そして、海の泡になる の商品レビュー
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一気読み、葉真中さんの作品は久々。 フェミニズム的な、女性が自分の力で強く生きていく、というストーリーだと私は感じた。 男性の力を上手く利用するのも、その時代の女性の生き残る知恵。それで傷付いても、廃人になるか立ち直り這い上がるかは女性次第。 真犯人(同居していた、親から逃げてきた若い女性、LGBT)は読んでいて怪しいなと勘づいたけど、 語り部(刑務所で同部屋だった若い女性)が小説の書き手でもあるという構造は終盤の独白まで気付かなかった! &板前も実は兄、両親と焼け死んだ設定で、ずっと男達を殺し続けていたという語り部の推理 色弱が兄妹、会長との息子に遺伝したという点から見抜いた
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ワガママに自由に生きたい。 そう願った女性が、最初はすき焼きバー(今で言うキャバクラ?)のホステスから、バブルで大儲けをした資産家になるも、最後は刑務所で生涯を閉じるという。波乱な人生を歩んだ女性の事を小説にしたいと、色々な人の所へ取材に行って話を聞くという話。 テーマは、...
ワガママに自由に生きたい。 そう願った女性が、最初はすき焼きバー(今で言うキャバクラ?)のホステスから、バブルで大儲けをした資産家になるも、最後は刑務所で生涯を閉じるという。波乱な人生を歩んだ女性の事を小説にしたいと、色々な人の所へ取材に行って話を聞くという話。 テーマは、しがらみがあり、自由とかが無い方が幸福感がたくさんある。 逆に自由で何をしていいか分からないと、目標もないので、達成感などもなくて。 物語の内容は、推理的な部分もあったりしてイッキ読みでした。
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実際にあった事件がモデルとのことでそちらも調べたくなった。 インタビュー形式で読みやすく、バブル期の時代背景も想像しやすかったのでなんだかノンフィクションを読んでいるようだった。
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バブル期に個人史上最高額の負債を抱えて破産した北浜の魔女と呼ばれた女性、朝比奈ハルがテーマ。 尾上縫(実在)をモデルにしたもの。 内容は、同人と関係のある人へのインタビュー形式で進み、敗戦、バブル崩壊、コロナ禍という戦後日本の社会事象を混ぜながら、ハルの人生をなぞるとともに、ハルが服役した原因となった北川さん殺人事件の真相が明らかなるというミステリー仕立て。 内容、構成ともに続きを読みたくなるもので、作風としても好き。 今回は、暗さや重さはなく、戦後日本史って意味での社会派。
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日本がバブル絶頂期「北浜の魔女」と呼ばれた朝比奈ハル。マネーゲームの世界に身を投じたハルの生涯を、関わった人たちへのインタビュー形式で描いていく。バブルに踊らされた人々の阿鼻叫喚、当時の経済情勢を現在のコロナ禍とを上手く対照とした社会サスペンス。最後にはしっかりミステリとした伏線...
日本がバブル絶頂期「北浜の魔女」と呼ばれた朝比奈ハル。マネーゲームの世界に身を投じたハルの生涯を、関わった人たちへのインタビュー形式で描いていく。バブルに踊らされた人々の阿鼻叫喚、当時の経済情勢を現在のコロナ禍とを上手く対照とした社会サスペンス。最後にはしっかりミステリとした伏線もありとても面白かったです。
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個人としては史上最高額となる4300億円の負債を抱えて自己破産した朝比奈ハルの生涯を、当時の関係者へ聞き取り取材しながら追いかける。 さすが葉真中顕さん。彼の書く社会派小説は本当に面白い。終戦〜バブル崩壊までの活気にあふれつつも、どこか狂気めいた時代を生きた「北浜の魔女」の生き様...
個人としては史上最高額となる4300億円の負債を抱えて自己破産した朝比奈ハルの生涯を、当時の関係者へ聞き取り取材しながら追いかける。 さすが葉真中顕さん。彼の書く社会派小説は本当に面白い。終戦〜バブル崩壊までの活気にあふれつつも、どこか狂気めいた時代を生きた「北浜の魔女」の生き様は、悪女なのか、それとも…。
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この作品はバブル期に「北浜の魔女」と呼ばれ、4300億円の負債を抱え自己破産した朝比奈ハルという女性の生涯を描くもの…。ハルは「うみなし様」を神として崇めており、人生をワガママに生きるために不必要な人物が不審死を遂げることになったり、株の売買で大きな利益を得たのもそのご利益によ...
