パンデミックの倫理学 の商品レビュー
コロナ禍を経た世界があらためて向き合わざるを得なくなった生命をめぐる倫理的諸問題について、厳しい現実を踏まえつつその議論の向かうべき先を分析する一冊。 命をあつかう際に参照されるべき普遍的原理について丁寧に論を進めながらも、たやすく答えを出すことを戒め、心情や直観に頼らざるを...
コロナ禍を経た世界があらためて向き合わざるを得なくなった生命をめぐる倫理的諸問題について、厳しい現実を踏まえつつその議論の向かうべき先を分析する一冊。 命をあつかう際に参照されるべき普遍的原理について丁寧に論を進めながらも、たやすく答えを出すことを戒め、心情や直観に頼らざるを得ない限界についても触れるなど、終始実践的な論考が展開される。
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医療資源の割り振り順の倫理考察 少し古いが、倫理的な思考実験の部分は面白い。 最大人数を助ける 限定的には最大生存年数を適用 の原則で決めてた
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イワケンの書評ブログから。有名な、どちらを犠牲にするかという二者択一の問題から語り起こされ、有事における倫理的判断へと論が展開される。
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【琉球大学附属図書館OPACリンク】 https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC04944153
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
難しい話、そして重い内容でした。例えば、ワクチンが一人分の時、70歳と20歳とどちらにワクチンを接種すべきかという問題。広瀬巌「パンデミックの倫理学」、緊急時対応の倫理原則と新型コロナ感染症、2021.1発行。パンデミック下で倫理指針が必要となるのは次の2つの理由から:一つは、人工呼吸器などの救命措置、ワクチン、抗ウィルス薬などの医療資源の選択的分配が不可避になるから。もう一つは、感染症という性質に起因、感染拡大を抑制するために人々の権利と自由の制限が必要となるから。そして、基本的な原則は、救命数最大化の原則と公平性・透明性の原則。
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covid-19への対応策に関する倫理学、哲学からの分析の提示 救命数最大化は公平なのか、最優先事項なのか 生存年数最大化は高齢者差別に繋がってしまうのではないか これらの問いに論理的に考察する
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タイトルからわかる通りパンデミック対策の倫理学からのアプローチについてまとめたもの。コロナ禍を受けてまとめられたものなのかと思ったら元々はインフルエンザのパンデミック対策をWHOがまとめる際にメンバーとして招致され議論した内容をベースとしているものらしい。その意味ではWHOも今回...
タイトルからわかる通りパンデミック対策の倫理学からのアプローチについてまとめたもの。コロナ禍を受けてまとめられたものなのかと思ったら元々はインフルエンザのパンデミック対策をWHOがまとめる際にメンバーとして招致され議論した内容をベースとしているものらしい。その意味ではWHOも今回非難されているけれども平時からそれなりに仕事をしていたのだなということが分かった。倫理学からのアプローチというのはどういうことかというと例えば命の選択をしなければならない事態になった時にどういう判断をすることが正しいのか、ということで本作も前半は倫理学の一般的な説明に充てられておりわかりやすい。科学全能の時代に宗教や哲学など意味がないという人がいるがとんでもない。救命装置をどちらの人に優先的に割り当てるのか、ワクチンはどういう順番に適用していくのが正しいのか、治療薬は、など医療現場が判断を迫られるのが酷な事項についてはこのように規範を決めておくのは有効だろう。移殖などの優先順位には倫理学に基づくルールが適用されていると聞いたことがあるがパンデミックについても準備がされていたことに驚いた。ロックダウンし都市閉鎖などをして感染拡大を防ぐ、というのが医学界の一般的な意見だろうし全く生活を規制するなというのが経済界の一般的な意見とするとそのような相反する意見を汲んで制約ある中でベストな選択を行うのが政治の仕事と思うのだが既にある程度のガイドラインがあるのであればこれに基づいて今回はこういう判断をするのだ、と説明するどけで良いのではないかと思った。どう見てもその場しのぎで、やってます感のためだけにいきあたりばったりに見える今の状況も少しは変えられるのではないかと思ったのだがなぜやらないんだろう…ガイドラインそのまま使うのがあれなら哲学者とか集めて諮問委員会みたいにしてもよかったかも。発生当初ならいざしらずもうけっこう時間経ってるのに不思議だ、という思いを抱きました。長くなってしまったな…。
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医療資源が豊富にあるように今までは見えていた日本では、 もし呼吸器が足りなくなったら誰の呼吸器を外すか といった議論に対し、嫌悪感や悲しみを感じる人がかなりいるように感じていた。 この議論は必要なものであるし、そこから導き出された結論も合理的なものであって、決して差別ではないとい...
医療資源が豊富にあるように今までは見えていた日本では、 もし呼吸器が足りなくなったら誰の呼吸器を外すか といった議論に対し、嫌悪感や悲しみを感じる人がかなりいるように感じていた。 この議論は必要なものであるし、そこから導き出された結論も合理的なものであって、決して差別ではないということを再確認出来た。 日本の終末期医療が不必要に潤沢すぎる(過剰すぎる)ことも、上の議論や結論を受け入れられない価値観を作る理由の一つなのではないかと、個人的に思っている。 治療とは誰に対して何をすることなのか(どこまでが通常の治療で、どこからが追加される治療なのか)、パンデミックや高齢者に関わらず、普段から考えて選択できる姿勢を作っておかなければならなかったんだなと思う。
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感染症蔓延時の医療資源分配の公平さを規範倫理学の研究を踏まえた応用倫理学の視点で基礎づけている。内容的には直感に沿うものが多いが、それがなぜ正当と言えるのかについて、丁寧に述べられている。
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