水都東京 の商品レビュー
陣内先生の東京の空間人類学を、35年の年月を経て大幅アップデートという感じの本。今回は範囲を多摩の方まで拡げています。なるほど先生は杉並の出身なのか。湧水と川が生活導線の中心となって、そこに文化も生まれるという流れが見えます。一度武蔵野台地もアップダウンを体感しながら歩かんといか...
陣内先生の東京の空間人類学を、35年の年月を経て大幅アップデートという感じの本。今回は範囲を多摩の方まで拡げています。なるほど先生は杉並の出身なのか。湧水と川が生活導線の中心となって、そこに文化も生まれるという流れが見えます。一度武蔵野台地もアップダウンを体感しながら歩かんといかんな。
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5月の天気のいい土曜日、友人に誘われて京浜運河で初めてのカヤック遊びを楽しみました。すいすい進む感覚も面白かったのですが、普段見ることの出来ない視点から東京(の一部)を見れたことにテンション上がりました。陸に上がって昨年からの積読だった「水都 東京」を開いた訳です。著者については...
5月の天気のいい土曜日、友人に誘われて京浜運河で初めてのカヤック遊びを楽しみました。すいすい進む感覚も面白かったのですが、普段見ることの出来ない視点から東京(の一部)を見れたことにテンション上がりました。陸に上がって昨年からの積読だった「水都 東京」を開いた訳です。著者については大昔テレビの番組でヴェネツィアやアマルフィーを紹介している人として認識していましたが、東京も同じように〈水の都市〉として研究してきたのですね。本書は35年前の「東京の空間人類学」を基本に置いた更新ということです。未読ですが前著の水の下町、陸の山の手という二元論でなく、もっと広い東京エリア全体を〈水の都市〉という観点で語るという本になっています。例えば日野を〈水の郷〉としていることも意表を突かれました。中沢新一の「アースダイバー」の2019年の増補改訂版が「海民」という〈水の人〉視点でのアップデートだったのとシンクロを感じました。1964年のレガシーである首都高が用地買収の効率性から東京の河川を覆い隠すように建設された成長の20世紀だとしたら、日本橋のプロジェクトのように水辺を取り戻そうとする動きが21世紀の持続性の世紀の特徴かもしれませんね。
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水の視点から東京の町を見つめ直した評論。運河や川のはり巡る下町だけでなく山手から多摩地区まで広げた包括的な視点が素晴らしい。 「東京の空間人類学」の筆者の近著。最近のブラタモリやスリバチ地形のブームを反映しアップデートされた内容。明治期までの水運の視点から羽田や浅草など漁村視点...
水の視点から東京の町を見つめ直した評論。運河や川のはり巡る下町だけでなく山手から多摩地区まで広げた包括的な視点が素晴らしい。 「東京の空間人類学」の筆者の近著。最近のブラタモリやスリバチ地形のブームを反映しアップデートされた内容。明治期までの水運の視点から羽田や浅草など漁村視点、山の手から武蔵野へ西へ進む視点が面白い。 特に筆者の育ったという杉並の成宗の記載か秀逸。また水の郷日野など、江戸時代以前からの開発の痕跡もたどれるところが興味深い。 本書の参考文献の一覧も含め東京研究の基本となる一冊だろう。
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一応まちづくり系の部署にいるものとして、東京の基層からどういった都市が形成されているのかを知ることができ、とても勉強になってよかった。 東京はやはり水の町であり、水運な活性化などもっと行われたらおもしろいのかなと思った。神社や集落が水辺に沿って集まっているというのもとても興味...
一応まちづくり系の部署にいるものとして、東京の基層からどういった都市が形成されているのかを知ることができ、とても勉強になってよかった。 東京はやはり水の町であり、水運な活性化などもっと行われたらおもしろいのかなと思った。神社や集落が水辺に沿って集まっているというのもとても興味深く、実際にいろいろ見て回ってみたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
<目次> 第1章 隅田川~水都の象徴 第2章 日本橋川~文明開化・モダン東京の檜舞台 第3章 江東~「川向う」の水都論 第4章 ベイエリア~開発を基層から考える 第5章 皇居と濠~ダイナミックな都心空間 第6章 山の手~凸凹地形を読む 第7章 杉並・成宗~原風景を探る 第8章 武蔵野~井の頭池・神田川・玉川上水 第9章 多摩~日野・国分寺・国立 <内容> 東京を多摩地区まで広げて、「水」をキーワードに展開する都市論。イタリアの分析技法を東京にも生かしている。昨今の地形ブーム(「ブラタモリ」など)と歴史をうまく取り込みながら、人々が何を考えてきたかを分析する。陣内先生も結構なお年だったんですね…。
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『東京の空間人類学』を読んだ頃を懐かしく思い出しながら本書を読み進めた。 水の都、東京を巡って、時間的には古代から現代まで、空間的には下町、山の手から、これまであまり取り上げられてこなかった杉並、武蔵野、さらに多摩といった東京全域へと、著書の歩みは広がりを見せる。土地の高低...
『東京の空間人類学』を読んだ頃を懐かしく思い出しながら本書を読み進めた。 水の都、東京を巡って、時間的には古代から現代まで、空間的には下町、山の手から、これまであまり取り上げられてこなかった杉並、武蔵野、さらに多摩といった東京全域へと、著書の歩みは広がりを見せる。土地の高低や凹凸などの地形を具に見て、河川の流れ、街道・道路などについて、生き生きとした観察が綴られる。 今後の都市・東京に対する提言も各所になされるが、読者としては、先ずは本書を手にして東京を歩いてみたい。
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