額装師の祈り の商品レビュー
連作集。 細やかで繊細な人の心の揺れ動きを各話で描きつつ、全編で主人公が抱えていた想いを昇華させてゆく過程が描かれています。 終盤に急に出てきた登場人物が、主人公とその婚約者を取り巻いていた状況をがらりと変えてしまったので驚きました。かなり重要な人物のように思えたのですが、あま...
連作集。 細やかで繊細な人の心の揺れ動きを各話で描きつつ、全編で主人公が抱えていた想いを昇華させてゆく過程が描かれています。 終盤に急に出てきた登場人物が、主人公とその婚約者を取り巻いていた状況をがらりと変えてしまったので驚きました。かなり重要な人物のように思えたのですが、あまり深く触れられなかったのは主人公がそこから抜け出しかけていたからなのかな…。 それぞれの依頼人の変わった注文が、その人が抱えている問題へ帰結していくストーリーは読んでいて心地好かったです。
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文章が良みやすい。額装することで個の経験が一般性を持つものなら、私の人生にも額装して欲しいものがある。着想の妙といったところか。
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そろそろ文庫になりそうだけどまだかなと思っていたら改題されていて少し驚き。 2章のインコの話が好きです。
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「額を紡ぐひと」を文庫化した作品。 額装師という言葉はほぼ初めて聞いたのですが、ただ絵の枠組を作るのではなく、その絵を引き立たせる「脇役」のような存在ということで、今度からは絵だけでなく、額にも注目しようと思いました。 主人公は額装師の奥野夏樹。男性のような名前ですが、女性で...
「額を紡ぐひと」を文庫化した作品。 額装師という言葉はほぼ初めて聞いたのですが、ただ絵の枠組を作るのではなく、その絵を引き立たせる「脇役」のような存在ということで、今度からは絵だけでなく、額にも注目しようと思いました。 主人公は額装師の奥野夏樹。男性のような名前ですが、女性です。バスの転落事故により、婚約者を喪くし、意志を継いで、額装師になりました。小さな工房には、様々な依頼者が。ただ、額を作るのではなく、依頼者の背景となる過去や家、どんな絵に収めるのか色々なことを聞いたりします。 全5編の連作短編集です。 ただ、額装師という職業の魅力を伝えるよりも三人の過去に重点を置いている印象で、もう少し魅力が伝わって欲しかったなと思いました。 三人の過去が、まぁ重い事情を抱えているのですが、言葉の選び方が優しいためか、あまり重い気持ちにはなリませんでした。オブラートのような優しく包み込むような雰囲気にさせてくれるので、温かみがありました。 また、依頼者は奇妙な依頼が多いのですが、主人公の推理がちょっと無理矢理感があるかなと思いましたし、果たしてその推理があっているのか?〇〇なのでは?といったモヤっと感で終わるので、消化不良かなと思いました。 次作があるならば、今度は額装師としての魅力を前面に引き出していただきたいなと思いました。
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