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銀河鉄道の夜 四次稿編(1) の商品レビュー

4.8

4件のお客様レビュー

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2024/10/20

ではみなさんは、 この作品の舞台がどの国とか、 銀河のお祭りの夜にジョバンニが町で見た星座早見盤の詳しい色や宝石や仕組みが、 ほんとうは何かご承知ですか。 そして、ジョバンニがどうやって銀河鉄道に乗り込むのか。わかるでしょうか? ーー予想はしていましたが、びっくりの連続でした...

ではみなさんは、 この作品の舞台がどの国とか、 銀河のお祭りの夜にジョバンニが町で見た星座早見盤の詳しい色や宝石や仕組みが、 ほんとうは何かご承知ですか。 そして、ジョバンニがどうやって銀河鉄道に乗り込むのか。わかるでしょうか? ーー予想はしていましたが、びっくりの連続でした。私より遥かに深く「銀河鉄道の夜」を読んできたますむらひろしさんの「銀河鉄道ー」観が、頁を捲るごとに私を撃ちました。 先ずは、表紙を出来うる限り拡大してみてください。 これはジョバンニが町で見た星座早見盤の場面です。この碧の色使いも、祭の夜の空気を賢治自身が表現しています。星座の様々な動物や人物の絵は、原作とは矛盾ない様に描かれ、「そのうしろには、三本の脚のついた小さな望遠鏡」さえも描かれているのがわかるでしょう。右端のアルファベットは、英語とは違う様です。イハートーブ語でしょうか?実は、賢治は「舞台は南欧」と宴会の席で言っていたらしいのです。ますむらさんは、花巻と同じ緯度の関係から、この村を「スペイン国、カタルーニャ地方、リウドムスRiudoms」と比定しました(星の位置が重要なので、此処は大事)。学校の先生が「ではみなさんは」と呼びかけた時に、黒板の前に吊るしていた星座表にはマドリッド製作(1920年)と書かれていますが、なんとますむらさんが実際池袋三省堂の店で見つけたものだそうです。この冒頭のスペイン語の星座表を見て、私は一挙に1930年代スペインの田舎の小学校に飛んだのです。 原作原文通りの文が背後に語られながら、総てに新しい解釈を挟んで絵画化して、全体としてはますむらひろし版「銀河鉄道の夜」になっています。 「つまり私どもも、天の川の水のなかに棲んでいるわけです」 ジョバンニを撃った先生の言葉は、その絵と共に私をも撃ちます。 最終頁あたり、天気輪の丘から見た「町の灯は、暗(やみ)の中を、まるで海の底のお宮のけしきのようにともり」と、ホント美しい。寝転んだジョバンニは宇宙を見上げて思います。「ああ、あの白いそらの帯が、みんな星だというぞ。ところがいくら見てもそのそらは、ひる先生の云ったような、がらんとした冷たいところとは、思われませんでした。それどころではなく、見れば見るほど、そこは、小さな林や牧場のある、野原のように考えられて仕方なかったのです」 あゝ確かに。   これなら、ふと銀河鉄道に乗っても仕方なかったのかもしれません。 天気輪とはどんな柱だったのだったのか、全く意表をつく形をしていました。 ジョバンニが数時間活字を拾うアルバイトをしていた町の活版印刷所の詳しい様子、カンパネラの家で遊んだ模型機関車、灯りの付いている烏瓜の造形、真っ青なモミや楢の枝で包まれた祭の夜の街灯、プラタナスの樹に無数の豆電球がついて正に「人魚の都のように見える」町の景色の色などは、よく考えられたますむらひろしさんのの創造です。素晴らしい。 遂に手を出し始めました(amazon感謝セールが後押し)。全四巻。

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2021/05/16

宮沢賢治「銀河鉄道の夜」のますむらひろしによる三度目のコミカライズ。買おう買おうと思いつつ忘れていたのを2巻が出るタイミングで良し買おうとMARUZEN&ジュンク堂に行ったら2巻が売ってなかった(発売日であったが土曜日だったためまだ未入荷だったのか?)ので仕方なく1巻だけ...

宮沢賢治「銀河鉄道の夜」のますむらひろしによる三度目のコミカライズ。買おう買おうと思いつつ忘れていたのを2巻が出るタイミングで良し買おうとMARUZEN&ジュンク堂に行ったら2巻が売ってなかった(発売日であったが土曜日だったためまだ未入荷だったのか?)ので仕方なく1巻だけ購入。 1巻はジョバンニが銀河鉄道に乗り込むところまで。 久しぶりに読むますむらひろしは少し絵柄がシュッとした印象。好き嫌いはあろうが、宮沢賢治というとすっかりますむらひろしの猫の絵が体に馴染んでしまっていることを再確認する。 しかし、これ「赤旗」で連載してるのね。なんで「赤旗」?

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2020/11/30

ますむらひろし『銀河鉄道の夜1 四次稿編』 ますむらさんは、賢治作品の漫画をいくつも描いていて、銀河鉄道の夜は映画化までされている。でもやっぱり謎が多いので、改めて新しく描いた、ということらしい。 とにかく絵が美しい。特に元の作品でも綺麗だと思っていた部分がカラーで本当に美...

ますむらひろし『銀河鉄道の夜1 四次稿編』 ますむらさんは、賢治作品の漫画をいくつも描いていて、銀河鉄道の夜は映画化までされている。でもやっぱり謎が多いので、改めて新しく描いた、ということらしい。 とにかく絵が美しい。特に元の作品でも綺麗だと思っていた部分がカラーで本当に美しい。好き。賢治作品のキラキラしてて近いようで遠い世界、というところが好きなので、たまらない。中の表紙が鉄道の中なのも良い。 そしてこれを読みながら、岩手に行ったときにますむらさんのグスコーブドリと出会ったのを思い出した。

Posted byブクログ

2024/10/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

星がいくつあっても足りない。 現在、新聞「赤旗」日曜版に掲載されている。 コロナ禍をはさんで、5月あたりから見ていない。 宮沢賢治の世界を、「今度は」どのように漫画化しているか とても楽しみである。 (今回が3度目の漫画化となります。) 書籍を入手したら、更新します。 …と記述した後、ほったらかしになっておりました。 過去2回のまんが化よりも濃密に、暗示や描写がさらに事細かに描かれています。 ますむら氏の飽くなき追究心に感服するばかりである。 そして、今年夏にますむら氏のXアカウントで知った「十字架」の暗示 全く気づかなかった私は、戦慄を覚えました。 私にとって、手放すことのない「家宝」となっています。 なお、「赤旗」を読んでいるのは、この漫画だけ。 個人の政治信条とは関係ありません。

Posted byブクログ