眠れない凶四郎(四) の商品レビュー
妻の仇討ちを終えた凶四郎、しかし不眠症は治らないまま。 蜘蛛の巣に見立てた紐に絡めとられた死体がでる。 連続殺人事件の始まり。 珍しく陰鬱な背景もなくすっきりと読み終わった。
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風野真知雄さんは、いい! 何がいいかって? それは文章の中に流れる作家さんの個性なのか、 いつも優しさが溢れている。 耳袋シリーズのスピンオフとも言えるこのシリーズ。 相変わらず根岸奉行はかっこいいし、中に出てくる根岸の家臣とも言えるキャラたちも健在!!
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<眠れない凶四郎>シリーズ第四作。 新章開幕…ということだろうか。 前作で妻が殺された事件が一応の解決をしたものの、相変わらず夜眠れない凶四郎。夜回りを命じてきた根岸奉行は『夜回りをつづけるということは、結局、人の心の闇を見て回ることになる』と、凶四郎がその『人の心の闇』にとら...
<眠れない凶四郎>シリーズ第四作。 新章開幕…ということだろうか。 前作で妻が殺された事件が一応の解決をしたものの、相変わらず夜眠れない凶四郎。夜回りを命じてきた根岸奉行は『夜回りをつづけるということは、結局、人の心の闇を見て回ることになる』と、凶四郎がその『人の心の闇』にとらわれないかと心配している。 しかし相変わらず夜の事件は起こる。今回は夜な夜な道の真ん中で人の足に絡む紐のようなものが現れる。いつからか誰かがそれを『土蜘蛛』と呼び始めて気味悪がっている。 闇に紛れて人の足に紐を絡めるといういたずらをすることが出来ることを確かめた凶四郎たちだが、その奇妙ないたずらが連続殺人事件に発展していき…。 蜘蛛の巣に見立てた紐の中で吊られ殺された男、骸骨に見立てた木材に倒され殺された女、狐火に見立てた炎に顔を焼かれて殺された女。 彼らに共通するのは過去の罪、そして普賢菩薩像。 これまでの三作以上に根岸奉行の登場が多くて嬉しい。根岸の推理も冴えるが、逆に書画骨董の目利きはまるで駄目で松平定信に嘲笑われている。松平としてはいつも根岸に上を行かれているのでこういうことで溜飲を下げているのだろう。 『闇の豪商』と呼ばれる<赤月屋>の若きあるじが掴みどころがなく不気味。松平も認める目利きらしいが、商売のためなら罪にも目を瞑るらしい。 松平は<赤月屋>を捕縛するなと根岸に釘を刺すが、<赤月屋>が『闇』で何をやっているのか、今作ではまだ分からない。 『闇』でなにかとんでもない罪を犯しているのか、それとも何か壮大な計画のために何かをやろうとしているのか。 いずれにしても根岸は<赤月屋>の若きあるじに興味を持ったらしい。これから彼の正体がどう暴かれていくのか、どんな展開が待っているのか楽しみ。 『耳袋秘帖』シリーズを追いかけてきた者としては、これまでのレギュラー陣がどんどん登場してくれるのは嬉しい。 女下っ引きのしめさんも相変わらず足も口も達者だし、根岸の亡き妻・おたかさんも久しぶりに登場。そして宮尾とひびきさんのその後が気になっていたのでひびきさんの登場に嬉しくなった。が、全く進展していない…どころか、後退中? 宮尾、しっかり。 そのうちにシリーズレギュラー陣総出演で敵と闘うなんて展開を作家さんは考えているのだろうか。だとしたら嬉しいけれど。 この凶四郎シリーズも凶四郎がどんどん川柳の腕を上げている。川柳の女師匠さんが凶四郎に気があるのは感じるが、そちらの変化もあるのかどうか。その時凶四郎は夜眠れるようになるだろうか。
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耳袋秘帖シリーズ・ 眠れない凶四郎編(四) 前巻で、妻・阿久里さんの殺しの件は落着したのですが、相変わらず“眠れない”凶四郎は、源次と共に夜廻りを続けています。 そんな中、蜘蛛の巣に見立てた仕掛けによる殺人が発生し、連続殺人へと発展していきます。どうも、大坂の仕掛け小屋にいた“...
耳袋秘帖シリーズ・ 眠れない凶四郎編(四) 前巻で、妻・阿久里さんの殺しの件は落着したのですが、相変わらず“眠れない”凶四郎は、源次と共に夜廻りを続けています。 そんな中、蜘蛛の巣に見立てた仕掛けによる殺人が発生し、連続殺人へと発展していきます。どうも、大坂の仕掛け小屋にいた“化け物師”が絡んでいるようですが、真相はいかに・・。 安心して楽しめるこのシリーズ。おばさん岡っ引きのしめさんや、椀田さんの姉・ひびきさんも登場します。 勿論、根岸奉行もキレキレですが、骨董の目利きが全然できなくて、松平定信に呆れられる一面もまた可愛げがあってよいですね。 今回登場した「赤月屋」は今後も登場するのでしょうか。 とりあえず個人的な希望としては、ひびきさんに幸せになって頂きたいです。宮尾さん、しっかりして!
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安定の面白さ。娯楽時代劇。 加えて小説の中に描かれる人の機微や、政治の本質に触れる何気ないフレーズが、風野氏の持ち味。 ”お上に不満のあるものがいてはならないというのは、為政者の傲慢だ“という一文にハッとさせられる。政治家や管理職の立場にとって大切な視点だと思う。また、個人に引き...
安定の面白さ。娯楽時代劇。 加えて小説の中に描かれる人の機微や、政治の本質に触れる何気ないフレーズが、風野氏の持ち味。 ”お上に不満のあるものがいてはならないというのは、為政者の傲慢だ“という一文にハッとさせられる。政治家や管理職の立場にとって大切な視点だと思う。また、個人に引き据えても、自分のやっていることに、反対するもの、不満を持つものが居ることにイラついたり、傷ついたり、凹んだりするのは、自分の傲慢さなのかもしれないと気づかされる。他人から、受け入れられないことを、受け入れられないことは、自分は他人から受け入れられなくてはならないと言う傲慢さなのだろう。こうした偏屈さ、傲慢さを手放してこそ、自分と異なるものを受け入れて真に多様性を受け入れられる人間になれるのだろうと思う。 凹みがちな自分は、凹むのも傲慢の裏返しと言うことを心に留めて、多様性を受け入れられる度量のある人として成熟したいものである。
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【難事件解決後も、凶四郎はなお江戸の闇を巡り廻る】妻殺害の難事件は解決した。が、名奉行根岸の命により、不眠症がいまだ治らない凶四郎は江戸の夜を巡る。今度の魔物は一体何か?
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