1,800円以上の注文で送料無料

いつかたこぶねになる日 の商品レビュー

4.1

11件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    6

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/09/22

高校のとき漢詩が好きだった。読むと水墨画の世界を思い出す。読み下し文にする法則みたいなものも面白いのだけど、実際漢字の韻などウィットにとんでいるところや、漢字を選ぶセンスを感じられて好きだった。そんなさりげない作者の漢詩への愛情と日常のはなしとの自然な行き来が心地よく、たまに手に...

高校のとき漢詩が好きだった。読むと水墨画の世界を思い出す。読み下し文にする法則みたいなものも面白いのだけど、実際漢字の韻などウィットにとんでいるところや、漢字を選ぶセンスを感じられて好きだった。そんなさりげない作者の漢詩への愛情と日常のはなしとの自然な行き来が心地よく、たまに手に取りたい本。 海外にいると言葉で隔てられて自分の声だけが純粋に自分の中に響き渡る、というくだりが、自分が3か月海外にいた時の感覚と近くてすごく共感できた。

Posted byブクログ

2024/08/23

漢詩って学校で習ったくらいしか 読んだことがなかったのですが そうか…読み下し文でなくてもいいんだ。 漢詩を現代語訳するのに 七五調でリズムよくすることにこだわらず ふつうに、現代詩のように訳してみる。 英詩や独詩はそうしているものね。 この本は、著者が試みたそんな訳詩や 日...

漢詩って学校で習ったくらいしか 読んだことがなかったのですが そうか…読み下し文でなくてもいいんだ。 漢詩を現代語訳するのに 七五調でリズムよくすることにこだわらず ふつうに、現代詩のように訳してみる。 英詩や独詩はそうしているものね。 この本は、著者が試みたそんな訳詩や 日常のできごとの中で思い浮かんだ 古来の漢詩を紹介してくれているエッセイ。 杜甫の『槐葉冷淘』の訳がすてき。

Posted byブクログ

2024/07/28

なんて美しい本なんだろう!というのが最初の感想。 一貫して、筆者の体験をもとにしたエッセイを中心に、読み進めていると気づけば漢詩を読んでいるという不思議な流れを受け入れている自分に気づく。 この料理には、あのワインが合うよねみたいな雰囲気で、筆者の体験からふっとそれに合う漢詩が自...

なんて美しい本なんだろう!というのが最初の感想。 一貫して、筆者の体験をもとにしたエッセイを中心に、読み進めていると気づけば漢詩を読んでいるという不思議な流れを受け入れている自分に気づく。 この料理には、あのワインが合うよねみたいな雰囲気で、筆者の体験からふっとそれに合う漢詩が自然と出てくるのが本当にすごい。個人的には、たこぶねの話と、スープの話と鏡の話が好き。 感覚を研ぎ澄ませ、文字の美しさに触れ、その短い文章から匂いや音や情景を想像する。こんな幸せすごく久しぶりに感じたなあ、と終始思わせてくれるような良書でした。疲れた時に、たまに読み返したい。

Posted byブクログ

2022/09/25

この本の文章を読むにつけ、著者はどんな経歴の人だろうと思う。なんだかハイソに浮世離れしている。言葉の達人らしく、勉強になるフレーズがいくつもあった。

Posted byブクログ

2022/09/14

図書館本から購入本。漢詩のイメージが一変!著者が南仏滞在のせいか、とてもお洒落な印象に変わりました。また緻密に計算され尽くした言葉と、初めて経験するような表現で織りなされるエッセイが極上で、すごく刺激を受けました。出会えてよかった一冊。

Posted byブクログ

2021/09/06

漢詩についての素養などまったくないけれど、だいじにしたいと思える本。 p.136の入院時のスープのエビソードは、最近読んだ『食べることと出すこと』でのプレーンヨーグルトによる味の爆発を思い出したりした。 そのほかこんなところがとても印象に残っている。 p.182 歴史上、日...

漢詩についての素養などまったくないけれど、だいじにしたいと思える本。 p.136の入院時のスープのエビソードは、最近読んだ『食べることと出すこと』でのプレーンヨーグルトによる味の爆発を思い出したりした。 そのほかこんなところがとても印象に残っている。 p.182 歴史上、日本人が漢詩というとき、いつでもそれは読み下し文を意味してきた。つまり漢詩は、視覚的・観念的には定型でも、聴覚的・実際的には音の数に縛られないフリースタイルの表現として人々に受け入れられ、愛されてきたのである。この認識はものすごく大切で、たとえば日本人が脈々と漢詩に求めてきたものとは、実は自由詩の感性だったのではないかとか、江戸後期から明治にかけて起こった監視ブームも、近代の夜明けを呼吸する人々が、より自在な言葉のテンポに自分の感情を乗せたかったからなのではないかとか、さまざまな想像が広がるし、またそこから見える世界も、とうぜんこれまでとは違ってくる。 pp.212-213 俳句は十七音のフレームに世界をおさめつつ、そのフレームの奥へ向かってイメージとか、マテリアルとか、テクニックとかいったレイヤーを重ねてゆくあそびだ。で、ここで誤解を生むのがフレームの存在で、これを一部の批評は鋳型にはめることだとみなして反動的だというのだけれど、いったいなんでそう思うのかが謎である。定型の使い手たちはそのつど新たに型と出会う、つまり世界を生き直しているのであって、カップケーキの型みたいなものを使用しているのではないのだ。ちょうど武術の型がそうであるように。

