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わたしは大統領の奴隷だった の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2024/07/22

大統領の妻(マーサ)の奴隷として生まれたオーナ。他の奴隷に比べて良い生活をしていたものの主人の付き添いをするうちに次第に自由に焦がれるようになっていった。 大統領宅から抜け出し女性一人で見知らぬ土地へ。自由を手に入れたオーナは自由黒人男性と結婚し子どもを産んだ。 ところが物語...

大統領の妻(マーサ)の奴隷として生まれたオーナ。他の奴隷に比べて良い生活をしていたものの主人の付き添いをするうちに次第に自由に焦がれるようになっていった。 大統領宅から抜け出し女性一人で見知らぬ土地へ。自由を手に入れたオーナは自由黒人男性と結婚し子どもを産んだ。 ところが物語はハッピーエンドでは終わらない。生活は困窮を極め、夫と子に先立たれてしまう。 やがてオーナは教会へ通い始めてバプティスト教徒となった。 七十歳を過ぎたオーナは牧師の新聞のインタビューに応じこう答えている。 質問者「ワシントン家(大統領宅)を出てから、奴隷の時よりもきつい仕事に耐えたなればならず、逃亡した事を後悔していないでしょうか」 オーナー「いいえ、わたしは自由の身になれましたし、神の子になれたのですから」

Posted byブクログ

2024/05/17
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※このレビューにはネタバレを含みます

『アメリカで生まれた黒人奴隷女性オーナ』が主人公。母親がお針子だったので、お針子として大統領夫人のマーサの世話をしていた。ある時、結婚のプレゼントとしてマーサの孫に送られることが決まり、オーナは決死の逃亡を決意する。逃げた先でも見つかったが、周囲の手助けでその追手を逃れることができた。オーナが逃亡のことを話したのは、70近くになってからインタビューが新聞に載る。 オーナという名前……『オーナー』に見えてしまって、奴隷主っぽい名前だなと思って読んでしまった。 オーナには異父兄弟が数人いる。奴隷女性の貞操なんて守られないという事が書かれていた。でも、実際にどうだったのかは誰にもわからない。お互いに同意があったのかなかったのか……奴隷の意思なんて資料として残ってないので何とも言えないけど、白人男性の思いのままに出来る権力差があったのは確実。あと、主人のお気に入りの奴隷もある程度やりたいことができただろうし……と、邪推すると止まらない。 逃亡後は幸せになりました……という物語ではないのが、現実だなと思う。 でもオーナの知らないところで『大統領の奴隷の逃亡』は大統領の元に残った奴隷たちの解放にも繋がった(すぐにではなかったけど)というのは、救いかなと思った。 アメリカの奴隷の歴史を知るにはちょうどいい感じの本。

Posted byブクログ

2022/04/17

物語ではなく、伝記というにも少し違う気がして。 オーナさんを中心としたワシントン大統領時代前後のアメリカ奴隷事情…という感じですか。 だから、本人の心情は本人が語ったもの以外はすべて想像。 「こうだっただろう」という描写が続きますね。 大統領の奴隷が逃亡し、自由を主張したことは、...

物語ではなく、伝記というにも少し違う気がして。 オーナさんを中心としたワシントン大統領時代前後のアメリカ奴隷事情…という感じですか。 だから、本人の心情は本人が語ったもの以外はすべて想像。 「こうだっただろう」という描写が続きますね。 大統領の奴隷が逃亡し、自由を主張したことは、アメリカの国民の「奴隷」に対する認識の変化に大きな影響を与えたのかもしれません。 本人にしてみれば、国全体はともかく、自らの意に添わない生き方をこれ以上したくはなかったということかもしれないけど。 なんにしても、彼女がいろんな情報を得られる立場にいたということは大きなことだったように思います。 知ることができるというのは大きな武器になる。

Posted byブクログ

2021/08/27

ワシントンといえば、桜の木を切ってしまったことを正直に言った少年、というイメージだけで、奴隷を何十人も「所有」していた南部の農場主の家に生まれていたことは全く知りませんでした。 ただ、あの有名なワシントンがこんな人だった、と暴露するほうが目的のような印象なのと、主人公目線ではな...

ワシントンといえば、桜の木を切ってしまったことを正直に言った少年、というイメージだけで、奴隷を何十人も「所有」していた南部の農場主の家に生まれていたことは全く知りませんでした。 ただ、あの有名なワシントンがこんな人だった、と暴露するほうが目的のような印象なのと、主人公目線ではなく第三者が語る形式で「〜かもしれない」のような表現が多く、読みにくいと感じてしまいました。 確かに「イギリスからの自由」を求めながら、奴隷には自由を与えていなかったのは大いなる矛盾だと気付かされたのはよかったです。 他の本で、もう少しアメリカのこのあたりの歴史を勉強したいと思います。

Posted byブクログ

2021/05/16

米国初代大統領のワシントン大統領の奴隷であったオーナという女性から描く奴隷制度についてのノンフィクション。ワシントンは農場経営者だった。そしてそこにはたくさんの黒人奴隷がいたという。オーナは年季奉公の白人男性と奴隷として暮らす母親との間に生まれた混血女性だが、父親は年季が明けると...

米国初代大統領のワシントン大統領の奴隷であったオーナという女性から描く奴隷制度についてのノンフィクション。ワシントンは農場経営者だった。そしてそこにはたくさんの黒人奴隷がいたという。オーナは年季奉公の白人男性と奴隷として暮らす母親との間に生まれた混血女性だが、父親は年季が明けると母娘をのこして農場を出る。オーナはワシントンの妻マーサの身の回りの繕い物などをする奴隷だった。オーナも小さいころから母親とともに働き、マーサの日々の暮らしを支える奴隷として仕えた。南部の農場から大統領になったワシントン夫妻について北部へと移ったオーナは、自由黒人という人たちを知る。そして、自分がマーサ・ワシントンの姪の結婚祝いとして贈られると知りワシントン家から逃亡することを決める。大統領夫妻は、奴隷としては良い暮らしをさせていたオーナが逃亡するとは考えてもいなかったという。できたばかりの奴隷解放の法律や助けてくれる自由黒人たちの協力のもと、オーナは人の持ち物である奴隷ではなく、自分自身のために生きる自由黒人となった。しかし、自由黒人としての生活は厳しく、最後まで厳しい暮らしであったという。そういった「めでたし めでたし」でないところがノンフィクションの強みである。辛くても自分で選べる自由さ、それを訴えたかったのであろう。

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2021/02/06

アメリカの初代大統領ワシントンについては「建国の英雄」というイメージが一般的ですが、南部出身の彼は、何百人もの奴隷を使用し、奴隷制度に何の疑問も持っていなかった人種差別に鈍感な人物だったのです。ワシントン婦人の所有物だったオーナは、モノのように孫へのプレゼントにされる直前、逃亡し...

アメリカの初代大統領ワシントンについては「建国の英雄」というイメージが一般的ですが、南部出身の彼は、何百人もの奴隷を使用し、奴隷制度に何の疑問も持っていなかった人種差別に鈍感な人物だったのです。ワシントン婦人の所有物だったオーナは、モノのように孫へのプレゼントにされる直前、逃亡します。オーナを取り戻そうとするワシントンに対し、逃亡奴隷を助ける人々や決して諦めないオーナは、自由への固い意志をもって戦いを挑みます。ハラハラする展開で最後まで一気に読ませるノンフィクションです。アメリカの奴隷制度と現代まで続く人種差別の本質的な問題が見えてきます。

Posted byブクログ