子育て支援の経済学 の商品レビュー
数字をもとにしながら説明されており、学術書としてエビデンスを探している方には有効。 一方、わかりやすい新書ではないので、装丁から読み物を期待した方にとっては読む負担が大きいと思われる。
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第2章 理論的に重要なのは、充実した現金給付は必ずしも出生率の引き上げにつながらないという点だ。これは、現金給付の充実に子どもに対する投資がより強く反応する結果、子どもを持つことの限界費用を引き上げられてしまうためだ。 第3章 …特に保育所を必要としているような家族の多い地...
第2章 理論的に重要なのは、充実した現金給付は必ずしも出生率の引き上げにつながらないという点だ。これは、現金給付の充実に子どもに対する投資がより強く反応する結果、子どもを持つことの限界費用を引き上げられてしまうためだ。 第3章 …特に保育所を必要としているような家族の多い地域では、出生率をある程度引き上げることを示唆する結果が得られている。…保育所がそもそも利用できていないような状況においては、保育所の整備が出生率引き上げに一定の効果を持つ可能性が高い。 一方、すでに保育所が利用できていたスウェーデンや旧東ドイツ地域などでは、保育料金の引き下げや家庭保育支援金の給付を行っても、それほどはっきりした効果がみられるわけではないことも明らかになった。 第5章 多くの実証分析では、「育休制度の充実は必ずしも子どもの発達に対して影響しない」という結果が得られている。一方、育休期間が長期にわたる場合には悪影響となりうるということは政策上重要な知見といえるだろう。 第6章 社会実験プログラムから得られたデータを分析した結果の要点は、以下の3つにまとめられる。1つ目は、IQなどの認知能力に対する影響は短期的には大きいものの、プログラム実施後数年で消えてしまうということだ。2つ目は、非認知能力の改善がきわめて重要であることだ。攻撃性や多動性など、周囲の人々との間で軋轢を生じさせる外在化問題行動を減らし、将来の暴力犯罪への関与や警察による逮捕、そして失業を減らすことにつながっている。3つ目は、幼児教育の経済的な収益率は、株式市場への投資を上回るほど大きなものであるが、その半分近くは犯罪の減少を通じたものであることだ。これは幼児教育が正の外部性を持つことを意味し、政策的介入が必要であることを示している。 第7章 …保育所通いは子どもの言語発達をうながし、社会経済的に恵まれない家庭で育つ子どもの多動性、攻撃性を減少させることがわかった。 第8章 …育休制度が母親の就業に及ぼした影響についてみると、育休制度の利用率は全体的に高く、短期的には仕事への復帰時期を遅らせる傾向があるものの、中長期的な影響はほぼないことがわかった。 第9章 …1年間の育休は働く母親の割合を大幅に引き上げるが、それを3年に延長することは母親の就業にとってほとんど影響がないことを示している。 …大企業ならばそれほど大きな負担ではないかもしれないが、中小企業にとっては、その負担を軽減する補助金制度があるとはいえ、そうした金銭的・非金銭的な負担は無視できないほど大きいかもしれない。その場合、「育休3年制」は女性労働者に対する企業側の需要を減少させるという悪影響を持つと考えられる。したがって、供給側の行動だけに着目しても大きな効果が見込めない政策ならば、導入しないほうが賢明なのではないかというのが筆者の考えだ。 …1年間の公的育休制度導入は女性の就業を促進する効果がみられる一方で、3年間に延長しても効果がほとんどないということだ。 第10章 (1)介入効果は国によって大きく異なるだけでなく、一国内においても家庭の属性により異なりうる。 (2)改革前の女性就業率が低い国ほど、保育改革の効果は大きくなる傾向がある。 (3)祖父母による保育など、保育所以外の保育手段が広く利用されている場合、保育改革を行っても、その効果は限られたものになる。 (4)非労働所得の少ない家庭ほど、保育改革の効果が大きく出る傾向がある。児童手当などの公的扶助を受け取れない家庭、あるいはシングルマザーであるために配偶者の収入がない家計にとっては、低価格、あるいは無料の保育所を利用できることの効果は大きい。 第11章 …保育所を利用しやすい立場にある人ほど母親就業に対する効果が弱く、逆に、保育所を利用しにくい立場にある人ほど母親就業に対する効果が強いことがわかった。 …認可保育所の拡充は、祖父母による保育などを置きかえるため、必ずしも母親の就業増にはつながらない… …保育所の利用調整は、その意図せざる結果として、母親就業増があまり見込まれない家庭を優先する一方で、母親就業増が期待できる家庭の保育所利用を遠ざけてしまっている可能性がある… ■実証分析の理論と作法 A因果推論:差の差分析、操作変数法、回帰不連続デザイン B限界介入効果の測定 C構造推定
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給付金や育児休暇、保育園の拡大などいくつかの子育て政策について経済的な分析を踏まえて、政策的効果(子供増加につながるのか)を示した本。 経済学初学者でもわかりやすく解説が加えられており、経済学の学生や政策立案者でなく一般の人でもわかりやすい作りとなっている。 なかなかロジカル...
