探偵くんと鋭い山田さん(2) の商品レビュー
個人的には1感よりも面白くて嬉しい誤算。ラブコメと推理が両方しっかり入っていて今まで読んだことの無いタイプの本。
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何ヶ月も新刊を待ち望んでいた作品の第2巻ですよ! この巻も大変満足できる内容でした。本当に玩具堂先生はこちらのフェチズムをさり気なく、そして強烈に刺激する作品を書いてくれる また、本作では玩具堂先生の過去作を思い起こさせるような言及が有ったのも嬉しい所 まさかのタイミングでクラ...
何ヶ月も新刊を待ち望んでいた作品の第2巻ですよ! この巻も大変満足できる内容でした。本当に玩具堂先生はこちらのフェチズムをさり気なく、そして強烈に刺激する作品を書いてくれる また、本作では玩具堂先生の過去作を思い起こさせるような言及が有ったのも嬉しい所 まさかのタイミングでクランプなんて登場したものだから驚きでしたよ。思わずハルハなども出るのかと期待してしまった 第1巻で幾つかの事件を解決した事で仲を深めた戸村和と双子姉妹の雨恵と雪音。だからか、この第2巻では戸村と双子の距離の近さを強調されるような描写が幾つも有るね しかも、その距離の近さというものが心理的なものに留まらず物理的なものを含むのだから堪らない。無遠慮に身体を寄せてくるタイプといえば雨恵のイメージが強かったのだけど、この巻では雪音も無防備な近さを何度も見せつけるね これも全ては二人が戸村の傍に居ることに何の違和感も抱かなくってきたということだろうか ただ、近くなったということはこれまでよりも相手の言動に気になる点が増えてしまうということでも有って… ふとした言動に逐一眉をひそめ、時には嫉妬のような感情を見せ、戸村を挟み牽制し合う双子姉妹の様子は非常に可愛らしいものだね 本作の推理法の特徴を上げるなら調査に出向かずほぼ戸村の机の上で事件解決がされることから安楽椅子探偵の様相を呈している。一方で関係者への綿密な聞き取りよりも戸村、雨恵、雪音の三人で話し合うことにより振ってくるひらめきを重要視している いわば推理そのものよりも三人の触れ合いが必要。三人での会話が事件解決の糸口を引き寄せている。 そういった意味では推理モノの形を借りた青春小説と言えるのかも知れない だから人の事情に踏み入って好き勝手に推理しているはずの三人の様子は端から見るととてもキラキラした日常を過ごしているように見えるし、事実三人はとても楽しんでいる それを最も実感しているのが雨恵なんだろうなぁ。表面的なフレンドリーさと内面にあった足りていない部分を補完してくれる戸村の存在は、今の雨恵にとって必要不可欠であり代替不可能な存在 雪音は秘密の共有に拠って戸村との距離を縮めているけど、雨恵はもっと目に見えないものによって戸村との距離を縮めようとしているのではないかと感じられる だと言うのに、自分以上に雪音と戸村の距離が近づいていることにモニャモニャしているようだけど 同じように雪音は物理的に距離が近いし戸村との相性も良い雨恵にモニャモニャしているのだから、この双子は見ていて非常にニヤニヤできてしまうものですよ! 以下、各事件の感想 「猫ぞ知る箱の中」 一風変わったオフ会から始まる人狼ゲームのような名前当てゲーム。推理への取っ掛かりがほぼ無い状態から6人の名前を当てるという難題 個人的にはあの『開いたトランプ』のようにゲームの成績や細かな会話から推理するのかと思いきや、割としっかりした根拠を立てての推理だった点には驚かされた 「読読者者の密室」 数年前に紛失した原稿を探して欲しいとの依頼 ここでの要求は単純な失せ物探しだけではなく、原稿の喪失によって無くしたモノを取り戻すきっかけが欲しいという欲求に繋がっている 作品への論評という書き手と書き手のコミュニケーション手段。それが言葉の意味は読み手に委ねられるという書き手の原点に振り回される構図は面白いね 「探偵不十分」 戸村と双子姉妹が短い間に手にしたもの、そして前2つの短編で描かれた主題を土台にして描かれる人探し。自殺という誰が聞いてもドキッとする言葉で始まったこの事件は意外な展開を見せるね そして本作の特徴であるトリックの解決そのものを事件の解決とせず、事件に関わった者の心を助けるような展開はやはり良いね 最後の最後に柵を超えて助けたい相手を掴んだ戸村の手は既に探偵としての第一歩を踏み出しているのだろうなと思えた
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