Posted byブクログ

2021/08/14

漢詩ってとっつきにくいなぁ…と今まで思っていたけど、そのイメージががらっと変わった。雄大な景色を美しく綴ったものはもちろん、もっと細やかなものや身近なものをのびやかに歌ったものも多いんだなぁ…。特に食に関する詩の素朴さが好きだった。心がほかほかするようなエッセイの中にするっと漢詩...

漢詩ってとっつきにくいなぁ…と今まで思っていたけど、そのイメージががらっと変わった。雄大な景色を美しく綴ったものはもちろん、もっと細やかなものや身近なものをのびやかに歌ったものも多いんだなぁ…。特に食に関する詩の素朴さが好きだった。心がほかほかするようなエッセイの中にするっと漢詩が溶け込んでくるのが良い。 筆者の書き下し文が素敵。いろんな人の声で朗読を聴いてみたい。

Posted byブクログ

2021/05/16

漢詩なんて何にも知らないのに、エッセイから広がる漢詩世界の美しさにうっとり。 「ないものをあると語り出すことによって はじめてこの世界はひとつの像として立ち上がる言葉の力の凄さ」とあったけれど、まさにこの本を通じて南フランスの情景が目前に。 しゅわしゅわとした炭酸水の向こうに広...

漢詩なんて何にも知らないのに、エッセイから広がる漢詩世界の美しさにうっとり。 「ないものをあると語り出すことによって はじめてこの世界はひとつの像として立ち上がる言葉の力の凄さ」とあったけれど、まさにこの本を通じて南フランスの情景が目前に。 しゅわしゅわとした炭酸水の向こうに広がる空 バオバブの実とクラブアップル 「花生眼」の意味に納得し、ぼんやりとした視界に花を見つけた。

Posted byブクログ

2021/05/05

エッセイに、漢詩が挿入されています。そのエッセイの部分から、声に出してよみたい気分になります。 素敵な本です。何回も声に出してよんでみたいです。

Posted byブクログ

2021/02/19

作者は「李白は遊戯性に優れ、杜甫は批評性が強みだよ」「李白は雰囲気と音色が素晴らしい反面、題材の幅がせまくて、どの詩も同じ曲を聴いているような退屈さがあるの。杜甫は発想が自由で、語彙が多く表現に厚みがあるけど、テーマ主義の面がとっつきにくいかな。ともあれ、どちらも読んでみれば、す...

作者は「李白は遊戯性に優れ、杜甫は批評性が強みだよ」「李白は雰囲気と音色が素晴らしい反面、題材の幅がせまくて、どの詩も同じ曲を聴いているような退屈さがあるの。杜甫は発想が自由で、語彙が多く表現に厚みがあるけど、テーマ主義の面がとっつきにくいかな。ともあれ、どちらも読んでみれば、すごく個性的な人たちだってわかるよ」といった感じで説明しているそうである。 漢詩は漢字ばかり。日本語の詩や、英語がわかる人には英字の詩に親しむ人は多いだろうが、漢詩?というので敬遠されがちかと思われる。読めないし。 僕も敬遠していた。関係ない世界だと思っていた。 ここには31篇のエッセイがある。まず、作者の自然のことやら南フランスの話とかのエッセイがあって、それで連想した漢詩が紹介される。ページの上に読みやすくわかりやすい日本語の漢詩の訳文があり、その下に漢詩が並ぶ。その後、漢詩のそれぞれの語彙や内容についての解説があり、最後の締めの文章が載る。素晴らしい構成で、漢詩がこの本によって初めて僕の近くにわざわざ来てくれて、その素晴らしさを教えてくれたのだ。感謝しかない、この素晴らしい漢詩の入り口に来ることができて。 「虹をたずねる舟」 作者が高校生の時、北方領土からきた英語の教育実習生ユーリ先生と外でお弁当食べて話す。その後、一度も彼と会うことはない、当然のようだが、「生きていれば別れがあるし、もっとありのままにいえば、この世界ではうしなわれるものだけが目のまえにあらわれる」漢詩の紹介、解説、漢詩の作者の人生、そして感動。 一編一編がこの調子の短い10ページほどの長さのものが、輝くように散りばめられている。 この本を手にしたあなたは宝物を得ることになるだろう。かえすがえすも素晴らしい。

Posted byブクログ