聖者が街にやって来た の商品レビュー
「愚者の毒」が面白かった&WOWOWドラマの「黒鳥の湖」のストーリーが良かったのを受けて宇佐美昨年2冊目。 面白かったです。 久しぶりに終盤まで犯人が誰だか絞りきれませんでした。負け惜しみを言うなら、候補の中にはいましたが。 愚者の毒とはまた全く違った文体、世界観ながらも引き...
「愚者の毒」が面白かった&WOWOWドラマの「黒鳥の湖」のストーリーが良かったのを受けて宇佐美昨年2冊目。 面白かったです。 久しぶりに終盤まで犯人が誰だか絞りきれませんでした。負け惜しみを言うなら、候補の中にはいましたが。 愚者の毒とはまた全く違った文体、世界観ながらも引き込まれました。 登場人物の数名は、ちょっと現実離れしすぎている設定ではありますが、そこを差し引いても満足度は高め。 この方は親子関係を根底のテーマとされているのでしょうか。 親に愛されずに育った子どもは、作品の中ではやはり幸福とは言えない人生を歩むことになりますが、そうであっても、作中の罪のない子どもに関しては、わずかながらもこの先に光が見えるのではないかと(現実的な範囲で)思える終わり方も良いと思います。 愚者~に比べると少しコミカルな雰囲気もあり、そこは私好みではない点と、犯行を描写したシーンの人称の使い方があと一歩だったよで、その分マイナス☆1つ。 とは言え、楽しめるミステリー作家なので他の作品も期待して読んでみたいです。 2021年22冊目。
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購入済み 2022.08.22. 頑張って166頁まで読んで、断念。 ぜんぜん興味が湧かない。 新興住宅と歓楽街の隣接する多摩川市湧新地区 花屋を営む桜子、その娘、高校生の菫子 花屋の常連、オカマバーのママ百合子、オカマのレイカ、桜子の幼馴染で差別発言の刑事、純。 菫子の彼氏、晃...
購入済み 2022.08.22. 頑張って166頁まで読んで、断念。 ぜんぜん興味が湧かない。 新興住宅と歓楽街の隣接する多摩川市湧新地区 花屋を営む桜子、その娘、高校生の菫子 花屋の常連、オカマバーのママ百合子、オカマのレイカ、桜子の幼馴染で差別発言の刑事、純。 菫子の彼氏、晃。不登校の一樹 世界的ピアニストで恋多き女、美食家の与謝野直美、その息子充。 多摩川市で市民を演者に行われるミュージカル。 何もかもが軽々しく、稚拙で、現実性に乏しく、おもしろくない。興味がもてない。 それでも、宇佐美まこと作品なんだから、こんなんじゃ終わらないって!と鼓舞して頑張って読んで166頁。 突然、もうページをめくることさえ嫌になり、脱落。 大好きな作家さんだけに読了できなかったことが非常に残念だが、こんな茶番に付き合ってる暇はない(笑)
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繁華街で花屋を営む桜子。娘の菫子は市民ミュージカルに出演することになった。 その街で連続して起こる殺人。菫子に彼氏ができたり、半グレ集団に襲われそうになったりといろいろなことが起こる。登場人物が結構出てくるが、ラストはうまくまとまっていた。ゲイのレイカはいいやつだと思った。
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神奈川県多摩川市湧新地区で立て続けに一人暮らしの女性の殺人事件が起こります。 女性が殺された後には必ず、一輪の花、パンジー、マリーゴールド、デンファレ、クレマチス、プリムラ(ダリア)が残されていました。 そしてもう一つの物語は湧新地区で育った歓楽街の花屋の一人娘、菫子(とうこ)...
