青春とは、 の商品レビュー
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淡々と明子の高校時代が回顧されていく。10年ほどズレてはいたけれど、公立で共学という共通点だけで、じゅうぶん自らの高校時代がオーバーラップした。下校後の友達への連絡は、家の電話しかなかった、あの時代。 回顧の終盤でこんな文章が出てくる。 ーーこんなことのなにがそんなにおもしろかったのだろう。ーー 淡々と語られていくだけだけど、この一文にもってかれる。あの頃は、やたらめったら爆笑していた。みんなが楽しそうだと自分も楽しかった。ほんと、なんであんなに笑ってたんだろう。別に答えはいらないけど。 ラスト、はからずもボロボロと泣いてしまった。別に大きな事件が起こるわけじゃないけど、これまたもってかれる、短いふたつの文を読んで。それから、ほんとにラストの一文を読んで。 姫野カオルコの(決して爽やかとは言い切れないところが魅力の)青春モノは『終業式』が大好きなんだけど、これも大切な一冊になった。
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昭和33年生まれの乾明子(めいこ)さんが、現在(令和2年春・コロナ禍の真っ最中)住んでいる家の棚にあった古い品を引っ張り出しては思い出に浸るという話である。ぼくより7歳年上だが、登場する事象や固有名詞はなんとなく覚えていて懐かしかった。明子さんにはいろいろと複雑な事情もあるのだが...
昭和33年生まれの乾明子(めいこ)さんが、現在(令和2年春・コロナ禍の真っ最中)住んでいる家の棚にあった古い品を引っ張り出しては思い出に浸るという話である。ぼくより7歳年上だが、登場する事象や固有名詞はなんとなく覚えていて懐かしかった。明子さんにはいろいろと複雑な事情もあるのだがそのへんはさらりと流されているので、難しく考えず懐古趣味を楽しめばいいのかな? 最低限の注釈はあるが、この時代を知らない読者にはわからないかもしれない。
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乾明子62歳独身。シェアハウスに住むスポーツインストラクター。新型コロナの影響で職場であるスポーツジムが休館になり、家に籠り部屋の片付けでもしようとして見つけたのは一冊の本と名簿。それは、45年前滋賀の田舎の公立高校に通っていた頃、あの懐かしい青春時代の記憶を呼び起こすきっかけと...
乾明子62歳独身。シェアハウスに住むスポーツインストラクター。新型コロナの影響で職場であるスポーツジムが休館になり、家に籠り部屋の片付けでもしようとして見つけたのは一冊の本と名簿。それは、45年前滋賀の田舎の公立高校に通っていた頃、あの懐かしい青春時代の記憶を呼び起こすきっかけとなった。 ミシェル・ポルナレフ、フィーリングカップル5vs5、FMレコパル、フラップ式のデジタル式時計、ビューティーペア…。 昭和の懐かしいあれこれが描かれて、同年代の者にとってはたまらない。 でも、それだけ。懐かしいアイコンは揃っているけど、どうにも単調で、それが作者の自伝的物語であろうと、そこに胸を締め付けるような何かを感じない。 文体が私には合わないのかもしれないし、同級生を多く登場させすぎて焦点がぼやけたのかもしれない。 最後の芸術コースのエピソードだけは良かった。何が面白かったのかわからないけど笑っていたあの季節がその後の人生を支えてくれたという明子、幸せな青春だったんだなぁ〜
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くすっと笑って そのあとにじんわりと 懐かしさがひろがっていく。 かつて 誰もが過ごしたはずの 青春というときを振り返り きゅっと胸が締めつけられる感じ。 「青春を過ぎるとは ずっといると思っていた人が いなくなったことを知らされることである」
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正月に帰省しないなら、この小説がオススメ。 小説としては「彼女は頭が悪いから」(2018/7/20文藝春秋)以来2年振りの作品。 内容は、タイトルの通り、青春とは何か、を描いたもの。 著者と同年齢に設定された主人公が、家で見つけた古い名簿をきっかけに、高校時代の出来事を思い出す...
正月に帰省しないなら、この小説がオススメ。 小説としては「彼女は頭が悪いから」(2018/7/20文藝春秋)以来2年振りの作品。 内容は、タイトルの通り、青春とは何か、を描いたもの。 著者と同年齢に設定された主人公が、家で見つけた古い名簿をきっかけに、高校時代の出来事を思い出す。 直木賞受賞作の「昭和の犬」(2013/9/10幻冬舎)は、主に家庭内の狭い世界を描いたものでしたが、その中で高校に通う級友と言葉を交わすシーンが印象的でした。 異様な家庭内の狭い世界とは別に、普通の高校生として生きる世界もある、とわかる効果的なカットでした。 本作も、主人公の設定自体(異様な親に一人っ子)は同じなのですが、高校生活を主体に描きます。 序盤は、各章を同じ学校に通う一人一人にスポットライトを当てながら。 よく「人の良い面を見なさい。」「人の悪い面で無く」と言われますが、この小説を読むと「良い面」ではなく、ニュートラルに人を理解すれば良い。と教えられたように思います。 社会人とは違って、高校生と言うのは、往々にして、人に接して横柄だったり、ぞんざいだったり、雑で、配慮が足りないものです。と言うのは、自分が高校生だったときのことを振り返って、自分や、他の人もそうだったと記憶しているからです。とても、そのまま社会生活はできないし、非難しようと思えば、いくらでもネタがあったように思います。 しかし、高校生の時の、そんな細かなことを根に持ってあげつらう事は無用で、許し、思い出として語る事ができる成熟さが大人には求められると思います。 と、言うよりは、思い出にすることによって、若かった頃の自分や級友らと和解することが、現在を豊かに生きる工夫だと思います。 文章表現がうまくできませんが、そういうことが、なんとなくわかってもらえる人には、穏やかな幸福感が得られる、素敵な小説だと思います。 僕も、自分の高校時代の事を語りたくなるんだけれど、こんなふうに小説にできそうもないので、なるほど直木賞作家が書く小説なのだな。と買って読んだ自分の幸運が身にしみる次第です。 この小説は、もし正月に帰省しないなら、ゆっくり読むと良いです。 僕は、ちょうど年賀状を買ってきたところなので「心置きなく年賀状が書ける」と思いました。 つまり、古い友人へのクリスマスプレゼントに良いと思います。 いろいろ気を遣わなければいけない昨今の世知辛い世の中にあって、一服の清涼剤となると思います。
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小っ恥ずかしいくて泣きたくなる、穴があったら入りたいと思うのは、あなただけじゃない。 子供/若者/大人/年寄…… そんな大まかな分類にも故意に抜かしてしまいそうな青春時代のアレコレ、よくもよくも、こんなにも思い出させて下さってありがたいやらイタイやら。 カオルコさんの毒親の話は以...
小っ恥ずかしいくて泣きたくなる、穴があったら入りたいと思うのは、あなただけじゃない。 子供/若者/大人/年寄…… そんな大まかな分類にも故意に抜かしてしまいそうな青春時代のアレコレ、よくもよくも、こんなにも思い出させて下さってありがたいやらイタイやら。 カオルコさんの毒親の話は以前から随分聞かせていただいてましたし、同級生の方々のことも『ツイラク』で。たぶん。 他の誰にも著せない小説、有無を言わせぬ表現力でイタイ過去を炙り出されて快哉を叫ばねば。
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【定年後の人々のための青春小説】学級名簿をきっかけに、鮮明に甦る高校時代のこと。学校にしか居場所がなかった彼女の胸に、三十五年の時を経てこみ上げる思いとは。
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