五行歌集 喜劇の誕生 の商品レビュー

鮫島龍三郎(著者)

2021/04/30

カバーに斜に構えたイケメンゴリラ。
「ゴリラの写真をカバーに使いたい」というリクエストにお答えした。
ゴリラはすこし喜劇と通じるが、目にはどこか知性が宿っている。
鮫島さんのイメージにぴったりだと思った。

わたしは鮫島さんの恋歌が大好きだ。

初めての
二人の旅は
葉っぱが
みんな
輝いた日

可愛らしくて、恋の喜びにあふれている。
闘病の苦しい歌や、示唆に富む歌も多い。

これからは
楽しいことを
するのではない
することを
楽しむのだ

喜劇の持つ、おかしかったり、涙がでるシーン。それは人生の彩りだなと思った。

2020/10/27

五行歌入門書『五行歌って面白い』（2018年・市井社）、『五行歌って面白いⅡ』を出版された鮫島氏が、自ら初の五行歌集。

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鮫島さんの歌は、ほっかりとして、温かく、おかしく、そして悲しい、またやわらかくもある綿菓子のようなものだ。思わず、顔をうずめたくなるような。

何が幸せか
って
心とこころ
ふれあう音
聞いたとき

　タイトルを見ると、それが世界論になっているように、すべてを見抜いている人だが、それを真綿で包まないと、読む人に失礼になるとでも思っているようだ。
　だから、その叡智はその温かさ、柔らかさのなかに小さく折り畳んで入れられている。おかしく、同時に悲しく、温かいという、矛盾した気持ちが同時に味わえるのは、わかりやすく簡単に見えるこれらの歌が、最も複雑に織りなされていることによる。
　最初に会った二十数年前から、私はこの人は生まれつきのうたびとだなと思った。
　(五行歌の会主宰　草壁焔太跋文より）