地元を生きる の商品レビュー
エスノグラフィーの実践を通じて、沖縄の共同体を問い直す。アッパー層、中間層、下層、そして女性というそれぞれの観点から、共同体がどのようにとらえられるかを浮かび上がらせる。それぞれに印象深いところはあるが、やはり建設業に従事する元暴走族の若者(とはいえ30歳前後だろうか)たちの調査...
エスノグラフィーの実践を通じて、沖縄の共同体を問い直す。アッパー層、中間層、下層、そして女性というそれぞれの観点から、共同体がどのようにとらえられるかを浮かび上がらせる。それぞれに印象深いところはあるが、やはり建設業に従事する元暴走族の若者(とはいえ30歳前後だろうか)たちの調査が印象的だった。ルポ川崎でも見たような、共同体から排除された者がアウトローの世界の中でより強固な共同体的なつながりをつくって、その中でがんじがらめになってしまうのが印象深い。
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まさに「ライフ」ヒストリー。よくここまで被調査者の人生を描けた、調査者に描かせてくれたものだと驚くばかりだった。完成から刊行まで4年の時間があったと後書きに書かれていたが、これだけの人の人生を本にするには覚悟が必要だったのだと思う。
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【琉大OPACリンク】 https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC02894848
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「「共同性の楽園」のなかでのんびりと豊かに生きる沖縄人」というステレオタイプ的なイメージに切り込み、安定層・中間層・不安定層のそれぞれの人々にとって「沖縄的共同体」がどのように経験されるのかを綴っている。 私たちナイチャーが、いかに平面的にしか沖縄社会を捉えていないかがまざまざと...
「「共同性の楽園」のなかでのんびりと豊かに生きる沖縄人」というステレオタイプ的なイメージに切り込み、安定層・中間層・不安定層のそれぞれの人々にとって「沖縄的共同体」がどのように経験されるのかを綴っている。 私たちナイチャーが、いかに平面的にしか沖縄社会を捉えていないかがまざまざと明らかになり、特に不安定層の現実はとても残酷だ。 岸さんの文章は、やっぱり「読ませる」力があると思う。ただ、段落の分け方や空白の開け方に岸さんの恣意性を感じるが・・・。
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大きな経済的格差と階層文化が進む沖縄のリアルを,各階層ごとに描く 特に土木屋でヤンキーに混じって働いた打越の参与観察は読ませるものがある。 金はなくて前借り生活、後輩は殴って当たり前、家庭を作ってもすぐ壊す… スキルの付与、コンプライアンス、規範という都市の大卒層が普通に期待でき...
大きな経済的格差と階層文化が進む沖縄のリアルを,各階層ごとに描く 特に土木屋でヤンキーに混じって働いた打越の参与観察は読ませるものがある。 金はなくて前借り生活、後輩は殴って当たり前、家庭を作ってもすぐ壊す… スキルの付与、コンプライアンス、規範という都市の大卒層が普通に期待できるものに手が届かない生活。 そして外部からも内部からも、正しい形に持っていこうという働きが無いことも含めて慄然とする。
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あと書きにも書いてあったけど、ほんと打越さんと上間さんの書く話は、過酷にも程がある。 生々しい暴力の連鎖。放棄され搾取される少女たち。
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沖縄社会の共同体を、個人の観点から解きほぐした優れ本。出てくる人たちの考え方やライフヒストリーは様々で、いろんな読み方が出来ると感じました。
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100分で名著で紹介されて興味を持ち読みました。建築会社で働いて、30代になっても「後輩」の地位から抜け出せない話は、(規模や雰囲気は違えど)沖縄だけでなく地方でも見られる構図なのかも…と思った。
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かなり面白かった。沖縄の階層社会がよくわかった。というか、自分の周りの沖縄出身の人が沖縄っぽくないなとずっと思っていた。この本を読んで、彼彼女らが「安定層」だからだと分かった。非常に興味深い。
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沖縄は面積2,281km2,人口145.7万人(2020年2月2日),人口密度640人/km2の小さな島である。地縁・血縁の絆が強く,沖縄的共同体として憧れの目でみられることもある。 その内実を描いた本書は,沖縄社会の分断を描いている。狭い地域である沖縄にいる人たちの話であ...
沖縄は面積2,281km2,人口145.7万人(2020年2月2日),人口密度640人/km2の小さな島である。地縁・血縁の絆が強く,沖縄的共同体として憧れの目でみられることもある。 その内実を描いた本書は,沖縄社会の分断を描いている。狭い地域である沖縄にいる人たちの話であるはずなのに,まったく違う世界に住む人たちが描かれているように思える。いかに沖縄が一枚岩でないのかがわかる。 「ささやかな断片的な記録」とあるように,ここで描かれる沖縄は一側面でしかない。その一側面からでも,沖縄がいかに多様であるかがわかる。 何かを理解するとは,理解できないこととセットなのであろう。私たちがもつ「〇〇ってXXだよね」というイメージは,理解しているようでいて,実は理解できていないことの現れなのであろう。きっと理解に終わりはないのだと思う。だからこそ人は早急な「理解」を求めるのかもしれない。 この早急さにいかに抵抗するか。『地元を生きる』はその一つの試みだったのではないかと思う。
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