細野晴臣と彼らの時代 の商品レビュー
「細野晴臣」という人物になったかのように読み進めることもできれば、それを俯瞰的に観察できる本でもあった。 はっぴいえんど〜YMO期の読み応えがすごい。教授やユキヒロが当時のことを振り返って語る新事実もあって、こんなことを思っていたのか・・・とワクワクした。
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8年の取材・インタビューなどの歳月を経て綴られた日本の誇る偉大な音楽家、細野晴臣の決定版とも言える評伝。東京港区、まだ当時は下町の色濃い白金台での出生から、若く優秀なミュージシャンをバックにつけてアメリカンポップスの再解釈に挑む近年のソロ作品・ツアーまで。もちろんこの過程には、は...
8年の取材・インタビューなどの歳月を経て綴られた日本の誇る偉大な音楽家、細野晴臣の決定版とも言える評伝。東京港区、まだ当時は下町の色濃い白金台での出生から、若く優秀なミュージシャンをバックにつけてアメリカンポップスの再解釈に挑む近年のソロ作品・ツアーまで。もちろんこの過程には、はっぴいえんど、YMO、ティン・パン・アレーなどの名グループでの活動も含まれるわけであり、それは日本のロック〜ポップスの音楽史を辿るにも等しい。 こうして評伝を読むと、知っているようで知らなかったはっぴいえんど末期のバンドの空気感や、大瀧詠一と細野晴臣の生涯のライバルとも言える好関係(その極点はYMOでの大ブレイクと『LONG VACATION』の大ヒットであろう)などを詳しく知れる点が面白い。そして細野晴臣という人間の歴史を辿るということは、大瀧詠一、松任谷正隆・荒井由美、矢野顕子、小坂忠、坂本龍一、高橋幸宏など、彼を巡る偉大な音楽家についても相当のページ数が割かれるわけで、彼らとの関係性をたどれるのも面白さの一つである。 個人的に非常に感銘を受けたのは細野晴臣が、自作曲について、自身の心情をそのまま歌うのが自身の作品観ではないということを名言する以下の発言であった。 「そのまま歌うのは日記や私小説であって、作品ではないと思うんです。自分の思いをいかにして作品にするか。それが曲作りですね。それが昔からポップスの伝統だったんですよ。だからそこには生々しさとか、そういったものは必要ないなと。(中略)パーソナルな曲は作ったその人でないと歌えない。自分の曲はほかの誰かでも歌うことのできる作品であってほしい。いまだに同じ思いですね」(本書p182より)
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