波の高さが6mだったが10mに修正された。  小学校で避難場所について意見の対立が口論となり、最早収拾がつかない状態になっていた。最終的に三角地帯(新北上大橋のたもと河川)へ避難することになり、教職員と児童らは地震発生から40分以上たってから移動を開始した。しかし防災無線は、「海岸線や河川には近づかないで下さい」と呼びかけていた。津波確認から、15時36分つまり50分経って押し寄せた。  唯一、生き残ったE教諭は、避難の引率の最後尾にいて押し寄せてくる波を見て引き返し裏山に逃げたが、既に津波が押し寄せてきて身体が黒い水に浮いた状態で押し上げられ裏山の木に掴まって、九死に一生を得たと説明している。仮に引率が裏山へ避難したとしても、当日は降雪が凍結により滑って登れないという情報もあった。  当時の自治体の現状では、大川小学校の大惨事は避けられなかったのではないかと思わざるを得ない。  この小説は、東日本大震災の大惨事で甚大な被害状況を克明に伝えている。これは人の命の問題だと言うことはわかっています。しかしながら悪質なネット民は、この著書を参考にブログ等にて当事者の個人批判と裁判結果の批判、厳しすぎる政治批判まで展開しています。  この本を政治批判や誹謗中傷の道具に使うなよ

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2021/09/05

令和3年9月5日読了 大川小学校の児童と教師が、津波に襲われ亡くなったのは何故か。遺族同士の葛藤のなか、教育委員会、市県との裁判での戦い。生き残った大川小学校教員との真実を巡る戦い。 そして、震災後頻発した心霊現象。 何故、死ななければならなかったのか。何故、生き残ったのか。生と...

令和3年9月5日読了 大川小学校の児童と教師が、津波に襲われ亡くなったのは何故か。遺族同士の葛藤のなか、教育委員会、市県との裁判での戦い。生き残った大川小学校教員との真実を巡る戦い。 そして、震災後頻発した心霊現象。 何故、死ななければならなかったのか。何故、生き残ったのか。生と死の境界を挟んで生き残った人間は、苦しみ続ける。 東日本大地震は、まだ終わっていない。

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2021/10/01

いつか読まなければ…と思いつつ先延ばしにしていた本。今年の3月であれから10年。あの日自分がどこで誰と何をしていたか…そのあと続く余震の日々をどんな気持ちで過ごしていたか。今でもありありと思い出す。直接の被害を受けたわけではない私ですらこうなのに、当時東北地方に暮らしていた方にと...

いつか読まなければ…と思いつつ先延ばしにしていた本。今年の3月であれから10年。あの日自分がどこで誰と何をしていたか…そのあと続く余震の日々をどんな気持ちで過ごしていたか。今でもありありと思い出す。直接の被害を受けたわけではない私ですらこうなのに、当時東北地方に暮らしていた方にとって この本で紹介された人たちの声は、どんな記憶を呼び起こすだろう。津波が襲って来る前から私たちの社会はどうだったか?大川小学校では、何があったのか。読むのも辛い場面も多かったが、残された家族が生きていくため、 せめて同じ時代を生きている私たちは見てきたこと、聞いてきたことを語り継がなければならないと強く思った。#八蔵の会

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