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毒ガスの夜明け の商品レビュー

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2023/11/05

著者は、帚木蓬生『悲素』『沙林』の主人公、沢井教授のモデルであり、中毒学の専門家。本書は化学兵器の開発史だけではない、詳細な〈第一次大戦〉史である(とは言え、もっと地図があった方が、ヨーロッパ戦線の広がりを理解し易かったと思ったのだが、そこはやはり専門の歴史書ではなかったからか?...

著者は、帚木蓬生『悲素』『沙林』の主人公、沢井教授のモデルであり、中毒学の専門家。本書は化学兵器の開発史だけではない、詳細な〈第一次大戦〉史である(とは言え、もっと地図があった方が、ヨーロッパ戦線の広がりを理解し易かったと思ったのだが、そこはやはり専門の歴史書ではなかったからか?)。 読んでいる最中の10月24日、ロシアのウクライナ侵攻から20ヶ月が経ち、この間のロシア軍の推定死傷者が15-19万人というニュースが流れたが、本書の中には、数日の局所戦闘でそれを超える死傷者が出たとの記述が何度も何度も……。戦線の規模といい、最新の技術が殺戮兵器としてどんどん応用・投入された点といい、人類は、かつて経験した事のない、この悲惨な世界戦争の反省から、二度と戦争をするまいと決意した筈なのに、その決意は結局20年くらいしか保たず、今に至るまで戦争という愚行は無くなる気配すら無い。

Posted byブクログ