昭和・平成を駆け抜けた長距離鈍行列車 の商品レビュー
「長距離鈍行列車」と言われても、まぁ乗る機会がまずないですよね。。そもそも走ってないし、仮にあったとしても移動にそこまで時間を費やせるか…というのがあるし。 そこを踏まえて、「だからこそ贅沢な存在」なんだと思い始めたのは割と最近で、今では国内では夜通し走る鈍行列車なんてのは無くな...
「長距離鈍行列車」と言われても、まぁ乗る機会がまずないですよね。。そもそも走ってないし、仮にあったとしても移動にそこまで時間を費やせるか…というのがあるし。 そこを踏まえて、「だからこそ贅沢な存在」なんだと思い始めたのは割と最近で、今では国内では夜通し走る鈍行列車なんてのは無くなっちゃいましたね。そこらへんの物珍しさもあって本著を読んだんですが、写真も豊富ながら意外にテキストが多かったので、感想が書けるレベルまで考えさせられました。 そもそもなぜ、遠くまで遅い列車を走らせる必要があったのか。急ぐ人は新幹線なり特急なりに乗るでしょうに。と、思いながら本著を読み始めたんですが、なるほど。 長距離鈍行の存在は、鉄道郵便や新聞配達に依っている部分も結構あったのかと。 今では「何それ?」レベルな気もしますが、当時の写真を見ると、郵便車/荷物車という専用の客車が、多い場合には2~3両ぶらさがっていたり。 もちろん、安い移動手段として長距離鈍行を選ぶ人もいたというのはありつつも、それだけではなかったというのは本著を読んで勉強になったところです。 しかし、1968年のダイヤ改正では、利用者の要望で時の国鉄総裁が長距離鈍行を残す決断をしたのに、1976年になると、長距離鈍行列車の車掌が「近頃のお客さんはみな特急だ、急行にも乗らなくなっている」と言っている…というのは、「長距離鈍行を選ぶ人」は時とともに減っていったことを示しているんだと思います。 本著を読んで思ったのは、「鉄道荷物輸送」ってひょっとすると今後復活の余地があるのでは?というコトです。 今は、基本的にトラックで配送センターを経由して…という流れだと思うのですが、もし今後、最後の「家まで届ける」部分がドローン化されたとしたら、トラック利用のメリットって、そこまで無くなるような気がします。 であれば、例えば、漁港からウニをドローンで発送→函館で新幹線に積み込み→東京駅でドローンが飛び立って、銀座のお寿司屋さんへ、という感じで、ミョウバンの入っていないウニが東京でも食べられるのでは? ある程度の高価なものに限られるんでしょうが、一定の需要はある気がするので、新幹線の屋根のあたりにドローン収納スペースを作ってビジネスになったら面白いのでは、なんて思ってしまいました。 個人的には、本当はもうちょい旅情のある鉄道旅ができる未来があると嬉しいのですが…。 客車列車は加速が遅くて他の列車の妨げになるし(過疎線区なら大丈夫?)、長距離運転しようにもJRだと会社の壁があるし(各社同じような運転台に統一されたら…?)、なんかこういう「余裕」のようなものは、どんどん淘汰されていってしまうんだろうなぁと嘆息してしまいます。 本著の「旧型客車は停車中静寂そのもので物音ひとつしなかった」という文章なんて、乗った人しかわからない情報ですが、一度実感してみたい限りです。
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