夢七日 夜を昼の國 の商品レビュー
夢七日 小説や音楽など、いとうせいこう氏の活動を追いかけているけれど、ここまで私小説的にご自身のプライベートな部分を曝け出している作品は非常に珍しいと思った。 夢の話として、執筆当時の社会情勢やおそらく著者が実際に体験したであろうことが何層にも重なってたくさん描かれている。 特に...
夢七日 小説や音楽など、いとうせいこう氏の活動を追いかけているけれど、ここまで私小説的にご自身のプライベートな部分を曝け出している作品は非常に珍しいと思った。 夢の話として、執筆当時の社会情勢やおそらく著者が実際に体験したであろうことが何層にも重なってたくさん描かれている。 特に不妊治療のお話は、著者のお子さんの誕生のニュースが読んでいる時期と重なったので、すごくリアルに感じた。奥様へのラブレターのようにも思えました。 夜を昼の國 歌舞伎や人形浄瑠璃のお話として有名なお染久松の心中話をSNS全盛期の現代に置き換えて描くという大胆な発想の物語。 こんな表現の仕方があったのかー! 関西弁の文体で書かれているのが新鮮!
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「ゆめなのか?」と読める「夢七日」という作品と、浄瑠璃をはじめとして、江戸文芸のスター・カップル「お染・久松」の「お染」を語り手にした「夜を昼の国」という二つの作品が入っていました。 いとうせいこうについては、多分デビュー作「ノーライフキング」と、震災後、まごう方なき「災後」...
「ゆめなのか?」と読める「夢七日」という作品と、浄瑠璃をはじめとして、江戸文芸のスター・カップル「お染・久松」の「お染」を語り手にした「夜を昼の国」という二つの作品が入っていました。 いとうせいこうについては、多分デビュー作「ノーライフキング」と、震災後、まごう方なき「災後」小説として読んだ「想像ラジオ」しか知りませんでしたが、方法を駆使して「時代」と「人間」を出合わせる本書の二つの作品を読んで目を瞠りました。 「夢七日」は、おそらく漱石の「夢十夜」へオマージュとして書かれているのでしょうが、「想像ラジオ」で原発作業員だった人物を登場させることで、あれから10年の年月と、愚かとしか言いようのない現在の「日本社会」の実相を浮き彫りにして見せた「快作」でした。感想はブログにうだうだと書きました。 https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202101300000/ https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202102010000/ 「夜を昼の国」は浄瑠璃や歌舞伎でおなじみの「お染久松」ものの、いわば「テキスト論」の作品化ですが、ああ、そういうふうに「諸本」を比較することが可能なのだと感心することしきりという読後感でした。 こちらもブログに書きました。覗いてみてください。 https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202102060000/
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「夢七日」は幻想的な世界が続き、はっきりしたものが掴めないようなもどかしさを感じた。 「夜を昼の國」は大阪の国立文楽劇場で人形浄瑠璃を鑑賞してから再読しようと思う。
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私にはあまり会わなかったのか、ぜんぜん入って来なかった。昏睡の木村宙太の思いを、医師が夢で語ると言う何ともややこしい描きかた。感情のもってゆきどころがわからないまま終わってしまった。 2話目も同じく。
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【君よ、目覚めよ。準備のための七日間を経て】事故に遭い、長い眠りの中にいる君に私は語りかける。想像力を武器にこの現実と闘う日まで。『想像ラジオ』から7年、渾身の作品集!
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