AIの倫理学 の商品レビュー

M.クーケルバーク(著者),直江清隆(訳者)

2022/10/15

AIにどのように道徳的責任を帰属させることができるか、させるべきか？

AIが直接的にそれらの理由や説明を提供することができるかできないかにかかわらず、人間は「なぜ？」という問いに対して答えることができなければならない。

2022/05/07

ネットワーク化された世界ではあらゆる電子機器やソフトウエアが悪意をもった人々によってハッキングされ、侵入され、操作されうる。重要なインフラや殺傷能力を持つ軍事機器のソフトウエアがハッキングされれば、社会全体が混乱し多くの人が被害をうける。軍事用とでは、自律型致死兵器の使用は明らかなセキュリティ上のリスクをもたらし、特に標的にされた人はもちろんのこと、それを配備した人にもリスクをもたらす。というのは、いつでもハッキングされて敵に回る可能性があるからだ。さらい、これらの武器を含む軍拡競争は新たな世界大戦を引き起こすかもしれない。非AI型のドローンが既にロンドンの大きな空港を妨害することができる現状を見ると、日常のインフラがいかに脆弱であるか、AIの悪意ある利用やハッキングがどれほど簡単に大規模な混乱や破壊を引き起こしうるかを想像するのは難しくない。加えて原子力技術などとは異なり、既存のAI技術を使うのに高価な機器や長期の訓練は必要なく、したがって悪意ある目的でAIを利用するハードルがかなり低い。PP88-89

2021/02/20

技術の哲学の第一人者がによる、AIにまつわる倫理的課題に関する概説書。非常にコンパクトにさまざまなトピックが整理されており、読書負荷もそれほど高くないので是非データサイエンスに関わる人は読む価値あり。
データセットの偏りによる差別構造の再生産や、自動運転版トロッコ問題などAI倫理の有名な例の紹介だけにとどまらず、物語論や徳倫理学など、人文的な思考ツールで問題を紐解いていく内容だが、それを専門としていない人間にもスッと入ってくる内容なので、気軽な教養のつもりで頭に入れておくことで、責任あるデータサイエンティストとしての一歩目になるのではないだろうか。
逆に本書の述べるようなAI倫理に無関心にデータサイエンスに関わる人々が恐ろしくなってくる。