ポストトゥルース の商品レビュー
最近のノンフィクションでは飛び抜けておもしろかった。アメリカのメディアが両側面(客観的)報道を重視するあまり、存在しない対立を生み出してしまったこと、フェイクニュースがただの「目立ちたがり」からプロパガンダへと変容したこと、モダニズム、ポストモダニズムの相対主義が、反科学主義者に...
最近のノンフィクションでは飛び抜けておもしろかった。アメリカのメディアが両側面(客観的)報道を重視するあまり、存在しない対立を生み出してしまったこと、フェイクニュースがただの「目立ちたがり」からプロパガンダへと変容したこと、モダニズム、ポストモダニズムの相対主義が、反科学主義者に利用されてしまったこと、などと刺激的な内容が多く展開された名著。
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裏づけのないフェイクニュースが溢れ,事実かどうかより面白いかどうかが重視される風潮の中で,真実は重みを失いつつあります。けれど,そんな社会の流れに対してどう考え,どう動くかを決めるのは私たちです。…真実はまだ必要なのではないでしょうか。
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この手の目新しい用語を作成しているのは左翼と見ていいだろう。胸が悪くなるという点において「ポリティカル・コレクトネス」の向こうを張るレベルである。一応調べてみた。 https://sessendo.blogspot.com/2022/02/blog-post_22.html
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ポストトゥルースとは、公共の意見を形成する際に、客観的な事実よりも感情や個人的な信念に訴える方が影響力のある状況。
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ポストトゥルースの定義は本文では書かれず、付論で 「公共の意見を形成する際に、客観的なじじつよりも感情や個人的な信念に訴える方が影響力ある状況を説明するないしは表すもの」として書かれている。 もっと序論で書かれるべきであったのに、持って回った用例が多かった。 アメリカの例ばか...
ポストトゥルースの定義は本文では書かれず、付論で 「公共の意見を形成する際に、客観的なじじつよりも感情や個人的な信念に訴える方が影響力ある状況を説明するないしは表すもの」として書かれている。 もっと序論で書かれるべきであったのに、持って回った用例が多かった。 アメリカの例ばかりであったので、日本の例が必要であろうが、それは日本の著者に譲るしかない。 最も分かりやすい例は、タバコが癌の原因であることを医学的に証明されても信じない喫煙者であるということが書いてある。
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私たちは今、真実「以後」の世界にいる。 近年、広がりを見せる現象「ポストトゥルース」について、科学社会学的な視座から考察する書籍。 ポストトゥルースとは、客観的な事実よりも感情に訴える方が影響力のある状況のこと。 事実に反論することで利益を得られる者が、ポストトゥルースを実践し...
私たちは今、真実「以後」の世界にいる。 近年、広がりを見せる現象「ポストトゥルース」について、科学社会学的な視座から考察する書籍。 ポストトゥルースとは、客観的な事実よりも感情に訴える方が影響力のある状況のこと。 事実に反論することで利益を得られる者が、ポストトゥルースを実践している。 2016年の英ブレグジット(EU離脱)投票と米大統領選挙で、あやふやな事実、明白な嘘が流布された。また、ハンガリーやロシアなどでも政治家が偽の情報を用いたキャンペーンを行うなど、ポストトゥルースは国際的なトレンドとなった。 ポストトゥルースの前兆は、ここ数十年にわたって“科学”に生じていることの中にあった。 1950年代、タバコ会社は喫煙と肺癌との関連に疑いを投げかけることで既得権益が得られることに気づき、関連を疑う新聞広告を打った。同様の戦略はその後、地球温暖化などをめぐる議論にも利用された。 ポストトゥルースの最も深いルーツの1つは、人間の「認知バイアス」である。そのうち、特に重要なのが次の2つだ。 ①バックファイアー効果: 特定の思想を支持する人は、自分の信念が誤りだというエビデンスを示されても、それを拒絶し、誤った信念を「倍増させる」。 ②ダニング=クルーガー効果 能力に乏しい人は、しばしば自分自身の能力不足を認識できない。 「あまりに愚かすぎて自分が愚かであることを知らない」効果と呼ばれることもある。 インターネットによって、無料のニュースを容易に手に入れられるようになった。しかしその結果、私たちは批判的に思考する能力を蝕まれてしまった。これは、フェイクニュースが広がる環境を創り出す一因となっている。
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※このレビューにはネタバレを含みます
読んでみれば、科学社会論、政治とメディア、行動経済学の話。単純な科学コミュニケーションや疑似科学の話に陥らずに、政治そして社会、メディアの相互作用のなかで、科学的事実の否定や歪曲が広まり、それがポストモダン的な潮流と合流したことで、現在のアメリカの社会状況に繋がっているという流れ。
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ポストトゥルースがどういうものかやっと掴めてきた。その根深さと手法の変化をソーシャルネットワークやメディアの変化を踏まえてスムーズに理解できる。認知バイアスをベースとした多様性と心地よさの先に混沌が生まれたのはもはや皮肉。
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あらゆるものがフェイクやフィクションとして係争する世界へようこそ。さて、あなたはどの嘘に投資しますか?どれがあなたを快適にしますか?どれがあなたを安心させますか?あなたは何を信頼しますか? 最近翻訳本が出ましたが、ブレグジット、トランプ大統領が突きつけたポストトゥルースという課題...
あらゆるものがフェイクやフィクションとして係争する世界へようこそ。さて、あなたはどの嘘に投資しますか?どれがあなたを快適にしますか?どれがあなたを安心させますか?あなたは何を信頼しますか? 最近翻訳本が出ましたが、ブレグジット、トランプ大統領が突きつけたポストトゥルースという課題は思っている以上に深刻で、思想の分断とかそんなライトな感じでは全くないことがよくわかる書籍でした。今年読んだ中では、5本の指に入るかな。 ポストモダニズムであらわれてきた解釈の多面化が、本来等価に扱われるべきでない科学的議論(情報)を政治(情動)と絡めることで、意図的な解釈に導いていく危険性が指摘されていく。我々が多様性と安易に言う負の側面がポストトゥルースと結びつくとこんなに危険なのかと(簡略化することはよくないですが) 丸山眞男が指摘した、日本人はともすれば保守に転じやすい性質であるからこそ、リベラルかつ批判的思考が必要という主張はグローバル社会の中ではもはやどの国もその危険性を孕むものなのだろう。(行動経済学的にも自尊心を伴うものは確証バイアスなどを生じやすいことが指摘されている) 奇しくも本書籍の後にコロナ禍となり、今やWHOが指摘するくらい医学的エビデンスに基づかないインフォデミックのき危険性が叫ばれている。 日本はさて。情動とインフォデミックに毒されていないか?毒されているなら我々はどうすればいいのか。
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