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城と隠物の戦国誌 の商品レビュー

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2021/01/12

 「隠物」って何?  書名を見た最初の感想である。  戦乱の続いた戦国時代の実相を描いてきた藤木氏が、戦国の村びとたちが命と財産を守るために、どのように対してきたか、城と隠物・預物に着目して解き明かしたものである。    戦国の城が民衆の避難所でもあったことを、中国やヨーロッパ...

 「隠物」って何?  書名を見た最初の感想である。  戦乱の続いた戦国時代の実相を描いてきた藤木氏が、戦国の村びとたちが命と財産を守るために、どのように対してきたか、城と隠物・預物に着目して解き明かしたものである。    戦国の城が民衆の避難所でもあったことを、中国やヨーロッパの城郭と対照させて論じ、領民に課された城の維持管理の普請役務と、領主の領民の安全確保が、双務的なものであったことを明らかにする。  城の避難所がどの場所であったかを探すため、郷土史家たちと共に具体の現地城址跡を踏査していく様が興味深い。     戦争が来た時に、家財をどうしたか。  各地から出土した銭甕の例や地下式坑、隠れ穴について、また、他の信頼できる人に財産を預ける預物のネットワークについて紹介がなされる。  戦国時代というと、武将同士の戦いに目を奪われがちであったが、当然その戦乱に巻き込まれるてしまう庶民の生活があった訳で、本書はそうした村びとたちの生き延びるための知恵や努力を明らかにしてくれる。  根拠となる史料についても分かりやすく解釈を示してくれたり、地図やイメージ図が付されていたりと、とても読みやすい。    

Posted byブクログ