動物園・その歴史と冒険 の商品レビュー
いつもの図書館の新着本リストの中で目につきました。 著者の溝井裕一さんは西洋文化史が専門の関西大学文学部教授ですが、「ひとと動物の関係史」というあまり耳慣れない学問ジャンルも専門とされているのこと。 タイトルどおり、古今東西の「動物園」の歴史を辿りながら数々の興味深いエピソ...
いつもの図書館の新着本リストの中で目につきました。 著者の溝井裕一さんは西洋文化史が専門の関西大学文学部教授ですが、「ひとと動物の関係史」というあまり耳慣れない学問ジャンルも専門とされているのこと。 タイトルどおり、古今東西の「動物園」の歴史を辿りながら数々の興味深いエピソードを紹介しているのですが、その中で、最も私の印象に残ったのは、「戦時下の動物園」についてのくだりでした。 そこに記された国内外各地の動物園での「動物(生き物)」の扱いは、まさに“戦争の理不尽さ・醜さ”そのものです。
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「動物園」はいつから存在するのだろう?メソポタミアの『動物コレクション』から始まり、現代の展示方法に至るまでこの本を読むことで動物園の歴史を「冒険」できる。現代では動物の環境エンリッチメントも考慮しながら、よりリアルに動物社会を体験できる、まるで自然に迷い込んだような動物園が来園...
「動物園」はいつから存在するのだろう?メソポタミアの『動物コレクション』から始まり、現代の展示方法に至るまでこの本を読むことで動物園の歴史を「冒険」できる。現代では動物の環境エンリッチメントも考慮しながら、よりリアルに動物社会を体験できる、まるで自然に迷い込んだような動物園が来園者を伸ばしているようである。人間の支配・動物の非支配という関係性はなくならないかも知れないが、古代より人間が動物との寄り添い方を模索し改善してきたのであれば、やがてこの「垣根」も希薄なものになっていくだろう。これからもより動物目線に立ちながら、研究と保全の大切さを娯楽として魅せていく、「動物たちにまた会おうね」と思える動物園であり続けて欲しいと感じた。 個人的に特に印象に残ったのは「動物園の世界大戦」である。戦火に翻弄され、あるものは差し出され、処分され、時として食料になる。戦争は人間殺戮だけではない。動物もたくさん犠牲になっている。改めて戦争は絶対にやっていけないと思える内容だった。
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人間の野望が渦巻く、「夢の世界」の驚異のヒストリア!サントリー学芸賞受賞の俊英が動物園全史と冒険譚を巨細に描く。図版100点
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コロナ禍、屋外にある動物園にこどもらを連れていくと、そこには幼児連れ、小学生連れの家族が入場の前に手を消毒するために、長い列を作っているのであった。ゴルフや釣り等感染リスクが低い屋外アクティビティへの需要が増す中で、動物園もまた、オープンスペースで、普段の暮らしとは違う空間に囲まれることで、リフレッシュしたい、と思い足を運ぶ家族連れは多い。 この本の中で論じられている進化型動物園とでもいうのか、共生、境界線、地域の多様性を生かした形に動物園は今後も進化していってほしいし、動物園を訪ねる際は「野生空間」「過去」へのゲートウェイとしての動物園を想像して楽しみたいなと思った。 一般企業の資本が入る事の是非はあるだろうけど、コロナ禍の動物園の餌不足のニュースを見ると、市民の協力の他にも、企業が投資先として、コロナ禍でも需要増が見込まれる(って私は勝手に思うんだけど)進化型動物園にお金だしてもいいんじゃない?とか思っちゃった。感想は以上です♪
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<目次> 第1章 王都に響き渡る咆哮ー古代~近世の「動物コレクション」 第2章 動物園の成立と、そのユニークな文化 第3章 恐竜、ドラゴン、「未開人」-野心的な展示をめぐる冒険 第4章 動物園の世界大戦 第5章 動物のおうちは「バスルーム?」-戦後の発展と高まる批判 第6章 新たな地平を求めてー「支配をあらわす場」から「共生をあらわす場」へ <内容> 世界の動物園の歴史を紐解き、さらに現在の様子も付け加えたもの。著者はすでに『動物園の文化史』も出版されている(未読だが)。でもこの本でも十分にわかる。動物園を作る目的が、自らの立場の誇示から珍奇なものを見たいという欲求、世界を知りたいという欲望、そして現在は研究や絶滅危惧種の保護などへと変わっている。作りも動物を見下ろすものから、動物の中にお邪魔する形らしい。そういうことを知ると、「子供のため」と思っていた動物園が行きたいスポットへと変わっていく。
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