「知らない」のパフォーマンスが未来を創る の商品レビュー
本書が提案する,あたらしい心理学は,いわゆる「心理学」ではない。 いわゆる「心理学」が要素還元的で,人間を自然と同一視した観点でとらえられると考えており,個人主義的だとすれば,あたらしい心理学は,全体論的で,人間の人間としての側面を考えており,コミュニティ的である。 ただし,...
本書が提案する,あたらしい心理学は,いわゆる「心理学」ではない。 いわゆる「心理学」が要素還元的で,人間を自然と同一視した観点でとらえられると考えており,個人主義的だとすれば,あたらしい心理学は,全体論的で,人間の人間としての側面を考えており,コミュニティ的である。 ただし,説明の便宜のために用いた上述の二分法自体をあたらしい心理学が否定していることに注意は必要である。 そこから派生することとして,因果的パラダイムの否定(Unscientific Psychologyではパラダイム自体を否定している),「知ること」の否定がある。そして,創造の可能性を論じられる。 これまでにホルツマンあるいはパフォーマンス心理学に関連する書物として, ・遊ぶヴィゴツキー ・Unscientific Psychology ・パフォーマンス心理学入門 ・パフォーマンス・ブレークスルー ・みんなの発達 を読んできたものの,まだまだホルツマン心理学の理解には程遠いし,実は理解しようとしている時点でホルツマンが否定するパラダイムにのっているのではないかとも思う。 ホルツマンの議論は自己啓発的にも読めてしまう。しかし,ホルツマンの言っていることを「自己啓発」として読んでしまうと,それはまったくホルツマンのことを読めていない。なぜなら,ホルツマンは「自己」(と他者という二元論)を否定するわけなので,ホルツマンの議論は決して「自己啓発」ではない。 では,なんなのか,というと,まだまだ肥大化した脳を持つわたしではうまく言語化できない。 「すべての文章を3回も4回も繰り返し読み直す必要がないように…私は話したいと思っています」(p.4)と述べているが,何回も何回も読み直していきたいと思う。(でも,それこそが肥大化した脳にとらわれているのかも?)
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