給付金や育児休暇、保育園の拡大などいくつかの子育て政策について経済的な分析を踏まえて、政策的効果(子供増加につながるのか)を示した本。 経済学初学者でもわかりやすく解説が加えられており、経済学の学生や政策立案者でなく一般の人でもわかりやすい作りとなっている。 なかなかロジカルな政治判断がされていないと思われる今日この頃、このような論建てでロジカルに子育て支援を拡大していってほしい。
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子育て支援施策(現金給付、保育園拡充、育休等)の社会的な影響について、限られたデータを使って定量的に評価を試みた1冊。 女性の就業率を上げるには現金給付<保育園。 幼児保育は、基本的に家庭でも保育園でも、子供にとっては同じ。ただ、母親の学歴が高卒未満の場合には、母子ともに保育園...
子育て支援施策(現金給付、保育園拡充、育休等)の社会的な影響について、限られたデータを使って定量的に評価を試みた1冊。 女性の就業率を上げるには現金給付<保育園。 幼児保育は、基本的に家庭でも保育園でも、子供にとっては同じ。ただ、母親の学歴が高卒未満の場合には、母子ともに保育園のほうが満足度が上がる。 育休は就業には必要だが、長期化しても就業率は変わらない。社会的費用(育休時期の給付)を考えると、伸ばしても就業率向上の効果を得られないから、あまり意味はない。
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テーマに興味を持ちました。 内容は、このようなテーマにありがちなジャーナリスティックな論調によるベキ論の展開ではなく、子育て支援策の実証研究、因果関係のエビデンスの紹介で、経済学の手続きに則って、過去の研究成果が丁寧に並べられていると思います。 現金給付の効果(2章)についても、...
テーマに興味を持ちました。 内容は、このようなテーマにありがちなジャーナリスティックな論調によるベキ論の展開ではなく、子育て支援策の実証研究、因果関係のエビデンスの紹介で、経済学の手続きに則って、過去の研究成果が丁寧に並べられていると思います。 現金給付の効果(2章)についても、こういったエビデンスを元にきちんと議論して欲しいし、今まで、世帯単位の経済政策となっていたが、実は家庭内(夫婦間)経済状況の差を埋めることが少子化対策になりうるのではないか(4章)といった課題提起もその通りだな、と思います。 現行の日本保育制度における優先順位の付け方(利用調整)は、フルタイムワーカーを優先する一方で、新規に労働市場に参入しようとする母には充分に届いておらず、女性の労働力化を目的と置くと、大きく効果を取りこぼしているのではないか(11章)、という論点も確かにあると思います。 一方で、こういう研究書の限界みたいなものも、率直に感じました。 「経済学の理論に則って論じるならば、こういう政策効果になる」という理屈も必要な場合があると理解はするつもりですが、全体的な読後感としては、「ふぅーん、うーーーーん」という感じです。 未来に向かってのビジョンが見えない、というか。 子育てに何を求めて、どういう家庭・社会を目指すのか、という関心とは、残念ながら、あまり、マッチしなかったかな、と思いました。
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図書館で。 子育て支援に関する様々な施策などを経済的・社会的な,視点などで分析・評価している。 分析方法なども紹介されているのが大学教授の著書ならではかな。 ザッと眺めるだけみた。 因果関係と相関関係がなかなか判別しづらい分野でもあるので総体な施策は難しのかも。でもなにもしない...
図書館で。 子育て支援に関する様々な施策などを経済的・社会的な,視点などで分析・評価している。 分析方法なども紹介されているのが大学教授の著書ならではかな。 ザッと眺めるだけみた。 因果関係と相関関係がなかなか判別しづらい分野でもあるので総体な施策は難しのかも。でもなにもしないでいいわけではないので地方自治体レベルや会社レベルで色々試してみるのもいいのではないかなぁ。 ダイバシティは大事だけど、施策としてなににフォーカスしてなにを改善するかが明確になってた方がわかりやすいのだろう。 子育て支援で出生率向上 なぜ少子化は社会問題なのか? 現金給付で子どもは増える? 保育支援で子どもは増える? 少子化対策のカギはジェンダーの視点? 子育て支援は次世代への投資 育休政策は子どもを伸ばす? 幼児教育にはどんな効果が? 保育園は子も親も育てる? 子育て支援がうながす女性活躍 育休で母親は働きやすくなる? 長すぎる育休は逆効果? 保育改革で母親は働きやすくなる? 保育制度の意図せざる帰結とは?
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子育て支援については既得権益死守なのか無知なのか エビデンスに基づかない声の大きいだけの人が多すぎる エビデンスに基づく政策よ広まれ
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