日本地域デザイン史はものづくり「知」の宝庫 の商品レビュー
先ずはデザインを地域デザインというキーワードで、まるで野菜のように土地由来の産品のように取り扱う視点が新鮮でした。工芸とか図案とか日本語がデザインという英語によって乗り替わっていく時に、ついついここではないどこかからやってきたもの、ここではないどこかに中心点があるもの、と思ってし...
先ずはデザインを地域デザインというキーワードで、まるで野菜のように土地由来の産品のように取り扱う視点が新鮮でした。工芸とか図案とか日本語がデザインという英語によって乗り替わっていく時に、ついついここではないどこかからやってきたもの、ここではないどこかに中心点があるもの、と思ってしまいがちになる分野なのだと思いますが、そうではないことを気づかせてくれました。そして地域デザインを「気候風土への対応」「地域の生活スタイル」「地場産業」「地域の内発的な動き」「まちづくりと市民運動」「誘致のメリットとデメリット」「デザイン振興」「創造的な動き」というテーマで時間軸で捉えるデザイン史という手法にも興味を感じました。今、コロナの下中央集権ではない地方の復権の胎動を伝える論調もありますが、デザインに限らず、エリアとヒストリーの把握ということは地域のアセットの次世代化という意味でとても重要なアクションであると思います。本書はとても薄くシンプルな章立てになっていますが、非常に「使える」本になっていると感じました。
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