神奈川県多摩川市湧新地区で立て続けに一人暮らしの女性の殺人事件が起こります。 女性が殺された後には必ず、一輪の花、パンジー、マリーゴールド、デンファレ、クレマチス、プリムラ(ダリア)が残されていました。 そしてもう一つの物語は湧新地区で育った歓楽街の花屋の一人娘、菫子(とうこ)。菫子は母一人子一人の高校生ですが、地域でやるミュージカル『聖者が街にやって来る』のオーディションに見事合格し、ヒロインの座を射止めます。 しかし、菫子は親しくなった名門進学校に通うIQ150の二宮晃(ひかる)と付き合い出し、別れますが、その後ストリートギャングの集団に二度襲われます。 一度目は菫子の店の常連客でおかまのホステスのレイカが怪力で助けてくれますが、二度目は近所の親に見放された中学生の一樹がまきこまれ大変なことになります。 これ以上書くと全部ネタバレなので、やめておきますが、一樹とレイカの心の交流には泣かされます。 そして、この物語にはピアニストの与謝野直美とその息子のミュージカルの音楽監督、与謝野充。そして二宮晃もピアノをやっていました。 そして、菫子の母親の元同級生の刑事、乗松純も絡んできます。 与謝野直美が海外で書いた食に関するエッセイが、各章の殺人の前に添えられているのがキーポイントです。とても洒落ていて美味しそうなエッセイですが、殺人の前菜と考えると怖いです。
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発展途上の街の様相や花屋の母娘をめぐる人間模様にストリートギャングや危険ドラッグといった不穏要素まで顔をチラつかせてまさに“混沌”の一言。 その混沌の中、深く確かに響くレイカさんの言葉。 一見バラバラのようだった登場人物と過去のピースが全て回収されピタリと嵌った解決はいつもながらお見事。 晃のような人間は変われるんだろうか。 花を買い続ける一樹も昔の夢を見続ける与謝野氏も、母親の愛情に飢えた子どもと大人どちらもせつなかったな。音楽家としては至高の生き方の与謝野直美、でもその犠牲を出してしまう一面にモヤモヤ。
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タワーマンションや昔ながらの街並みなど新旧乱れる架空の都市・多摩川市。さらに発展しようと市民参加のミュージカルを立ち上げることに。その準主役として選ばれた桜子の娘・菫子。有名な演出家に怒られながらも、懸命に頑張っている一方で、恋の発展も・・・。 時を同じくして、その地域では奇妙な...
タワーマンションや昔ながらの街並みなど新旧乱れる架空の都市・多摩川市。さらに発展しようと市民参加のミュージカルを立ち上げることに。その準主役として選ばれた桜子の娘・菫子。有名な演出家に怒られながらも、懸命に頑張っている一方で、恋の発展も・・・。 時を同じくして、その地域では奇妙な死亡事件が続発している。2つの話は、平行しているかと思いきや、いつの間にか繋がっていることに。そして驚きの展開へと進んでいきます。 「聖者が街にやって来た」ということで、明るいイメージを想像していましたが、殺人や貧困、ドラッグといった闇の部分が多く、「悪魔が街にやって来た」と思えるほどでした。 しかし、読みやすい文章やミュージカルに頑張る菫子の奮闘で、どんよりとした重い気持ちにはならず、さらりとした気分で読めました。 各章ごとに犯人の視点が登場するので、殺人事件をメインにしているのかなと思いましたが、桜子と菫子の親子の話を中心としたストーリーになっていました。 その辺のバランスが曖昧かなと思いましたが、総合してみると登場人物が発する「愛」が交錯したヒューマンミステリーとして形が完成されているのでは?とも解釈できました。 この作品は、様々な親子愛が紹介されています。その人を 守りたいという気持ちや捨てたい気持ち、歪んだ気持ちなど異なる親子のそれぞれの形が、物語を引き立てています。 何故犯行に及んだのか?その背景も物語に奥行き感を出してくれるので面白かったです。 ただ、それぞれの登場人物の心理描写を深く掘るわけではないので、じっくりと味わうという意味では楽しめないかなと思いました。 でも、ミステリーとしての面白さはありました。後半になると、衝撃の展開、衝撃の犯人でしたので最後まで楽しめました。逆境に立ち向かいながらも、菫子が奮闘する姿には応援したくなりました。
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