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Anthropophyta人工植物門 の商品レビュー

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2023/01/16

造花を植物学の対象と仮定して観察する本。 造花の葉っぱの図版が並んでいる。 ジョークっぽい内容かと思いきや、各葉っぱの説明は材質や構造について淡々としたもので、言って見ればクールな印象だ。たぶん著者が本業アーティストで、アートの延長くらいの感覚で作っているのだろう。 葉だけに絞...

造花を植物学の対象と仮定して観察する本。 造花の葉っぱの図版が並んでいる。 ジョークっぽい内容かと思いきや、各葉っぱの説明は材質や構造について淡々としたもので、言って見ればクールな印象だ。たぶん著者が本業アーティストで、アートの延長くらいの感覚で作っているのだろう。 葉だけに絞ったことで、それぞれの造花の特徴の差が見やすいし、何よりページにレイアウトされた様子がカッコいい。 中国の造花工場の取材の写真も載せてる。 あとがきで、造花が人工物と自然物の中間に位置するような存在なこと、造花の生産には環境問題や労働環境の問題も見えたことを述べているが、もう少しで面白い考察が出てきそうで、出てこないところで終わっている。そこは、読者がこの本を受けて考えてみるのもいいだろう。 例えば。人が植物に対して思い抱く文化的価値の一端は、姿だけが似ている人工物で代替できている、という点から、人が植物や生命とどう向き合っていくべきか、自然の価値とは何か、といった問題に、意外な視点を加え得るかもしれない。 装丁はめちゃくちゃかっこいい。表4にだけ袖があって、植物の画像が入っているとか、工場の写真のとこだけはっきり見えるよう光沢めの紙に切り替わったり、こだわりがあって、意味を感じる。サイズ感や、造本も好みだった。

Posted byブクログ