遺訓 の商品レビュー
当時の状況が目に浮かぶような表現でとても面白い。いっき読みしてしまいました。 最も恐れるべきは立場による人間じゃなく、無私の心で淡々と仕事を進める人間なのか。 江藤新平 酒井玄蕃、大久保利通 誰かが勝ち、誰かが負ければ、そこからまた戦いが生まれる。 最初は誰もが自分自身を顧みず大...
当時の状況が目に浮かぶような表現でとても面白い。いっき読みしてしまいました。 最も恐れるべきは立場による人間じゃなく、無私の心で淡々と仕事を進める人間なのか。 江藤新平 酒井玄蕃、大久保利通 誰かが勝ち、誰かが負ければ、そこからまた戦いが生まれる。 最初は誰もが自分自身を顧みず大義のために励むが、自分を守るための戦いにかわる。鳥羽伏見でやめるべきであった。 西郷隆盛、明治維新ついてもっと知りたいと思う。
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最高に面白かった。アクション映画を見ているようなハラハラするシーンあり。沖田芳次郎くんのキャラ設定が沖田総司くん二世みたいで胸が熱くなります。酒井玄蕃さまのシーンには涙。
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沖田総司の甥にして、天然理心流の遣い手たる沖田芳次郎は旧庄内藩の重臣から薩摩藩の西郷隆盛の警護を依頼される。西郷の護衛者となった若き剣豪の運命は・・・?旧敵・西郷隆盛と庄内武士が結んだ、絆。
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この本を開いた時から、大久保利通は悪人だった。そこから西南の役までの悪人ぶりは、大久保が暗殺されたことに納得させられる。庄内から見た西南の役を、沖田総司の甥である沖田芳次郎を通して描かれる。興味深く面白い。
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明治時代の初め頃、明治6年頃から明治11年頃を背景とした時代モノの小説である。 「明治6年頃から明治11年頃」?この時期というのは、“征韓論”という論争、政争が在って、明治政府の大物達が下野してしまい、士族反乱も相次いで起こるが、最大にして最も苛烈であった“西南戦争”が発生し、戦...
明治時代の初め頃、明治6年頃から明治11年頃を背景とした時代モノの小説である。 「明治6年頃から明治11年頃」?この時期というのは、“征韓論”という論争、政争が在って、明治政府の大物達が下野してしまい、士族反乱も相次いで起こるが、最大にして最も苛烈であった“西南戦争”が発生し、戦後に政府の主要な指導者であった大久保利通の暗殺事件が起こっている。 明治時代には様々な分野で色々な事が起こっている訳だが、「明治6年頃から明治11年頃」というのは殊更に劇的な時期かもしれない。 本作には何人かの視点人物が据えられているのだが、最も主要な視点人物は幕末期に<新徴組>(しんちょうぐみ)の隊士であったという青年、沖田芳次郎(おきたよしじろう)である。 <新徴組>(しんちょうぐみ)?これはやや知名度が低いかもしれない。 幕末期、200年以上も行われなかった将軍の上洛という状況が生じ、清河八郎の献策に拠って方々の有志が募られて<浪士組>が結成されて京都に向かった。 京都に着いて間もなく、清河八郎は「攘夷の尖兵に!」と主張して<浪士組>は江戸へ引揚げると言い出した。芹沢鴨を中心とする水戸浪士のグループや、近藤勇を中心とする試衛館道場の面々は江戸へ引揚げることに異を唱えた。そして彼らは京都に残留し、京都の治安維持を任務とする<京都守護職>に就任していた会津松平家の“御預”ということになって、<新選組>として知られるようになって行った。 京都に残留して<新選組>になった人達に対し、江戸へ引揚げた人達はどうなったのか?清河八郎は幕府関係者が手を下したとされるが、暗殺されていて、<浪士組>参加者達はとりあえず残っていた。これを“御預”として擁することになったのが庄内酒井家だった。江戸の治安維持という役目を負うことになった庄内酒井家は、<浪士組>の人達を<新徴組>と称して抱え、治安維持任務に邁進したのだ。 <新徴組>は隊列を組んで治安が悪化していた江戸市中を定期的に見廻るという活動をしていたが、その様子を江戸の人達が「お巡りさん」と呼ぶようになった。<新徴組>は、街の治安を護る警察官を俗に「お巡りさん」と呼ぶようになった“元祖”という側面も在る… <新徴組>の隊士の多くは、江戸での<浪士組>の募集に応じた方々の人達で、庄内酒井家に代々仕えていたのでもない人達ばかりだ。が、庄内酒井家が戊辰戦争で「敗れざる降服」を選ばざるを得なくなった後、庄内酒井家の家中の士と共に旧領内の開墾等に勤しんでいるという例が多かった。 本作の主人公と呼ぶべき沖田芳次郎もそうした例に洩れず、庄内酒井家に所縁の人達と行動を共にしていた。父の沖田林太郎や、叔父の沖田総司のように天然理心流の剣術を学んでいた剣客である芳次郎は、その能力を活かし、庄内酒井家旧領に現れる不審者を捕えるなどしていた。明治6年頃、そうした例が酷く多くなった。そういう辺りから物語は起こる… 芳次郎は揺れ動く情勢下で要人警護の役目を託される。戊辰戦争の際に庄内酒井家の精兵を率いて勇戦し、「鬼玄蕃」と畏怖された俊英である酒井玄蕃を護る役目を負う。 やがて刺客を撥ね退ける活躍を見せる芳次郎だが、それでも酒井玄蕃は彼を敵視する人達の毒牙に…そして「遺訓」が芳次郎に与えられる。芳次郎は鹿児島で活動することとなる。 「勝者」とは?「敗者」とは?「戦う」とは?「戦わない」とは?戊辰戦争を経ても、尚も政争に起因する内戦が発生した、或いは敢えてそうさせたという人達が在ったかもしれない世界が問い掛ける何か…そういうものが手に汗握る活劇、謀略を解き明かして行くような推理、芳次郎の淡い恋の行方、凄惨な西南戦争の戦場という様々な要素で綴られている。一気に読んでしまう… なかなかに魅力的な作品なので、広く御薦めしたい…
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沖田芳次郎という実在ではあるが、歴史上主流ではない人物を中心に据えて、庄内と薩摩、中央政府と地方、権力の勝者と敗者が絡み合う微妙な構図をうまく仕上げた作品かと思った。 これを読む前、伊東潤の『西郷の首』を読んでいたことから、大久保暗殺のところは、読み比べな感じで、面白く読み進めた...
沖田芳次郎という実在ではあるが、歴史上主流ではない人物を中心に据えて、庄内と薩摩、中央政府と地方、権力の勝者と敗者が絡み合う微妙な構図をうまく仕上げた作品かと思った。 これを読む前、伊東潤の『西郷の首』を読んでいたことから、大久保暗殺のところは、読み比べな感じで、面白く読み進めた。
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