ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている の商品レビュー
借りたもの。 自衛隊とは何か、その活動の論拠になる法とは何か? 法とそれに基づき自衛隊がどの様な活動を行うかをまとめた良著! 自衛隊関連の本というと、正面装備やマーシャルアーツ(近接格闘)などをはじめとする兵士の技術力に関するものが多い中、その存在意義やよく言及される「自衛隊は...
借りたもの。 自衛隊とは何か、その活動の論拠になる法とは何か? 法とそれに基づき自衛隊がどの様な活動を行うかをまとめた良著! 自衛隊関連の本というと、正面装備やマーシャルアーツ(近接格闘)などをはじめとする兵士の技術力に関するものが多い中、その存在意義やよく言及される「自衛隊は憲法違反」と言われてしまう理由になぜ“法”が絡むのかというそもそも論を教えてくれる。 『シン・ゴジラ』( http://shin-godzilla.jp/ https://www.amazon.co.jp/dp/B01MQU542F )で自衛隊の出動論拠が何かで揉めているシーンの理由でもある。 かなり具体的な――災害時など実際に起こったもの、有事に起こりうる可能性がある――事例を挙げて、どの程度の事を自衛隊が行えるか、その理由となる法律を照らし合わせて解説。 根本的な想定も“学校トラブル”の喩えにして解説しているので、学生にもわかりやすいようになっていると思った。 組織体制、どういった命令系統で動くのかも図説がある。自衛隊のトップは内閣総理大臣であること。陸・海・空の三部隊意外に統合幕僚が存在すること…… 法律も絡むので塚田薫/長峯信彦『増量 日本国憲法を口語訳してみたら』( https://booklog.jp/item/16/28429269 )にも通じる部分があるし、それ以外に論拠である「自衛隊法」( https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=329AC0000000165 )も紹介している。さらにそもそも論であるが国際法のことも。現代は‘武力の行使を違法化した時代(p.26)’であるが、例外である集団安全保障措置、自衛権の行使があること…… それらを踏まえて、自衛隊と憲法第九条の関係を説明し、日本政府、学説、さらに最高裁判所の見解が’第九条の下においても自衛権は存在すると認めている’(p.46)こと、現実問題として存在しないと自国は守れないこと(他国の軍隊が攻めてきた場合、民衆と警察が太刀打ちできるの?反語。)を踏まえて説明している。 『海自オタがうっかり「中の人」と結婚した件。』( https://booklog.jp/item/1/4798043141 ほか )シリーズのたいらさおりさんの絵がかわいい。 読んでいると、マスメディアの報道が現行の法やその解釈、さらには現代の科学技術力に基づいておらず、1960~70年代くらいのテンプレート(紋切型)報道に固執しているのではないかと思ってイライラする。現在の知識更新を怠っているとしか思えない…それでいて「第四の権力」を自称するなら愚の骨頂だと思った。 そもそも“法の解釈”というものが、いかにブレやすいかという事をひしひしと感じる。そもそも、法に絶対的正義や不変的正しさなど存在しえないのだ。 誤解を回避しようとしたり、時に詭弁となったり、時代によって想定しない事や時代遅れになる事…… 様々な努力とせめぎあいで成り立っているものだった。 憲法とは論拠ではあるが、変えられるものでもある。
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「法的根拠から考えて、自衛隊にできること」 これ大事ね。とても大事ね。あと、索引があるのが後で助かる。 第四章はあっさりなのでなくても良かったかもだけど。
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言われてみればちゃんと知らないなあ、と思って読んでみたら、予想以上に面白かった。 特に自衛隊の話になる前段、戦争と国際法の話が興味深い。湾岸戦争やらアフガン戦争やら、いまだに世界のあちこちで戦争をしているから、戦争は国のエゴのぶつかり合いで法の及ぶ範疇ではないと思っていたら、「戦...
言われてみればちゃんと知らないなあ、と思って読んでみたら、予想以上に面白かった。 特に自衛隊の話になる前段、戦争と国際法の話が興味深い。湾岸戦争やらアフガン戦争やら、いまだに世界のあちこちで戦争をしているから、戦争は国のエゴのぶつかり合いで法の及ぶ範疇ではないと思っていたら、「戦争」は国際法上の違法行為なんだそうだ。じゃあ、湾岸戦争はなんだよ、というのは本書にて。憲法9条と自衛隊についても整理できた気がする。 本題は、自衛隊が直面するいろいろな場面と法との関係。率直に言ってそんなことを気にしている場合か、と思うのもあるし、ほとんど屁理屈みたいのもある。とはいえ、法治国家である以上、ここをおろそかにするわけにはいかないわけだ。こういう議論はむしろ平時に十分しておく必要がある。ある日突然、軍隊が隣の国に攻め込むようなことが実際に起こり得るのだ、ということは、日本が一番よく知っているだろう。 「わかりにくい」ケースについて、学校や友達関係になぞらえた「例」が載っているのだが(友達と公園のベンチでアイスを食べていました、そこにアイスを狙ったカラスが飛んできたので、小石を投げて撃退しました)、「例」のほうがわかりにくいことがあって、ちょっと笑った。
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冷戦終結後の世界は米国一極が続くかと思いきや、中国台頭と共に米国の緩やかな凋落が始まり、再びの帝国主義時代に向かっていると聞く。 日本が自国防衛を考える時、自衛隊に何ができて何ができないのかを冷静に検討しておくことは死活的に重要である。 本書は主に国内法の観点からこの問題を考える...
冷戦終結後の世界は米国一極が続くかと思いきや、中国台頭と共に米国の緩やかな凋落が始まり、再びの帝国主義時代に向かっていると聞く。 日本が自国防衛を考える時、自衛隊に何ができて何ができないのかを冷静に検討しておくことは死活的に重要である。 本書は主に国内法の観点からこの問題を考えるには知る限り最良の手引きとなるだろう。 法制面で言えば現憲法の枠内で何ができるのかできないのか延いては憲法改正の必要があるのか否か、軍法の未整備の問題、と言った諸問題についても書いて頂けることを期待する。
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