ダイヤモンド・プリンセス号に隔離された30日間の記録 の商品レビュー

矢口椛子(著者)

2021/06/05

タイトルに悪意がある。感染対策での隔離は2週間で、この30日間には前半の旅行期間も含まれている。
大変な目にあったのはわかるが、普通に楽しんでいた旅行期間も被害者意識で塗りつぶすのはどうかと思う。
ご本人ももどかしそうだが、乗客の心情は外の人間が同じように理解することは無理だ。野次馬根性と自分が同じ立場になった時の対処法を模索したくて読むのだから。
自分たちの要望を伝えるのは重要だ。支援側では問題が見えにくいこともあるから。

資料がいろいろあって当時の様子が分かりやすかった。
現場の混乱は国という規模になっても続いている。
反省も改善もされているのかよくわからない。
政府を批判するのは結構だ。
しかし船内隔離方法が不十分で、隔離期間中に感染するのではと危惧した割には下船直後に記者会見をしようと外部の人間と接触したり、経過観察期間中に散歩や買い物に出たりとご自身の行動は間違いないと思われている様子がある。
対応が遅いからたったひとりから感染爆発したとあるが、その時点で感染は広がっていたと思う。
政府に要望を出したグループと繋がれたり、自身で外国特派員協会に訴えたりとマスコミに伝手のある方は強くて羨ましい。

2021/02/25

当事者のお話として大変勉強になりました。所々で間違えがあり（橋本岳厚労副大臣の例の写真は出口ではなく入り口が同じなのが問題、清潔・不潔の話、船内発症者のデータの解釈等）、これらの点においては1年経って出る本のクオリティではないような気もしないでもないですが、数少ないDP号乗船客の証言という点で大きな価値があると思います。

DP号に関しては業界内では評価するというより庇う旨の発言が大半なように感じますが、あれは流石に医療従事者並びに政府の対応が不味かったと私的には思います。色々と隠し過ぎました。