この作品はバブル期に「北浜の魔女」と呼ばれ、4300億円の負債を抱え自己破産した朝比奈ハルという女性の生涯を描くもの…。ハルは「うみなし様」を神として崇めており、人生をワガママに生きるために不必要な人物が不審死を遂げることになったり、株の売買で大きな利益を得たのもそのご利益によるものというのだが…。ハルはある殺人事件の被告人として無期懲役の実刑を受け投獄されたが、持病の悪化により平成が終わる年に他界していた…。“私”は彼女のことを小説にしようと、彼女のことを知る人たちに取材を行う…。 葉真中顕さんの作品って、本当に人の生涯を描くのが上手だなぁ…と感じました。終盤になって、ガラガラと今まで読んできた内容が崩れていくような不思議な感覚を覚えました。結構面白かったです。ハルさんのモットーは「人生をワガママに過ごす」こと…ハルさんはやり遂げたんじゃないかと思えたけれど、本当の思いはハルさん自身にしか語れないんだろうなと…。ハルさんは生きていないから仕方ないけれど、でも関係者からのまた聞きではなく日記とかでもいいので、ハルさん自身の言葉を少しでも遺してほしかったなって…ちょっと思いました。この作品のハルさん、実在するモデルがいるのですねぇ…尾上縫さん、ちょっと興味あります。
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「北浜の魔女」と呼ばれた投資家朝比奈ハルとはどんな人物だったのか。関係者へのインタビュー形式で進んでいく物語。 コロナが蔓延しつつある現代で、戦後からバブル期の昭和を生きた人々の話を聞くというストーリーがすごくおとぎ話のように感じられるというか。 ミステリというよりもヒューマンド...
「北浜の魔女」と呼ばれた投資家朝比奈ハルとはどんな人物だったのか。関係者へのインタビュー形式で進んでいく物語。 コロナが蔓延しつつある現代で、戦後からバブル期の昭和を生きた人々の話を聞くというストーリーがすごくおとぎ話のように感じられるというか。 ミステリというよりもヒューマンドキュメンタリーのようで面白かった。
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朝比奈ハルというバブル期に株で史上最高額の負債を抱え自己破産した女性の生涯を小説に描こうと決めた「私」が関係者にインタビューしていく形式で物語が展開する。バブルの時代と令和の時代を繋ぐミステリ。 ハルは「うみうし様」という謎の御神体を崇めており、そのうみうし様のお告げにより見ず知...
朝比奈ハルというバブル期に株で史上最高額の負債を抱え自己破産した女性の生涯を小説に描こうと決めた「私」が関係者にインタビューしていく形式で物語が展開する。バブルの時代と令和の時代を繋ぐミステリ。 ハルは「うみうし様」という謎の御神体を崇めており、そのうみうし様のお告げにより見ず知らずの男を刺殺して獄中の人となる。なぜハルは男を殺したのか。その男は一体何者なのか… 貧困や格差、宗教、DV、ジェンダー問題等々…社会問題てんこ盛りすぎて「私」の抱える心の闇と朝比奈ハルの物語が脳内で上手くリンクできなかった部分もありました。しかし、うみうし様の正体や、事件の真相などミステリ的な面白さと、昭和~平成の時代を生きた一人の女性のノンフィクションを読んでいるような面白さもあり、一気読みでした。実際、朝比奈ハルにはモデルがいるらしい。そちらにも興味が沸いた。
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戦後からバブル経済の中、さらにバブル崩壊を生き抜いた朝比奈ハルの生き様を、関係した人物へのインタビューという形で明らかにしていくという面白い手法が楽しめた.ハルが頼りにした「うみうし様」が全般に渡って物語を支配しており、銀行や証券会社の幹部を巻き込んで、荒稼ぎをした件は面白かった...
戦後からバブル経済の中、さらにバブル崩壊を生き抜いた朝比奈ハルの生き様を、関係した人物へのインタビューという形で明らかにしていくという面白い手法が楽しめた.ハルが頼りにした「うみうし様」が全般に渡って物語を支配しており、銀行や証券会社の幹部を巻き込んで、荒稼ぎをした件は面白かった.関係者が都合よく死んでしまうことを突き止めるた宇佐原陽菜.新藤紫へのインタビューでその実態を開陳する場面が秀逸だった.
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