ヴァルモンの功績 の商品レビュー
翻訳者インタビューが創元推理のwebサイトに載っていた頃から気になっていた本。1904年の雰囲気まんまんの訳文は辞書が必須。 序盤2篇はついていくのがきつかったが残りはすべて面白い。ヴァルモンのキャラも良い。
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傑作「放心家組合」をはじめとする天然ボケのフランス人ヴァルモンの探偵譚の面白さは言うまでもない。ロンドンの高級住宅街に住むサマーツリーズ氏は文筆業を自称するが毎日袋いっぱいの銀貨を銀行に預けに来る。警察は偽造銀貨製造に関わってると睨んだ。その金はどこから来るのか。サマーツリーズの...
傑作「放心家組合」をはじめとする天然ボケのフランス人ヴァルモンの探偵譚の面白さは言うまでもない。ロンドンの高級住宅街に住むサマーツリーズ氏は文筆業を自称するが毎日袋いっぱいの銀貨を銀行に預けに来る。警察は偽造銀貨製造に関わってると睨んだ。その金はどこから来るのか。サマーツリーズのおかしな行動が明らかになりヴァルモンは事件解決に踏み込むが…。ホームズのパロディ2篇も素晴らしい出来だ。特に「第二の分け前」は笑える。ネタバレするので言えないが、ドイルとホームズ譚を掲載していたストランドマガジン発行者が儲けた原稿料を分けようとしてるところにホームズがやって来て…という笑える話である。翻訳が上手いこともあって120年前の小説とは思えない傑作短編集
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いやぁ、面白かった! 『放心家組合』だけは他のアンソロで読んだ事はあったのですが、そのヴァルモンの登場する短編作品全8篇+ホームズパロディの2篇収録。 読んでる最中、元々の作品の持つ諧謔味はもとより、その文体が面白いなぁと感心しながら読んでいたんですが、訳者あとがきを読んでその...
いやぁ、面白かった! 『放心家組合』だけは他のアンソロで読んだ事はあったのですが、そのヴァルモンの登場する短編作品全8篇+ホームズパロディの2篇収録。 読んでる最中、元々の作品の持つ諧謔味はもとより、その文体が面白いなぁと感心しながら読んでいたんですが、訳者あとがきを読んでその並々ならぬこだわりに驚きましたね。15年かけて熟語も工夫されてて。漱石が翻訳したら的方向性なのも面白い。『吾輩は猫である』との関係についても解説で触れられてて、単純なミステリファンだけでなく、近代文学的にも面白い1冊です。 ホームズパロディも、2篇ともとてもエッジがきいてて面白かった。
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海外ミステリの短編集はあまり部数が出ないので、邦訳もされづらいと言われてきたが、最近、〈クイーンの定員〉に選ばれている作品集が段々と読めるようになってきているのは、本当に嬉しい。 本書収録作の『放心家組合』は、乱歩が推奨したことで有名だが、そのほかの作品も、元パリ警察刑事局長...
海外ミステリの短編集はあまり部数が出ないので、邦訳もされづらいと言われてきたが、最近、〈クイーンの定員〉に選ばれている作品集が段々と読めるようになってきているのは、本当に嬉しい。 本書収録作の『放心家組合』は、乱歩が推奨したことで有名だが、そのほかの作品も、元パリ警察刑事局長、今はロンドンで私立探偵をしているウジェーヌ・ヴァルモンの活躍(?)、独演振りが楽しめる。また、節々で披露されるイギリスとフランスの捜査手続や捜査当局の考え方の違いが、諧謔と皮肉混じりに語られていて、1900年代初頭の当時としても誇張はされているのだろうが、クスリとさせられる。 そして、ボーナストラックのホームズもののパロディ二編がまたお得である。特に、『第二の分け前』は、ある意味衝撃的。 訳文は、訳者の文体模写の才が十分発揮されたもの。読者によって好みは分かれそうだが、時代背景、尊大で自信たっぷりのヴァルモンの語り口を考えると、個人的には好きだった。
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